東京の図書館から、今回は府中市立図書館のライブラリである、モルターのトランペット協奏曲集のアルバムを取り上げます。
モルターって、誰?って思いますよね?モルターはバロックから前古典派の時代に活躍した作曲家です。ヴァイオリン奏者でもあり、教育者でもありました。
ベートーヴェンが生まれたときにはすでにこの世を去っていますから、本当に古典派の最初期の作曲家だと言えます。むしろ時期的にはバッハとかぶっていると言っていいでしょう。そのため、音楽的にはバロックの色が濃いものとなっています。
とはいえ、ここに収録された協奏曲は、古典的な3楽章制を取り、さらにはオケが先行して独奏があとから奏でるという様式を持ちます。実に古典的な作品が並んでいるのですが、アンサンブルとしてはバロック。つまりは多感様式という感じです。
このアルバムには、ヴァイオリン奏者だったはずのモルターが作曲した、トランペットのための協奏曲が収録されています。トランペットは威勢がよく生命力があって聴いていて楽しいのですが、ちょっと気になったのはオーケストラに対して、トランペットがやたら目立つ点なんです。これって、初演時そうだったのかなあって思うんです。編成は小さかったはずですが、故にそんなにトランペットだけ目立つような作曲するかなあ、と。
確かに、バロックから前古典派の時代は、ソリストの時代なので、独奏が目立ってもいいとはいえ、例えばチェンバロがそこまで目立つかといえばそうでもありません。もっと軽く吹いていたのでは?という気がします。オケもソリストも素晴らしいのですが、トランペットがやたら目立ったことが気になりました。まあ、そんなもんかもしれませんけどね。
管楽器は、コントロールが難しい楽器でもありますしね。リサンプリングして聴いているためさらに目立つのかもしれません。臨場感は素晴らしいので、もともとの録音もいいんだと思いますが、特にトランペットは目立ちます。そのトランペットが実に歌っているのでつい酔ってしまいますが、でも音が飛び出ているのが気になるんですよねえ・・・・・
これ、例えばモーツァルトの管楽器の協奏曲だとそれほど気にならないんですよね。マイクの位置だとか本数とかでも違ってくるので一概に言えませんが、もうすこしだけトランペットが抑え気味だったら、最高なんですけどね・・・・・素晴らしい作品であるだけに、それだけが残念です。
聴いている音源
ヨハン・メルヒオール・モルター作曲
2つのトランペットと弦楽のための協奏曲ニ長調D.MWV Ⅳ7
トランペット協奏曲第2番ニ長調D.MWV Ⅳ13
2つのトランペットと弦楽のための協奏曲ニ長調D.MWV Ⅳ8
トランペット協奏曲第3番ニ長調D.MWV Ⅳ14
2つのトランペットと弦楽のための協奏曲ニ長調D.MWV Ⅳ10
トランペット協奏曲第1番ニ長調D.MWV Ⅳ12
2つのトランペットと弦楽のための協奏曲ニ長調D.MWV Ⅳ11
ギー・トゥーヴロン(トランペット)
ギー・メスラー(トランペット、IV7、IV8、IV10、IV11)
イェルク・フェルバー指揮
ハイルブロン・ヴュルテンベルク室内管弦楽団
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