かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~府中市立図書館~:天満敦子 Souvenir

東京の図書館から、今回は府中市立図書館のライブラリである、天満敦子のアルバム「Souvenir」を取り上げます。

天満敦子に関しては、以前宮前フィルハーモニー交響楽団のコンサート評で登場しています。私も出会ったのは宮前フィルハーモニー交響楽団定期演奏会でした。

そのころはまだアルバムも出していなかったのではないかと思います。そののちあれよあれよと有名になり、もう一度宮前フィルと共演した時のコンサートをこのブログで取り上げたのでした。

ykanchan.hatenablog.com

この時にはすでにいくつもアルバムを出す名ヴァイオリニストへと天満さんも成長し、宮前フィルの成長もあって、素晴らしい演奏会になったのでした。勿論、震災で演奏できないという困難を乗り越えてというのもありましたが・・・・・

そんなことから、天満敦子の演奏には実は以前から興味を持っていたのですが、なかなかCDを買うような機会がありませんでした。ところがです、府中市立図書館の凄いところは、そんな天満さんのアルバムを取り揃えていたことです・・・・・

事実上の3回シリーズで、天満敦子女史の演奏を取り上げることになります。その第1回が今回取り上げるアルバム、Souvenirです。

Souvenirとは「おみやげ」という意味を持ちますが、それは他者に対するものではなくむしろ自分自身に向けられるものを指します。

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ですから、このアルバムを和訳するとすれば、それは「追憶」とか「自分へのご褒美」などと訳されるのが適切だろうと思います。私は「追憶」というほうを採用します。それはここに収録されている作品の多くが、追憶に関連するものになっているからです。

収録曲は最後に挙げておきますので見ていただきたいのですが、どれもどこか自分の心の琴線に触れるものが多いように思われます。特に最後の「ツィゴイネルワイゼン」は天満女史の十八番ですが、実に情熱的に演奏されています。ですが過度に歌いすぎることもなく、淡々と歌い上げるのもまた、この演奏の素晴らしいところです。

それはピアニストにもよるのでしょう。ピアノは吉武雅子。あまり聞いたことがない名前かもしれません。ですが演奏及び伴奏ピアニストとしてはかなり優れた人でもあります。

www.senzoku.ac.jp

天満さんは東邦音大の教授をされているので、大学を超えた共演となっていますがそれも注目ですけれど、吉武女史のピアニズムもまた、実にロマンティストでいいのです。そのうえでしっかり天満女史に寄り添ってもいます。

実は、吉武女史は私のアマチュア合唱団時代の練習ピアニストでした。宮前フィルハーモニー合唱団「飛翔」の練習ピアニストであり本番ピアニストだったのです。常に友人とは「この先生に練習ピアニストをやっていただいているのは申し訳ないよね」と話していたことを思い出します。そのうえで吉武「先生」とは同じ釜の飯を食った同志でもありました。合唱団の音楽監督だった守谷弘が主宰して食事会などがあり、たまに吉武先生もいらしていたからです。愛くるしい笑顔の内側に秘めた情熱を持つひとだと当時判断していました。

その判断は間違っていなかったと、このアルバムのピアノを聴いても思います。特に最後の「ツィゴイネルワイゼン」で情熱的な天満さんのヴァイオリンと共演する吉武女史のピアノは絶品!

もっと早く吉武先生と演奏についての話をしたかったなあと、ちょっと残念な「追憶」がよみがえる私です。

 


聴いている音源
天満敦子 Souvenir
①「ホーム・スウィート・ホーム」の主題による変奏曲(ファーマ―)
②ユモレスク(ドヴォルザーク
③ロマンス〔ヴァイオリン協奏曲第2番第2楽章](ヴィエニャフスキ
④嘆きのセレナード(トセリ)
⑤ロンドンデリーの歌(アイルランド民謡/和田 薫編、無伴奏
シチリア舞曲(パラディス/ドゥシュキン編)
⑦詩曲(フィビフ/リンツ編)
スケルツォ〔F.A.Eソナタ第3楽章](ブラームス
⑨思い出(ドルドラ)
⑩アンダンテ・カンタービレチャイコフスキー
ハンガリー舞曲第1番(ブラームス/ヨアヒム編)
⑫哀歌(ポルムベルク/小林亜星編)
⑬グリーンスリーヴズ(イギリス民謡/和田 薫編、無伴奏
⑭子守歌(フォーレ
ツィゴイネルワイゼンサラサーテ
天満敦子(ヴァイオリン)
吉武雅子(ピアノ)

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。