かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:トランペット協奏曲集

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回はトランペット協奏曲を特集したアルバムをご紹介します。

この手のアルバムですが、実は以前「今月のお買いもの」コーナーで横浜の関内にあった「プレミアムジーク」というお店で購入したアルバムをご紹介したことがあります。実はそのアルバムとソリストは同じ、モーリス・アンドレです。

だからこそ借りてきたという点もあります。特にアンドレの艶のある音色と歌うトランペットは魅惑的。実はハイドンと父モーツァルトは重複していますが(録音は異なる)、このアルバムを借りた最大の理由は、最後に収録されているモーツァルトのトランペット協奏曲にあります。

え?いわゆる「ヴォルフガング」がトランペットのも作曲していないよね?という、ア・ナ・タ。その通り、ヴォルフガングは作曲していません。しかしこの作品がK.314だと言えば、まさか!と膝を打つかと思います。そうなんです、オーボエ協奏曲をトランペットに編曲したものなんです。とはいえ、その編曲はモーツァルト自身ではなく、ソリストアンドレです。

そもそも、K.314は長らくフルート協奏曲として知られてきた作品です。ですがそもそもオーボエ協奏曲ではという疑念が長らく存在し、近年になってその存在が明らかになった作品です。であれば当然ですが、「縦笛」系統なら編曲しても差し支えない、ということになります。

少なくとも、調性に違いがあるだけでオーボエとフルートの二つがほぼ同じ内容を持つという点にアンドレが着目したのは間違いないでしょう。そしてこれはあくまでも私の推測ですが、古典派において、この二つの楽器は決して違う系統の楽器ではなく、「縦笛」であったということが、アンドレがこの編曲を行って収録した理由ではないかと思っています。そもそも、モーツァルトの時代までは、フルートとは現代のリコーダーを指すからです。現代のフルートの原型はフラウト・トラヴェルソです。楽譜では「トラヴェルソ」と記載されることが多い楽器です。

となると、オーボエもそもそもは縦笛ですから、モーツァルトの中では同じ楽器である、という意識はあったのではないかと思います。とはいえ、楽器には調性が決まっていることが多いため、移調をした、ということではなかったかと思います。そんなことをアンドレも考えて、この編曲をしたんだろうなあと想像できるわけです。

それにしても、聴きますと、まるで調性はフルート協奏曲のようにすら聞こえます。ですがクレジットはあくまでも「原曲:オーボエ協奏曲」であり、ハ長調。決してニ長調ではありません。そのあたり、アンドレの職人技も光ります。

実はこの録音は、私が某SNSで主宰する鑑賞会において、驚きと賛美をもって迎えられた演奏です。というより、その鑑賞会で使える!と判断したからこそ借りてきた、ともいえるアルバムなのです。まさか、あのフルート協奏曲第2番に、別の編曲があろうとは!という驚きです。そしてアンドレの素晴らしき表現力!ブラヴォウの嵐でした。

アンドレのトランペットはいつ聴いても飽きませんし、豊潤で素晴らしい!そして生命力の豊かさ。生きることの賛美が歌い上げられているのも好印象です。ああ、このまま聴いていいですか・・・・・あ、職場から電話がかかってきてしまったので行かなきゃ!遅刻してしまう!

 


聴いている音源
フランツ・ヨゼフ・ハイドン作曲
トランペット協奏曲変ホ長調Hob.VIIe-1
トランペット協奏曲ハ長調Hob.VIIe-C1
レオポルト・モーツァルト作曲
トランペット協奏曲ニ長調
ヴォルフガング・アマデウスモーツァルト作曲
トランペット協奏曲ハ長調K.314(原曲:オーボエ協奏曲)
モーリス・アンドレ(トランペット)
テオドール・グシュルバウアー指揮
バンベルク交響楽団ハイドン変ホ長調
フランツ・リスト室内管弦楽団ハイドンハ長調モーツァルト
フランソワ・パイヤール指揮
パイヤール室内管弦楽団(Lモーツァルト

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。