かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~府中市立図書館~:ウィドール オルガン交響曲ほか

東京の図書館から、今回は府中市立図書館のライブラリである、ヴィドールのオルガン交響曲ほかを収録したアルバムをご紹介します。

ヴィドールは19世紀~20世紀にかけて活躍したフランスのオルガニストで作曲家です。教育者としての功績もあり、多才な人だったようです。

ja.wikipedia.org

様式的には前期ロマン派。長生きしたので時代的にはいわゆる「20世紀音楽」の時代まで生きた人ですが、前期ロマン派的な様式は終生変わらなかったようです。

そんなヴィドールの作品が収録されたこのアルバム。実はウィキと記載が異なるものがあり、オルガン交響曲のいくつかが、「オルガン協奏曲」として紹介されているのです。これはちょっと面喰うのですが、作品番号と突合すると、ほぼヴィドールのオルガン独奏曲で有名どころは収録されていることから、ヴィドール作品入門編として適切なのではないかと思います。

それでも、各曲は前期ロマン派的でもあり、あるいはバッハ的でもある、不思議な作品達です。それがヴィドール作品の個性なのかもしれません。オルガン曲とは言え、とても親しみやすい作品達だと言えましょう。特に前期ロマン派の時代のオルガン曲は知られている作品が少ないだけに、貴重なアルバムだと思います。

演奏するのはトーマス・トロッター。フランスはリヨンの教会のオルガンで、繊細かつ大胆な演奏をしています。バッハのような宗教音楽ともとれなくもない感じから一転、オルガン独奏曲として確立された作品達を、縦横無尽に弾くことにより、各作品が持つ「ロマン派としての息吹」を表現しています。こういう演奏にあたると、オルガン曲は圧倒的なことで抑圧的だという批判は当たらないのでは?と思うわけなのです。

オルガン曲と言えばバッハしか思い描かないのが普通だと思うのですが、実際にはロマン派以降でも少数ですがオルガン曲は作曲されています。それを聴いてもなお、抑圧的なのか?という問いを自らにした後で結論を出しても遅くはないように思います。こういうライブラリを持っている図書館こそ、やはり通うべきだと私は思います。特にネットだけだとやはり自分の好きな作品ばかりに目が行きがちです。しかし図書館という、司書という専門家の目を通して集められた場所で音源を物色することで、私たちの目が見開かれるように思います。

 


聴いている音源
シャルル・マリー・ヴィドール作曲
オルガン協奏曲 第6番作品42-2
ゴシック交響曲 作品70
オルガン協奏曲第8番作品42-4
3曲からなる小品集、作品87
オルガン交響曲第8番作品42-1
トーマス・トロッター(オルガン)

※曲名はCDのものをそのまま掲載しました。ウィキに従えば、オルガン協奏曲第6番はオルガン交響曲第6番、オルガン協奏曲第8番はオルガン交響曲第8番、オルガン協奏曲第8番はオルガン交響曲第5番となります。


地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。