かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:日本の現代音楽ヴァイオリン協奏曲

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回は日本の作曲家によるヴァイオリン協奏曲を集めたアルバムを御紹介します。

とは言え、録音は多少古く、それゆえに「現代音楽」という言葉が躍っています。1960年代に発表された作品を、その直後位に演奏された録音が並んでいるのですが、私なら以前から述べているように現代音楽という言い方をしません。20世紀音楽という言い方をします。

元号が平成だからと言うのもありますが(それすら、来年には改元により変わってしまいます)、私は21世紀に入っているという認識のほうが強いです。平成はその半分は、20世紀ですから。

21世紀の音楽が基本、20世紀の延長線上にあることは確かですが、かといって新しい動きが出てきていないのかと言えばそうでもありません。限りなく無調へと行っていた音楽が、民俗色を強めて調性が復活しつつあることも又事実です。

そんな21世紀の様相の中で、では20世紀はどうだったかと言えば、逆に調性音楽が無調へと変わっていく時代だったと言えます。その真っ只中に作曲された作品たちが、このアルバムに収録されている作品たちです。

まずは間宮芳生のヴァイオリン協奏曲です。1曲しかないのかと思いきや、実は第2番もあります。まだ第1番がなかったので、番号が付いていないだけなんです。つまりは今でいう第1番です。

1959年に日本フィルの委嘱により作曲された作品は、民族色というよりはその民族的素材を再構築した作品だと言えるでしょう。

間宮芳生の二つのベクトル
http://musicircus.on.coocan.jp/aki/criticism/07.htm

間宮芳生は、民族派の人たちからはアンチ社会主義としてあがめられているようですが、私は普通のパトリオティストとして、特段右でも左でもなく、日本の音楽というものを追求していった人だと認識しています。ですので上に上げたエントリには納得する部分が沢山あり、今回御紹介に至った次第です。

2曲目が三善晃のヴァイオリン協奏曲。1965年にNHKの委嘱により作曲された作品です。

ヴァイオリン協奏曲 (三善晃)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%83%B3%E5%8D%94%E5%A5%8F%E6%9B%B2_(%E4%B8%89%E5%96%84%E6%99%83)

20世紀的な和声の連続の中に、スタイリッシュな旋律が連なる作品です。

3曲目が外山雄三のヴァイオリン協奏曲です。1963年、NHK交響楽団コンサートマスターだった海野義雄の依頼により作曲されました。日本らしさがテーマとなる外山らしさが存分に表れている作品だと言えます。

それは音楽から始まった
外山雄三 ヴァイオリン協奏曲第1番 
http://mydisc.cocolog-nifty.com/favorite/2005/03/1-ab71.html

演奏するのは、3曲それぞれで異なり、間宮のは渡邉曉雄指揮日本フィルハーモニー交響楽団。後にシベリウス交響曲全集を完成させるコンビです。ソリスト江藤俊哉。私辺りまでの年齢の方だと、懐かしい名前なのではないでしょうか。まだ海外のオケがそれほど来ない時代、ヴァイオリン協奏曲のソリストは江藤さんだったことが多かったのです。実は2曲目の三善の作品を初演したのが江藤だったのですが、今回は間宮の作品を担当しています。艶がありカンタービレするヴァイオリンは、不協和音が多用されている作品の中に実は生命が宿っていることを如実に語ります。

三善は黒沼ユリ子のヴァイオリン、若杉弘指揮読売日本交響楽団。作品が持つ万華鏡のような世界を、存分に遊びまわっているという感じで、黒沼女史のレベルの高さを感じさせます。

そして最後の外山氏が何と!自作自演なんです。外山氏の指揮でオケはNHK交響楽団。で、ソリストはなんと依頼者の海野義雄。そんなことからか、爆演とも言うべきスペクタクルが展開されます。民謡が織りなすハーモニーが、ヴァイオリンとオケとの共演により、生命力一杯に描かれます。力づよい生命力に溢れています。

ホールも、1曲目が今は無き東京厚生年金会館。2曲目と3曲目が建て替え前の杉並公会堂と、まだいいホールなどない時代の、日本のオケの演奏を存分に楽しむことができます。そんな音響を想像しつつ作曲されたこれらの作品たちは、決して西洋音楽に劣ることなく、自立して立っていることを知ることができる素晴らしい音源だと言えるでしょう。




聴いている音源
間宮芳生作曲
ヴァイオリン協奏曲
三善晃作曲
ヴァイオリン協奏曲
外山雄三作曲
ヴァイオリン協奏曲
江藤俊哉(ヴァイオリン)
渡邉曉雄指揮
日本フィルハーモニー交響楽団
黒沼ユリ子(ヴァイオリン)
若杉弘指揮
読売日本交響楽団
海野義雄(ヴァイオリン)
外山雄三指揮
NHK交響楽団

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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