かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~府中市立図書館~:ワルター指揮ニューヨーク・フィルによるベートーヴェンの第九

東京の図書館から、今回は府中市立図書館のライブラリである、ブルーノ・ワルター指揮ニューヨーク・フィルハーモニックによるベートーヴェンの第九を収録したアルバムをご紹介します。

ベートーヴェンの第九、あるいはブルーノ・ワルターが指揮したものは数多く出版されていますが、その中でもこの一枚は、コロンビア交響楽団ではなくニューヨーク・フィルハーモニックがオーケストラになっている点が特徴です。ワルターといえばついコロンビア交響楽団の演奏を想起するのですが、ニューヨーク・フィルハーモニックとの録音も数多いことはよく知られています。

今回はその中でもニューヨーク・フィルハーモニックとの共演によるものです。ニューヨーク・フィルハーモニックとの録音は第九では2つ確認しており、一つは1949年に録音されたもの、そしてもう一つは第4楽章だけ1953年に録音したものに差し替えたものです。

tower.jp

で、今回取り上げる録音は第1楽章から第3楽章までは1949年の録音、第4楽章は私の記録では1963年になっているのですが、おそらく1953年の間違いだと思います。検索してもヒットしないためです。では後者なのかといえば、私がCDから書き写した記録を見ると、1949年は5月4日、1963年(おそらく1953年)は3月7日となっており、日付が違うのです。ただ、ソリストは同一なので、大元が間違っている可能性もあります。そのため、この録音は後者ではないかと思います。

つまりは、第4楽章だけ録音時が異なる、ということになります。聴いているとそん色ないですし統一感もあるのですが、そもそもはスタジオ録音なので、つぎはぎはよくあることです。なのでその点はあまり気にしないのですが、ただ、第3楽章までは1949年という時期もあるのか、演奏が不安定になっている部分があります。ではだめなのかといえばそうではなく、プロでも感情に負けてしまったという感じなのです。

なら、第4楽章も同じような部分があるのかといえばそんなことがないんです。その意味では統一感がないわけなのです。演奏としては超一流でそん色ないんですが。その細かい部分で統一感を感じられないんです。

そうなると、むしろ1949年に録音された第4楽章も聴きたいと思うのですが、聴いた方のブログなどを読む限りでは、特段おかしくないしなんで録音しなおしたのだろうという意見も散見されます。私としてもむしろ録音しなおすのなら第3楽章までなのでは?という気がします。とはいえ、聴いていて問題があるというわけではありません。そのあたりはレコーディングエンジニアの「UD」だなあと思います。え、UDって何って?ええ、「腕」のことです。某youtuberの真似です、はい・・・・・ウナ丼さんすみません(って、「某」じゃないじゃんって突っ込まないで~)

ワルターは当時絶大な人気を誇っていましたし、さらには第2次大戦が終わって4年しかたっていないというタイミングもあり、つい感情が先走った部分もあったんだと思います。プロでもこういうことがあるのねと、ほほえましくも感じます。第4楽章は録音しなおしただけあり特に合唱が力強くかつしなやか。聖歌隊なのか違うのかでは検索では出てきませんが、実力ある合唱団であることは聴いて確かです。第九という曲がいかにヨーロッパにおいて重要な曲なのかを目の当たりにしたように思います。

そういえば、バーンスタインが指揮した混成オーケストラによる第九も、アメリカのオーケストラとして参加したのはニューヨーク・フィルハーモニックでした。バーンスタイン音楽監督だったということもあるんでしょうが、このワルターの録音も念頭にあった可能性はあるでしょう。私たちは単なる巨匠としか考えないんですが、いろんな指揮者に影響を与えたことを知るには、こういった録音を聴くのが最も適切なのだなあと思います。実はこの録音、モノラルなんです。しかしそん色ないんですよね、生命力とかが。

勿論、私がアップスケーリングで聴いているということもあるんでしょうが、それだけではなくそもそも演奏が持つ生命力があればこそ、です。そしてそもそもの録音技術の良さ。いろんな意味で時代を感じる録音です。

 


聴いている音源
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
交響曲第9番ニ短調作品125「合唱付き」
フランシス・イーンド(ソプラノ)
マーサ・リプトン(メゾ・ソプラノ)
デヴィッド・ロイドテノール
マック・ハーレル(バリトン
ウェストミンスター合唱団(合唱指揮:ジョン・フィンレイ・ウィリアムソン)
ブルーノ・ワルター指揮
ニューヨーク・フィルハーモニック

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。