東京の図書館から、今回は小金井市立図書館のライブラリである、武満徹の管弦楽作品集を取り上げます。
ほぼ1980年代の作品が並んでおり、武満晩年の充実した作品ばかりです。有名な「鳥は星形の庭に降りる」など、幻想的な作品ぞろい。
収録されている作品は単独で作曲されたものばかりで、映画音楽からとったものはほとんどありません。それだけに管弦楽作品として堂々たるものです。中には協奏的作品もあります。
全体に共通しているのは、不協和音が多用されているわりには、生命力が感じられる作品が多いということです。それを踏まえてなのか、演奏するメルボルン響はその和声を人間の声のように演奏します。
そのメルボルン響を振るのが、岩城宏之。武満と関係も深い指揮者ですから、まるでメルボルン響を一つの大きなメガホンのように使いつつ、繊細な内面を表現しています。それがとっても魅力的。
通常、不協和音多用となるとつまらない演奏になりがちなのですが、そこにいかに魂を表現するか・・・・・20世紀音楽の肝はそこにあると思いますが、この演奏は実に人間的です。しっかり魂が込められています。
武満の音楽もさることながら、20世紀音楽をどう表現すればいいのか。この演奏は語っています。
聴いている音源
武満徹作曲
夢の時(1981)
ノスタルジア~アンドレイ・タルコフスキーの追憶に(1987)
虹に向かって、パルマ(1984)
ヴァイオリンとオーケストラのための「遠い呼び声の彼方へ!」(1980)
鳥は星形の庭に降りる(1977)
マイケル・ダウス(ヴァイオリン)
佐藤紀雄(ギター)
ジェフリー・クレリン(オーボエ・ダモーレ)
岩城宏之指揮
メルボルン交響楽団
地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。