かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:N響アーカイヴより エネスクとヒンデミット

今月のお買いもの、平成29年7月に購入したものを御紹介しています。今回は、e-onkyoで購入しました、N響アーカイヴから、1961年録音のエネスクと、1964年録音のヒンデミットをご紹介します。

ヒンデミットはそこそこ知られている作曲家ですが、エネスクはそうでもないかもしれません。このブログでも何度かは出てきている作曲家ではあるんですが、作品を御紹介する機会は少ないかと思います。

エネスクは、現在のブカレスト・フィルに戴冠名として名を残している、ルーマニアの優れた作曲家です。

ジョルジェ・エネスク
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%AB%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%BB%E3%82%A8%E3%83%8D%E3%82%B9%E3%82%AF

演奏家としてもすぐれた才能を発揮した人でした。そのエネスクが寄って立つのが、ルーマニアの民俗音楽です。

ルーマニア狂詩曲
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%8B%E3%82%A2%E7%8B%82%E8%A9%A9%E6%9B%B2

収録されているルーマニア狂詩曲第1番も、ルーマニアの民俗音楽が色濃い作品です。リズムといい、旋律といい、生命力といい・・・・・演奏はブカレスト・フィル?

いえいえ、N響です。指揮するは岩城宏之。つまり、オール日本人キャスト。なのに、力強さといい、瞬発力といい、どこかルーマニア臭さが全開。今のN響ならともかく、私が生まれる前の、1961年です・・・・・いやあ、素晴らしい!

残響が少ないのが残念と言えばそうなのですが、そのハンディを全く感じさせない生き生きとした演奏です。この時代のN響の演奏の記録を掘り起こそうという、関係者の努力に頭が下がります。

次の作品がヒンデミットフィルハーモニー協奏曲。もともと、ベルリン・フィル創立50周年の委嘱作です。

パウルヒンデミット
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%82%A6%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%92%E3%83%B3%E3%83%87%E3%83%9F%E3%83%83%E3%83%88

ヒンデミットと言えば、どんなイメージありますか?え、おどろおどろしい不協和音?うーん、そういう側面もありますが、じっさいに聴きますと、それほど不協和音全開ではないんです。そもそも私もヒンデミットの音楽に触れたきっかけは、mixiのmマイミクさんからチェロ協奏曲である「白鳥を焼く男」を教えていただいたことでした。このマイミクさん、不協和音があまりお好きではなく、特に12音階などは拒絶反応すらあった人です・・・・・

そんな人が薦めるのですから、それほど和声がおどろおどろしいものであるはずがないんですね。「白鳥を焼く男」を聴いていただけると一目瞭然なのですが、今回はフィルハーモニー協奏曲です。ウィキのヒンデミットのページでは、管弦楽作品にカテゴライズされていて、別途存在する協奏曲のカテゴリーには入っていません。私も今回触れましたが、じつはヒンデミットは無調に対しては否定的なんです。ですから、あまり不協和音を多用すると言うことはありません。ただ、このフィルハーモニー協奏曲では多用されています。

とは言え、無調と言うほどではないんですね。そのコントラストが和声的には特徴ですが、あえてこの作品をカテゴライズしようとすれば、合奏協奏曲だと言えるでしょう。つまり、バロック的なんですね。その点を取っても、ヒンデミットが無調礼讃と言うことではないということがお分かりでしょう。むしろ伝統はしっかりと継承しようと言う意識に溢れて居ます。

こういった調性的に宙ぶらりんでありつつも、構成はしっかりしている作品を、ベルリン・フィルに対してだから書こうと思ったのかもしれません。作曲から約30年たって、N響が演奏することになったのですが、指揮は外山雄三。オケに対しては厳しい人で有名なんですが(それこそ、罵声も飛んでくると言う。カラヤンが―なんて言っているひとから外山氏の悪口を聴いたことがないんですがー)、エネスクとは一転、アンサンブルをしっかり合すという意識が強く働いているようで、緻密な音楽が生命力を持ち、時として荘厳に、時としておどろおどろしく作品が語り始めます。

N響のアンサンブルは見事としか言いようがありません。エネスクでも、ヒンデミットでも、しっかりと作品が持つ生命力を聴衆に呈示し、表現しているのがいいですね。時として、所謂私が言う「20世紀音楽」は無味乾燥になってしまうことが多いのですが、そこに生命力を見出し、どう表現するかは指揮者とオケ双方の力量が試されるものです。この2曲は60年代のN響が、実は今日レヴェルで素晴らしい存在だったと言うことを、優れた録音で教えてくれるものです。e-onkyoですから勿論ハイレゾ。そのせいなのか、本当に音の一つ一つまでしっかりと聴き取ることができるのはNHKの録音技術の高さを物語ると同時に、当時のN響のレヴェルの高さを見せつける、優れたアルバムだと言えるでしょう。




聴いているハイレゾ
ジョルジュ・エネスク作曲
ルーマニア狂詩曲第1番イ長調作品11
パウルヒンデミット作曲
フィルハーモニー協奏曲
岩城宏之指揮(エネスク)
外山雄三指揮(ヒンデミット
NHK交響楽団

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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