東京の図書館から、今回は府中市立図書館のライブラリである、フランクの3つのコラールと3つの曲を収録したアルバムをご紹介します。
フランクが作曲した「3つのコラール」と「3つの曲」という2作品が収録されたこのアルバム、そもそもフランクの作品が日本ではあまり演奏されない傾向があるので、こういった資料を持っていることは府中市立図書館が図書館としての役割りをしっかり果たしている証拠だと言えます。
「3つのコラール」はフランクが最後に作曲した作品で、オルガン曲です。そもそも、フランクは当時オルガン奏者としてのほうが名声があって、作曲はそれほどでもありませんでした。ですがこの作品だけは死後から熱烈な評価があった作品です。
聴いてみると、バッハかとおもわんばかりの音に包み込まれます。確かに熱狂する人がいてもおかしくはないかなと思います。ただ私は結構落ち着いて聴いていますけれど・・・・・とはいえ、この作品の3つを聴けば、やはり熱いものがこみ上げてきます。
「3つの曲」はそれ以前の1878年に開催された万国博覧会で設置されたオルガンのために書かれた曲。これも壮麗かつのびやかで、音に包み込まれつつも、強迫的ではない、美しくも情熱的な作品です。
この二つの曲を簡便に説明しているのが以下のサイトで、実は私は同じ演奏を聴いています。
ヨーロッパは、周辺に古いオルガンが残されていることが多く、フランクが生きた時代のオルガンとかを探すには実はフランス国内以外も視野に入れる必要があります。まあ、それだけ社会で痛みを持っているということでもあるのですが・・・・・戦争という痛み、を。
フランクは当時、事故による後遺症を持ち、さらには戦争で多くの知古を失っています。その意味では、バッハがオルガン曲をたくさん書いたり、あるいはカンタータを集中的にかいた時代にそっくりだとは言えるわけです。ですからバッハに似た構成になってしまうのは無理もないかなとは思いますが、それでもバッハと同じようなものではありません。少なくとも、フランクが生きた後期ロマン派という時代を反映した作品です。
その時代のオルガン作品としては、壮麗かつ壮大、そして饒舌な作品であり、まさに「歌って」います。そんな作品をこれまたポコルナは過度にロマンティックにもならず、しかし機械的にもならずに、絶妙なバランスを保って、作品の「いのち」に迫っているように思います。私がつい泣いてしまったり、感情がわきあがってしまって困ってしまうような場合もあったりして、まるでフランクの魂が私とリンケージしているかのよう。いや、エンゲージしたという法が適切かも。
それでいて、癒されもするのです。こういった作品がもつ多様性をしっかりと表現できるプロの仕事に触れることは、私にとってこの上ない幸せな瞬間です。
聴いている音源
セザール・フランク作曲
3つのコラール
3つの曲
イルジナ・ポコルナ(オルガン)
地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。