かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~府中市立図書館~:セグルビョルンソン 管弦楽作品集

東京の図書館から、今回は府中市立図書館のライブラリである、セグルビョルンソンの管弦楽作品集のアルバムを取り上げます。

セグルビョルンソンは、アイスランドの作曲家です。大学はアメリカのイリノイ大学卒業ですが、その後祖国アイスランドに戻り、演奏及び作曲、そして音楽教育に資力しました。

en.wikipedia.org

日本語ウィキペディアにページがなく、英語つづりで検索しようやくヒットするくらい、日本では知られていない作曲家です。それが、このアルバムを借りてきた理由です。そして珍しいことに、この元音源はナクソスではなく、オクタヴィア・レコードのEXTONレーベルなのです。

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EXTONレーベルでも、いろんなアーティストや作曲家の作品のアルバムが出ていますが、こういう珍しい作曲家のアルバムを出しているか!と驚いたものです。指揮者は、ウラディミール・アシュケナージ。なるほどと思いました。実は、アシュケナージNHK交響楽団の首席指揮者であったときに、EXTONからベートーヴェン交響曲ツィクルスを出しています。そういう縁があったのでしょう。特に、セグルビョルンソンのアルバムは、検索した範囲ではこの一枚しかヒットしませんでした。それだけ、CDにはなっていない作曲家であり、その作曲家を世に出すために、日本のオクタヴィア・レコードと組んだと考えてよさそうです。

ただ、借りてきた当時忙しかったこともあり、実は解説文などを書き写したりコピーを取ったりしていません。今となっては、少なくともコピーしておけばよかったなあと思います。セグルビョルンソンのウィキペディアのページはあるんですが、それ以外はあまりセグルビョルンソンを説明したページがネット上には見当たらないからです。収録されている曲が説明されているものもありません。

ですが、聴いている範囲では、現代音楽とはいえ、調性が無視されているような印象は受けません。勿論、不協和音はありますので調性音楽と位置付けられるわけではありません。一方で、いわゆる現代音楽にあるような和声をあまり感じません。調性と無調の愛のこの様な、不思議な音楽です。特に最後のフルートと弦楽のための「コロンバイン」(オダマキ属の多年草)は、ほとんど調性音楽に聴こえ、その特徴がコロンバインという多年草が、まるで絡み合うようにすら聞こえるのです。不思議な音楽です。

祖国アイスランドでは、公共放送RUVでラジオ番組の司会やレイキャビク音楽大学で教鞭をとったりするだけの才能を持つ人であり、伝統音楽で作曲をするような人でもありました。その才能をどうにかして記録に残したい・・・アシュケナージが考えても不思議ではありません。そのおかげで、この不思議な芸術に触れることが出来ることは、素晴らしいことです。演奏するのは、このセグルビョルンソンともゆかりがあると言われるアイスランド交響楽団。不思議な音楽に、まるで仏像の開眼供養のように魂を入れる演奏になっています。生命力あふれるその演奏は、作品に生命が宿っていることを如実に語ります。ダイナミックさと繊細さが同居し、それぞれの作品の表現を彩っています。

アイスランドの風景を、独特の調性で表現したセグルビョルンソン。もっと作品を聴きたい作曲家です。

 


聴いている音源
ソールケル・セグルビョルンソン作曲
歩様
靄(もや)
苔のかけら
ディアフォニー
氷河のノクターン

フルートと弦楽のための「コロンバイン」
ベルグリンド・マリア・トマスドティール(フルート)
ウラディーミル・アシュケナージ指揮
アイスランド交響楽団

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