かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

コンサート雑感:第39回板橋第九演奏会を聴いて

コンサート雑感、今回は令和5(2023)12月9日に聴きに行きました、第39回板橋第九演奏会のレビューです。

東京都板橋区は、毎年第九の演奏会を開いているそうで、今年で39回目を数えるそうです。令和2・3年は新型コロナウイルス感染拡大により中止、昨年は様々な制限の下開催されたそうで、ようやく今年令和5年になって、通常通りに戻ったそうです。端的に言いますと、その影響が出た演奏会だったと感じました。

会場は板橋区立文化会館大ホール。ここは以前、中大オケとクレセント・フィルハーモニー管弦楽団の合同演奏会を聴きに行った時に訪れています。その時のホールの響きがよかったこともあり、それなら行ってみようかなと思った次第です。i amabileでですかって?違います。実は、府中市立中央図書館で、です。府中の森芸術劇場のだけでなく、近隣自治体、とくに他の都内地自体の演奏会も棚にチラシがあったりするのです。棚には日野市の第九もありまして、行こうと思ったのですがなんと売り切れ・・・・・久しぶりの制限なしの第九が聴けるとあって、各地で第九のコンサートは人気の様です。実際、先日エントリを立てましたMAXフィルハーモニー管弦楽団の第九も、ほぼ満員でした。

そしてこの板橋も、ホールはほぼ満員。当日は、以下のプログラム。

オール・ベートーヴェン・プログラム
フィデリオ序曲
交響曲第9番

さて、まずはフィデリオから・・・と行きたかったんですが、実は当日東武東上線で踏切事故のため池袋~ときわ台で運転見合わせ。タクシーを使おうかと思いましたがそこも長蛇の列。仕方なく、バスを使いました・・・着いたのは、ちょうどフィデリオが終って休憩に入った頃。電車に乗ったときすでに予定よりも出発が遅れていたため、JR東日本アプリを見て東上線が抑止されているのはわかっていましたが、予想よりもタクシーを待っている人が多かったのが読み違えでした・・・都営三田線を使わなかったことを後悔しています(ホールの最寄りは東上線大山駅ですが、都営三田線板橋区役所前駅も利用可)。

ですが、第九には余裕で間に合ったのが幸いです。コンサートによってはフィデリオ序曲程度なら休憩なしというコンサートもあります(先日のMAXさんは休憩が10分)。終楽章のみも覚悟しましたが、第九は全部聴けて良かったです。

今回の指揮者は大井剛史氏。以前、府中市交響楽団の「わが祖国」でタクトを振った指揮者です。アマチュアオーケストラを存分に鳴らすそのタクトに好印象を持っていたことも、今回足を運んだ理由の一つです。オーケストラは、東京フィルハーモニー交響楽団。え?プロオケなんですかって?そうなんです!いやあ、贅沢にプロオケなんですよ、板橋の第九って。それも実は楽しみの一つでもありました。

ですので、オーケストラの演奏は申し分なしです。そのうえ、強いアインザッツに込めた想いがひしひしと伝わってきます。オーケストラも一緒にやるのが楽しそうな感じ。力強さの中にも繊細な表情を込めており、さすがプロオケだなあと。体もかなり動いていましたしね。

一方、合唱団は多少オーケストラに飲まれていたような印象を受けました。制限がなくなったことは喜ばしく、その喜びゆえに、酔ってしまっていたように見受けられました。合唱団がちょっとだけ走るんですよね。もう少しだけオーケストラの音を聴いていれば合うのになあ、と。ただ、大井氏のタクトも、ちょっと見にくいかなという印象を受けました。オーケストラはそういう指揮者に慣れていると思うんですが、合唱団が久しぶりで、慣れていなかったかなという印象です。合唱団はアマチュアなので、どうしても発声がプロに比べればという点もありますが、ですがそれよりもちょっとだけ走り気味のほうが私は気になりました。はなから合唱団がアマチュアだとそこまで望んでいませんから。それなりに気持ちが伝わってくればいいと思って聴いていますし、むしろ気持ちが先に行ってしまったがゆえに走っていたはずですから。その気持ちはしっかりと届いていたと思います。ソリストも、特にソプラノが力強く美しい!日本人でこれほどすばらしいソプラノがいるのか!と思いました。

なので、聴いているうちに、どことなく流れ出る涙・・・やっぱり、年の瀬は第九だなあって思います。そして、そもそも連帯の歌であるということを、しっかり念頭に置いている解釈も良かったです。連帯を表わすような言葉をはっきりと発声させるなど、随所に細かいアーティキュレーションが見え、大井氏の優れたスコアリーディングを垣間見せてくれました。それに普通に答えるオーケストラと、必死に食らいついていく合唱団。こういう演奏が聴ける板橋区の皆さんは、幸せだなあと思います。是非とも、踏切事故が減りますように(そこ?)

さて、明日もコンサート雑感です。何と!名古屋のアマチュアオーケストラの第九を取り上げます。こうご期待!

 


聴いて来たコンサート
第39回板橋第九演奏会
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
歌劇「フィデリオ」序曲
交響曲第9番ニ短調作品125「合唱付き」
種谷典子(ソプラノ)
花房英里子(メゾ・ソプラノ)
小堀勇介(テノール
竹内利樹(バリトン
板橋第九合唱団
大井剛史指揮
東京フィルハーモニー交響楽団

令和5(2023)年12月9日、東京板橋、板橋区立文化会館大ホール

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。