かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から〜小金井市立図書館〜:武満徹 ピアノ作品集

東京の図書館から、小金井市立図書館のライブラリをご紹介しています。今回は武満徹のピアノ作品集です。

大体、日本人作曲家の室内楽など、我が国ではあまり顧みられることが少ないんですよね。その意味では小金井市立図書館の素晴らしいライブラリの一つだと思います。

え、武満徹なんて有名じゃん!って言う人もいるかと思います。けれどもそれは管弦楽作品の話。ピアノ曲で武満が作曲したのって、挙げられます?なかなかでしょ?実のところ私もそうだったのですから。だから借りたんです。

そもそも我が国のクラシックファンの傾向として、管弦楽作品は重用されても室内楽となると顧みない人が多く存在します。大作曲家の作品、たとえばベートーヴェンの金字塔である弦楽四重奏曲ですらその傾向があり、ピアノ・ソナタがようやく認知されているのかなって感じ。ブラームスになるとむしろ室内楽のほうが作品として圧倒的に多いのに、交響曲や協奏曲ばかり。そんな傾向ででは自国の作曲家は・・・・・顧みるはずもないですね。

武満はリベラルだったがゆえに、室内楽、特に今回取り上げるピアノ曲においては、同時代の音楽の影響をもろに受けている作曲家です。不協和音多用の調性感があまり感じられない音楽にびっくりする人も多いかもしれません(それゆえに武満などと貶める右翼も多いのですが、それもどうかと思います)。けれどもそこには武満の精神世界も反映されているように感じるのは私だけなのでしょうか。

そんな武満も、その不協和音こそ自分の音楽だと思っていたわけではないようです。それがうかがえるのが、1曲目の「リタニ」。実はこの作品、武満若き日の作品を焼き直したもの。若き日の作品そのものでは決して演奏させないとし、この「リタニ」も実は直筆譜の公開がないという代物です。

2つのレント
https://ja.wikipedia.org/wiki/2%E3%81%A4%E3%81%AE%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%83%88

とにかく、新しい音楽を作ろう・・・・・そんな若き情熱がほとばしる、「静かな」音楽です。けれども評論家の山根銀二にけちょんけちょんにされてしまうんですね・・・・・その傷つき具合たるや、想像を絶すると思います。このエピソードを見るだけでは、武満は軽いPTSDになってしまったのではないかと思います。あるいは引きこもり傾向か。そこから回復するまでの道のりはどれほど大変だったろうかと思います。まだ右翼の黛氏のほうが適切な批評をしているように思うのは私だけなのでしょうか?

演奏するのは、小賀野久美。あまり聞きなれない名前かもしれませんが、実はこのアルバム、DECCA。DECCAで採用されるピアニストであるということは、それなりの実力は持っていると判断はできます。不協和音が多用されているとはいえ、アコーギクも十分利かせてまるで歌うよう。その「歌」は時には生命の源へとたどる旅のようでもありますし、原初の音楽のようでもあります。宇宙からのパルサーのようでもありますし、実に多彩。武満の音楽に様々な顔があることを教えてくれる演奏になっているのはとても楽しい!

いやあ、こういった不協和音バリバリの曲で楽しいと感じる作品は少ないです。動きが少ないだけにさらに、です。けれども小鹿野女史はいとも簡単に楽しいと感じられるように弾くんですよねえ。もちろん、演奏はとても静的。なのになんです。アコーギクの利かせ方がうまいんだろうなあと思います。武満の作品が持つ「世界」というものを、楽譜から存分に読んで咀嚼している様子がわかります。なるほど検索してみれば結構な数アルバム出しており、納得。この人でもっと聞きたい!と武満で思わせるのは実力だと思います。




聴いている音源
武満徹作曲
リタニ〜マイケル・ヴァイナーの追憶に(1950/1989年ヴァージョン)
遮られない休息(1952〜1959)
ピアノ・ディスタンス(1961)
ファー・アウェイ(1973)
閉じた眼(1979)
閉じた眼�U(1988)
雨の樹 素描(1982)
小賀野久美(ピアノ)

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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