かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:クレメンティ 交響曲全集1

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回から2回、クレメンティ交響曲全集を取り上げます。まず第1回目は第1集に収録されている、第1番と第2番を取り上げます。

クレメンティもこのブログでは初登場となる作曲家です。聴衆にはあまり知られていない人ですが、ピアニストには広く知られている作曲家です。

ムツィオ・クレメンティ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A0%E3%83%84%E3%82%A3%E3%82%AA%E3%83%BB%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%A3

様式からの時代区分として、古典派が適当かどうかはわかりません。私としては前期ロマン派にカテゴライズしています。その上で作風としてはより古典派に近いという認識を持っています。

ピアノ作品はまだ聴いていないのですが、ブリリアント・クラシックスからピアノ・ソナタ全集が出ており、いつか買い求めたいと思っているのです。ですから正確なことはそれを買い求めて聴いた後にしたいと思うのですが、少なくとも、交響曲を聴いたかぎりでは、古典派と即断するのは無理だと思っています。

だからこそ、私はクレメンティを前期ロマン派にカテゴライズしているのです。もっと正確に言えば、古典派ではあるが、多分に前期ロマン派の雰囲気を持つというほうが近いのかなと思います。

この第1集に収録された第1番と第2番を聴く限りにおいては、どうも古典派という雰囲気をもたないのです。ウィキによると、交響曲を作曲したのは1785年頃とありますが、私が借りた音源の解説によれば、ここに収録された作品は19世紀に入ってからの作曲だと言うのです。

クレメンティ交響曲は、実は完全な形で残っているものがなく、ここに収録されているのはピエトロ・スパーダの校訂による再構成です。それによる第1番と第2番とされた作品は、少なくとも1811年頃に演奏されており、その時点では完成されていたであろうとされています。しかも、最後の演奏は1823年だと言いますから、時期的には前期ロマン派の作品がどんどん出てきている時期になります。

とは言え、クレメンティベートーヴェンよりも年上で、むしろ年齢的には若干ですがモーツァルトに近い人です。本来であればバリバリの古典派であるはずが、この再構成された交響曲からは古典派よりも、前期ロマン派的な色彩が強く出ています。あえて古典派というのなら、ハイドンモーツァルトよりもベートーヴェンに近いと言えるでしょう。

ウィキと音源の解説とを読んで分析すれば、クレメンティ1780年代から交響曲を作曲し始めたが、ハイドンが出てきたと言うよりも、先輩ハイドンが上にいるので注目されず、そのうちモーツァルトが席巻し、それほどシンフォニストとしては有名になれなかったと言えるでしょう。そしてじきにベートーヴェンの時代になった・・・・・

しかし、第1番と第2番ともに、モーツァルトベートーヴェンを研究して作曲しているような雰囲気を持ち、ハイドンよりは先進性をもっています。この第1番と第2番と言われている作品が文字通り最初の作品と2作目とは言いがたいと思いますが、クレメンティという作曲家が決して凡庸ではなかったという事は、作品を聴く限りにおいては言えるかと思います。

これまでも取り上げてきましたが、古典派から前期ロマン派の時代にかけて、私が知っているよりもはるかに多くの作曲家がおり、私達が現在知っている作曲家よりもはるかに有名であったということは、念頭に置いていいでしょう。オケも指揮者も、前提として「ハイドンモーツァルトベートーヴェンだけではない」ということを踏まえていると考えられます。明るさと爽快感、そして平明さを持ち合わせた演奏は、作品が決して駄作ではないことを、語っています。

編成は‏前期ロマン派的で、様式的には古典派的で、全体的には前期ロマン派という印象を受ける二つの作品を、ただただ鳴らすだけで音楽を聴く喜びに溢れる作品であると語るのは、オケがフィルハーモニアであるという事もあるのでしょう。楽しい=快感ではなく、楽しい=喜び(快感も含め)となるのは作品のもつ力ですが、一方でオケの表現力にも左右されます。きちんとしたアンサンブルで聴けば、19世紀初頭に散逸した非凡な作品が、実はもう一度再構成されるべき、美しく喜びに満ちた作品であることを、証明したと言えましょう。




聴いている音源
ムーツィオ・クレメンティ作曲
交響曲第1番ハ長調
交響曲第2番ニ長調
クラウディオ・シモーネ指揮
フィルハーモニア管弦楽団
(校訂:ピエトロ・スパーダ)

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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