かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~小金井市立図書館~:アドニが弾くメンデルスゾーンの「無言歌集」1

東京の図書館から、今回と次回の2回に渡りまして、小金井市立図書館のライブラリである、メンデルスゾーンの「無言歌集」のアルバムをご紹介します。演奏するのは、ダニエル・アドニです。

無言歌集は、確か私は2つ異なる全集を図書館から借りてリッピングしてあると思います。なのでもう十分なのでは?という気もしますが、せっかくデータで保有できるのであれば、さらに別な演奏も聴いてみたいと思うもの。そのため借りてきたというわけでした。

ダニエル・アドニはイスラエル出身のピアニストです。

ja.wikipedia.org

このメンデルスゾーンの無言歌集の他には、グリーグも録音があります。ただ、録音物はそれほど多いわけではなく、コンサート活動が中心のピアニストだと言ってもいいのかなと思います。しかも、どうしてもイスラエル出身となると、歴史的にセンシティヴな面も多いですから・・・

この無言歌集は、1972年と1973年に、ロンドンのアビーロード・スタジオで録音されたものです。スタジオと言っても、その残響等は素晴らしいスタジオで有名ですが、そのロケーションを存分に楽器として使っているのも、魅力的な演奏です。

特に、音が高音になるにつれて強くなっている表現は、古風かもしれませんが実にメンデルスゾーンの内面が現れているように聴こえ、「無言歌」となっているのにそこに声が、つまり「歌が」存在するかのように演奏するのです。地味ながらも、実に表現として豊かなものになっています。

意外と、こういう地味な作業を「表面的だ」とか言ってしまう人も多いのですが、どんな手法を使おうとも、その手法によって表現されるものが説得力を持ち得るかが、演奏の評価を分けると私は信じて疑いません。なぜなら、私自身が、自分の美意識とは異なる演奏でも、唸らされたり、感動したりした経験を持つから、です。そういう演奏ほど、意外なほど基本に忠実だったりします。例えば、真摯なスコアリーディングだったり。

この1枚目を聴いている限りでも、古典的な表現の中に、作品が持つ「精神」や「内面」へと至る思索の後が見受けられます。

それだけ優れた演奏なのですが、1点残念だと思うのは、この全集、各曲が連番になっているのです。如何にウィキペディアの頁を載せておきますが(実は、ピティナでも同じなのですが、ピティナだとまとまりごとの解説になっているためあえて挙げません。興味がある方はピティナで検索の上参照してください)・・・

ja.wikipedia.org

連番にはなっていません。挙げていませんがピティナでも同一です。48曲ある中で、作曲年代が判明しているものは半分程度に過ぎません。そのため、連番にするのはちょっと無理があるのでは?という気がします。各集ごとに、1~6としたほうがよかったのでは?と思います。実際、ピティナウィキペディアもそのような起債になっているのは、作品の成立年代を踏まえた結果だと思います。

その割には、メンデルスゾーンが名付けた標題以外は記載がないんです。この点は史実に基づいています。研究の過渡期で連番にしたのかもしれませんが、私自身はあまり連番にする必要性を見いだしません。録音当時の慣習に従ったのでしょうが、これは現在において聴く時は割り引いて考える必要があります。

ですが、演奏自体は優れており、境界線を引いて聴くべき、素晴らしいものだと私は考えます。2枚目も、その意味では期待できそうです。

 


聴いている音源
フェリックス・メンデルスゾーン=バルトルディ作曲
無言歌集
第1巻
 第1番ホ長調作品19b-1
 第2番イ短調作品19b-2
 第3番イ長調作品19b-3
 第4番イ長調作品19b-4
 第5番嬰ヘ短調作品19b-5
 第6番ト短調作品19b-6「ベネツィアの舟唄」
第2巻
 第7番変ホ長調作品30-1
 第8番変ロ長調作品30-2
 第9番ホ長調作品30-3
 第10番ロ短調作品30-4
 第11番ニ長調作品30-5
 第12番嬰ヘ短調作品30-6「ベネチアの舟唄」
第3巻
 第13番変ホ長調作品38-1
 第14番ハ短調作品38-2
 第15番ホ長調作品38-3
 第16番イ長調作品38-4
 第17番イ短調作品38-5
 第18番変イ長調作品38-6
第4巻
 第19番変イ長調作品53-1
 第20番変ホ長調作品53-2
 第21番ト短調作品53-3
 第22番ヘ長調作品53-4
 第23番イ短調作品53-5
 第24番イ長調作品53-6
第5巻
 第25番ト長調作品62-1
 第26番変ロ長調作品62-2
 第27番ホ短調作品62-3
ダニエル・アドニ(ピアノ)

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。