かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~府中市立図書館~:ハチャトゥリアン バレエ「スパルタクス」

東京の図書館から、府中市立図書館のライブラリをご紹介します。ハチャトゥリアン作曲のバレエ「スパルタクス」です。

え?こんな時期にハチャトゥリアンの作品を取り上げるのですかって?もちろんです。この時期だからこそ取り上げるのです。しかも、「スパルタクス」を、です。

題材は、もう有名すぎるローマにおける反乱なのですが・・・・・

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「ガイーヌ」でも出てくるようなリズムもあったりして、そのあたりは社会主義リアリズムだなあと思いますが、とはいえ、そもそも反乱を題材にするということは下手すれば旧ソ連当局からにらまれる結果にもなったわけで、そうとうな冒険であるともいえます。

そもそもはこのアルバム、CD3枚なのですが、しかし長く感じません。あっという間に物語が進んでいきます。それだけ惹きつけるものをもっているからこそ、様々免れたのであろうと想像します。

アルギス・ジュライチス指揮のボリショイ劇場管弦楽団による演奏ですが、徹頭徹尾生き生きとしたものになっています。本来、芸術がしっかりしていればいいものになるはずなんです。

しかし、この時代よりも共和制を取るはずのロシアの、今のオーケストラ、特に政府の息のかかったゲルギエフやクルレンツィス指揮ムジカ・エテルナからこのような生命の息吹が感じる、どこか魂が揺さぶられるような演奏がないのです。むしろ旧ソ連よりも退行してしまったかのようです。それはおそらく、為政者による社会支配が理由なのではないかと昨今考えるようになりました。

作品はおろか、演奏まで色あせてしまうとは・・・・・ロシアの芸術はそんな陳腐なものではなかったはずです。この演奏は1972年のもの。録音はやや悪いのですが、それでも聴いていて体が動いてしまいかねません。このような演奏が近年のロシアのオーケストラにありましたでしょうか?

もちろん、私自身ソ連が良かったというつもりはありません。しかし、本来ソ連よりも自由であるはずのロシアで、むしろ窮屈な芸術だけが幅を利かせているのであれば、それは残念であるというほかはありません。今こそ、ロシアに「スパルタクス」のような人材が必要なのではないでしょうか。

 


聴いている音源
アラム・イリイチ・ハチャトウリャン作曲
バレエ音楽スパルタクス」全曲(原典版
アルギス・ジュライチス指揮
ボリショイ劇場管弦楽団

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