かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~府中市立図書館~:浦川宜也とフランツ・ルップによるベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全集3

東京の図書館から、3回シリーズで取り上げております、府中市立図書館のライブラリである、浦川宜也とフランツ・ルップによるベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全集、最後の第3回は3枚目に収録されております、第6番、第8番、第9番「クロイツェル」の演奏を取り上げます。

この3曲は3楽章制。そして第1集も3楽章制。第2集は4楽章制の曲が並んでいることは偶然ではないと思っています。おそらくどうせ詰め込むのなら意味のあるものにしようとこのようになったと推測します。

それが図らずも、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタがやはり革新的な作品達であったことを物語っています。ただ、その革新性にこだわるあまり、第2集まではあまりいい演奏になっていないように思います。

ただ、この第3集では違います。ヴァイオリンとピアノの掛け合いがまさに素晴らしく、双方でアーティキュレーションも見事。ヴァイオリンだけでなくピアノもしっかり歌っていますし、激しいところではヴァイオリンがまるで叫びます。対等な立場で一心同体な感じの、爽快かつ清廉な演奏です。

そうなると、やはりお互いの表現を詰めるコミュニケーション不足という、私の予測が当たったようです。そりゃあ、バンベルク響の第1コンサートマスターを務めたくらいの人が、下手な演奏するわけないですからねえ。そんなことだろうと思っていました。

浦川氏はまだ存命ですが、もうお歳なので演奏となると難しい部分もあるでしょう。しかしプロだからアマチュア活動をしてはいけないという法はありません。アマチュアオーケストラの団員として演奏に参加するという方法は残されているように思います。そんな機会があればぜひともライヴで聴いてみたいものです。それだけ魅力的な演奏です。

日本人として、本場のベートーヴェン観を背景とした演奏のパイオニアとして、この浦川氏を私はとらえています。この第3集を聴いて全体をふり返ってみると、紆余曲折しながら真のベートーヴェンの姿を追い求めた録音という気がします。その意味では、ベートーヴェンの「真の魂」へと近づいた演奏なのかもしれないなと、今では考えます。

こうなると、独奏も聴きたいなあと・・・・・さて、そんな機会が訪れるのか?神様にお任せすることといたしましょう。

 


聴いている音源
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
ヴァイオリン・ソナタ第6番イ長調作品30-1
ヴァイオリン・ソナタ第8番ト長調作品30-3
ヴァイオリン・ソナタ第9番イ長調作品47「クロイツェル」
浦川宜也(ヴァイオリン)
フランツ・ルップ(ピアノ)

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。