かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ヒンデミット ヴァイオリン作品集

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回はヒンデミットのヴァイオリン作品を収録したアルバムをご紹介します。

ヒンデミットと言えば、ナチスにより退廃音楽とレッテル張りされた作曲家でもあります。ただ、実際はナチスが攻撃したアヴァンギャルドの作曲家からも距離を置かれていた作曲家なんですけれど・・・・・

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そもそもは、ヴィオラ奏者として名をはせた人でもあるんですね。実は私はヒンデミットの音楽に出会ったきっかけは、mixiのマイミクさんからヴィオラ作品を紹介されたことがきっかけでした。今では「画家マティス」などはわたしのお気に入りの一つともなっています。

そんなヒンデミット、ヴァイオリンの曲も書いているのです。おやまあ、と図書館で思ったものです。まるでベートーヴェンだわさ、と。ベートーヴェン「第九」において、みずからヴァイオリンとヴィオラを書き分けています。ヒンデミットもそんな作曲家であったか、と。そこで興味をもって借りたのがこの音源でした。

収録されているのはヴァイオリン協奏曲とヴァイオリン・ソナタですが、それはヴァイオリンがほかの楽器と協奏するジャンルであるわけです。どちらも20世紀という時代を反映した和声を持っているという特色を持っていますが、とはいえ、極端な和声進行を伴うものでもないため、どこか人間的な感じがする作品ばかり。

収録曲の中で唯一の独奏曲である無伴奏ヴァイオリン・ソナタも、ヴァイオリンを20世紀的和声のなかで存分に歌わせています。ヒンデミットという作曲家はその立ち位置から現代的に言えば右からも左からも攻撃された歴史を持ちますが、全くブレかなったのはすごいとおもいます。その分、作品は現在どれもその生命を放ち続けているのだと思います。

演奏するのは、ヴァイオリンがツィンマーマン。これがまた艶があるんですよねえ、ヒンデミットという20世紀の作曲家の作品を演奏しているのに。それはそもそも、ここに収録されている作品にしっかりと生命が宿っている、つまりヒンデミットが作曲時まるで大仏開眼のように魂を入れているからだと私は推測します。ピアノを弾くパーチェも実に実直かつ柔軟。また、ヴァイオリン協奏曲でタッグを組むパーヴォ・ヤルヴィヘッセン放送交響楽団も情熱的で素晴らしいサポート!そういえば、ヘッセン放送響、つまりはhr響ですが、そもそもはフランクフルト放送交響楽団であるわけですし、納得でもあります。

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ヤルヴィがずいぶん変な名前のオケを振ってるなあと、借りてきたときには思ったものです。ところが検索してみれば、なるほど、いわゆる我が国ではフランクフルト放送交響楽団と呼んでいるオケだった、というわけです。そりゃあ、変でも何でもないわけです。むしろ実力十分なオケです。なら、ヒンデミットだってお手の物でしょう。こういう演奏を聴きますと、ますますヒンデミットが私のライブラリの中で重要になってくるのですよ、ええ。私も自身のスタンスでずいぶん苦しんでいる人間の一人なので・・・・・若き日の渋沢栄一に聴かせたい曲です。

 


聴いている音源
パウルヒンデミット作曲
ヴァイオリン協奏曲(1939)
無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 作品32-2「外はとても良い天気だ」(1924)
ヴァイオリン・ソナタ変ホ長調作品11-1(1918)
ヴァイオリンとピアノのためのソナタ ホ調(1935)
ヴァイオリンとピアノのためのソナタ ハ調(1939)
フランク・ペーター・ツィンマーマン(ヴァイオリン)
エンリコ・パーチェ(ピアノ)
パーヴォ・ヤルヴィ指揮
hr交響楽団

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。