かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

コンサート雑感:ICOLA Remote Choir G.F.ヘンデル メサイア全曲演奏会を聴いて

コンサート雑感、今回は令和6(2024)年8月25日に聴きに行きました、ICOLA Remote Choir G.F.ヘンデル メサイア全曲演奏会のレビューです。

ICOLA Remote Choirは、ネット上でつながったアマチュア合唱団です。現代はSNSの時代ですが、こういった団体はアマチュアオーケストラでは結構あります(その一つが、川崎市宮前区の宮前フィルハーモニー交響楽団です)。このICOLA Remote Choirは単にネットでつながっているのではなく、ネット上で「練習する」合唱団なのです。主催ば谷本喜基さん。その谷本さん曰く「オンライン合唱団」。

どういう事?と思うかもしれません。しかし考えてみてください。新型コロナ以降、会議はオンラインでというかたも多くなったのではないでしょうか。実際、私も仕事やプライベートの集まりなどでZoomを使ったことが何度もあります。このICOLA Remote Choirさんも、おそらく、Zoomを使ったのだと思います。実際、参加されていた方からはそのような言及がありました。

と言うのも、実はこの団体には、私が瀬川玄さんのサロンで受付をされていた方が入っていたのです。その方も証明していただきましたし、指揮者の谷本さんも、練習時には相手の音声は消して指揮者からの音声のみにしていたと発言されています。これはなぜかというと、Zoomとかがそうなのですが、いろんな音声が一度に入ってしまうと何が何だか分からなくなってしまうからです。会議で収拾がつかなくなったという経験をした人もいらっしゃるのではないでしょうか。

勿論、このオンラインという方法を取った最大の理由は、新型コロナウイルスの感染拡大だとはっきりコンサートの後におっしゃっていますし、冊子にもそのように冒頭に書かれてありました。私自身も、新型コロナウイルス感染拡大当時、コンサートをオンラインでということを提案していましたし、動画配信していた団体を「コンサート雑感」のコーナーで取り上げたこともあります。そういった点もあり、このICOLA Remote Choirさんのコンサートに足を運んだというわけです。

曲目は、ヘンデルの「メサイア」全曲。それをオンラインで練習するのも、大変だったと思います。しかし、考えてみれば、合唱団では結構音取りテープなどを配っているような団体もあるのです。私も練習テープやレファレンスの演奏を団員に配ったことがあります。それをオンラインでやるだけだと考えれば、さほど珍しいことでもないのかもと思います。

演奏は、主体がアマチュアということもあるのですが、ソリストを特に設けず、アリアやレチタティーヴォをアマチュアが主体でやるので、発声的には不安定な部分もあるのですが、それでも、バロック期では普通にやられていた方法にチャレンジしたのは素晴らしいと思います。ソリストを頼むと、本当に金かかるんですよ・・・なら自分たちでやってしまえばいいわけなんですが、やはりソロをやるとなると、それなりの実力がないとダメなんですが、それでも百戦錬磨の合唱屋が集まったようで、なかにはうまい人もちらほら・・・

瀬川玄氏のサロンに出入りしていた御方は、今回親族の関係で出演を見送ることになったので、できればその歌声が聞きたかったところではあります(コンクールで入賞もしている実力者です!)。そういう人が何人かいらっしゃるようで、聴いていてそういう方の歌声は見事でした!

そして、オーケストラ・・・というべきか、ほぼ弦楽四重奏に近い、第1・第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、ヴィオローネがそれそれ一名、オルガン1名ととトランペット1名が入るという、質素な編成。おそらく資金の関係でしょうが(私も、宮前フィルハーモニー合唱団「飛翔」第2回定期演奏会モーツァルトの「戴冠ミサ」を歌った時は、貧乏合唱団だったのでそれに近い編成のアンサンブルの演奏で歌っています)、そのレベルの高さと言ったら・・・しかも、しっかり古楽なんです。いやあ、それはそれでお金あるなあと。うらやましい~

合唱そのものは、力強くしなやかで、特に高音の伸びが力強いのが印象的。ホールは新浦安にあるJ:COM浦安音楽ホールのコンサートホール。かなり小さめのホールであることが、いい方向にいったのではと思います。以前も私は、アマチュアは小さめのホールでやるほうがいいということを言ってきていますが、その証明にもなった演奏でした。やはりプロはよく考えていますね~。指揮者の谷本氏もプロの演奏家なので、その演奏家が作った団体なので、そのパフォーマンスを生かすにはどのような「箱」がいいのかは、よく理解されているように思います。私も「戴冠ミサ」を歌ったのは横浜市青葉区民センターフィリアホールでしたし。

歌ったことのある「ハレルヤ」と最終合唱は、もう涙が出そうなくらいに感動的・・・これが、合唱のすばらしさなんです。ソロだと粗が出てしまうかもしれないけれど、アンサンブルのハーモニーのなかだとうまーく混在して素晴らしい響きになるんです。これが合唱の醍醐味。新型コロナウイルス感染拡大の中で、じっくり焦らず4年という時間をかけてネットワークの中で練習して来た成果がしっかり出ていたと思います。新しい合唱の形とも言える、今回のコンサート。じっくり堪能できました!できれば、継続できればいいなあと思います。次はロ短調ミサとか、歌わないのにリクエストしちゃっていいでしょうか・・・

 


聴いて来たコンサート
ICOLA Remote Choir G.F.ヘンデル メサイア全曲演奏会
谷本喜基指揮
ICOLA Remote Choir
賛助オーケストラ

令和6(2024)年8月25日、千葉、浦安、J:COM浦安音楽ホールコンサートホール

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。