かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:フィールド ピアノ作品集第1集

今月のお買いもの、平成27年4月に購入したものをご紹介しております。今回は新宿ディスクユニオン新宿クラシック館にて購入しました、ナクソスから出ているフィールドのピアノ作品集の第1集です。

以前、同じくディスクユニオンで購入したナクソスのフィールドのピアノ協奏曲集を取り上げているかと思いますが、その時から、フィールドのピアノ作品が聴きたいと思っていました。

今月のお買いもの:フィールド ピアノ協奏曲第1番・第3番
http://yaplog.jp/yk6974/archive/1272

この時はフィールドの夜想曲ノクターン)がどのような作品なのかなどは、全くわからずじまいでした。で、今回、そのノクターンを聴く機会に恵まれました。

本当は第2集も一緒に買えればよかったのですが、取りあえず、この第1集だけを購入しました。中古CD店ですし、第2集もあることなんて、めったにあることではありません(ですから、全集ものがあればなるべく買う事にはしているんですよね、ディスクユニオンでは)。

この第1集だけでも、フィールドのノクターンがどのようなものであるかが、ある程度判るからです。

ただ、それで残念な点もあります。実はこのCD、ノクターンだけではなく、あくまでも「ピアノ作品集」ですから、それ以外の作品も収録されているわけなんですが、そのなかでピアノ・ソナタ作品1があります。本来、作品1は3曲がセットなのですが・・・・・

ジョン・フィールド
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%89

このアルバムでは、2曲までしか収録されていません。できれば、ピアノ・ソナタはセットで入れてほしかったなあと思います。ナクソスにしてはあまりいい編集ではないように思います。

恐らく、フィールドがノクターンの祖師であるということに重点が置かれているのでしょう。それはそれでいいと思いますが、それならば、半分だけではなく、一気に全部かそれに近い数収録してしまってもよかったように思います。残りとピアノ・ソナタを次に入れればいいだけです。

と言うのは、実はノクターン第1番とピアノ・ソナタ作品1とでは明らかな違いがあり、ノクターン第1番はすでにロマン派の香りがあり、後のショパンを想起させるに十分な独創性を持っていますが、ピアノソナタでは作品1-1はまるでベートーヴェンです。

恐らく、そのフィールドの時代性というのも、考慮したのでしょう。ですから、こんな中途半端な編集になったのだと思います。

一方、だからこそ浮かび上がってくるのが、フィールドの先進性と、パイオニア精神です。時代的にはベートーヴェンと重なるフィールドが目指したもの、それは、新しい音楽であったという事です。単一楽章で形式にこだわらないノクターン。それは、古典派の「形式美」とは違った方向性です。

フィールドなり、ウェーバーなり、クレメンティクレメンティはフィールドとも親交がありました)なり、古典派晩期から前期ロマン派にかけての作曲家たちは、新しい音楽を追い求めていきました。それがシューマンメンデルスゾーンに受け継がれ、さらに後期ロマン派へと引き継がれていくわけです。

形式にとらわれない、個人の解放。それを、どう音楽で表現していくか。形式というものが本来持っている美からどう解放されて、新しい美を構築していくか・・・・・その試行錯誤の出発点の一つに、このフィールドのノクターンたちが挙げられていいのではないかと思います。そして、それを強調するためには、ピアノ・ソナタの収録もまた、必要であったのでしょう。その点では、素晴らしい編集だと思います。

第2集ではどうなるのかが、こうなると楽しみです。ショパンのような華美な作品はないんですが、徹底的に暖かいそのノクターンは、聴く者にやすらぎを与えることでしょう。それもまた、前期ロマン派の作曲家たちが目指した方向性でもあります。

ロマン派以降、ピアノ作品や交響曲において、ベートーヴェンの影は大きかったと言えます。そこからどう解き放たれて、自己を表現していくか・・・・・これは、一つの命題だったと思います。ベートーヴェンのまるで世界を背負うかのような音楽は、私達に勇気と希望を与えますが、それだけが人間の魂を揺さぶる音楽ではないように思います。暖かい音楽も、凍えた経験を持つ人にとっては、正に自分を理解するものとして、魂が揺さぶられるのではないでしょうか。

この第1集に収録されている作品たちは、暖かい音楽が魂を揺さぶることもあるのだと言う、まさしくぴったりの作品たちであると言えましょう。

演奏しているフリスは、この作品たちが作曲された時期も考慮しているかのように、リフレインは弱く演奏しています。それでいて、古典派的ではなく、むしろロマン派の香りがするのは、作品そのものの魅力だと言えるでしょう。

プロのピアニストの方たちにとっては当たり前のフィールドも、私達聴衆にとってはまだまだ未知の作曲家だと言えましょう。クレメンティともども、無理のない範囲でこのブログで取り上げることが出来たらと思っています。




聴いているCD
ジョン・フィールド作曲
ノクターン第1番変ホ長調
ノクターン第2番ハ短調
ノクターン第3番変イ長調
ノクターン第4番イ長調
ノクターン第5番変ロ長調
ピアノ・ソナタ変ホ長調作品1-1
ノクターン第6番ヘ長調
ノクターン第7番ハ長調
ノクターン第8番イ長調
ピアノ・ソナタイ長調作品1-2
ノクターン第9番変ホ長調
ベンジャミン・フリス(ピアノ)
(Naxos 8.550761)

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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