かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:ガーシュイン ピアノ独奏曲全集

今月のお買いもの、平成27年4月に購入したものをご紹介しております。今回は銀座山野楽器本店にて購入しました、ガーシュインのピアノ独奏曲全集をご紹介します。

ガーシュインについてはこのブログでも2度ほど取り上げておりますが、ジャズピアニストであったという側面からすれば、やはりこの人はピアノを得意とする作曲家だと言えましょう。

たまたま、時代の波に乗ってミュージカルを多く作曲したので、歌曲や管弦楽作品が取り上げられることが多いのですが、ガーシュインのもともと得意とした楽器であるピアノの作品を聴きますと、そこには私達にとって喜びとなるような、魂の作品が多くのこされていることに気が付かされます。

その上、このCDに収録された作品は、ガーシュインはジャズやミュージカルと言った作品からは見えてこない、クラシック本流に入る作曲家であるということを、如実に表している作品ばかりであることにも気が付かされるのです。

例えば、3つの前奏曲であったり、2つの調による即興曲などは、明らかにショパン以来のクラシックの流れに沿った作品ですし、またそれ以外の、例えば有名な「アイ・ガッタ・リズム」であっても、それは前回ご紹介したフィールドの「ノクターン」のように、形式にとらわれない単一楽章の作品であるととらえることが出来ます。

つまり、前期ロマン派で始まった様々なピアノによる作品の試行錯誤の、一つの結果が現われていると言えるのです。単に美しくうっとりするだけではなく、そこにクラシックの伝統が息づいています。

多分、ガーシュインをクラシックの伝統に基づいているというテクストで語ることはあまりないように思います。ガーシュインがきちんとした音楽教育を受けていないという点も背景にあるのでしょうが、例えば、ワーグナーもきちんとした教育を受けてはおらず、楽典は独学です。恐らく、ヨーロッパ大陸よりもアメリカは劣っているという視点が強いのでしょう。

本当にそうでしょうか?アメリカはアングロ・サクソンの国です。ヨーロッパ文化の影響がそこかしこに息づいている国です。未だに白人至上主義ですし(それは一面アメリカの暗い部分を示します)。それでも、ヨーロッパとは違うと言えるでしょうか。歴史が浅いからヨーロッパよりも下になるのでしょうか。

確かに、アメリカにはバロック時代の音楽などありませんし、歴史は浅い国です。では、ヨーロッパでも周縁の国々と比べてどうでしょう?殆ど差がないことに気が付きはしませんでしょうか。例えば、スウェーデンや、ノルウェーデンマークと言った国々と比べて、どれだけクラシック音楽の歴史は古いでしょうか。

アメリカという国は、今まで大国であったがために、ヨーロッパの周縁という視点はなかったように思います。然し文化的には、ヨーロッパの周縁国です。ですから、確かにフランスやドイツと言った苦に比べれば浅い歴史かも知れませんが、ヨーロッパの周縁国の中ではそれほど浅いとは言えません。

ドヴォルザークアメリカに渡ったのは19世紀でしたが、クラシック音楽そのものは、演奏は18世紀から行われてきたわけで、それであればそれほど浅いとは言えません。フランスやドイツ、イタリアと言った、かつてクラシック音楽の中心地だった場所ばかり見れば、そういう卑下する視点になるでしょう。しかし、私は必ずしもその視点を取りません。

私が注目するのは、新しかろうが古かろうが、いかにクラシック音楽の伝統に即しているか、です。それはヨーロッパであろうが周縁であろうが関係ありません。ガーシュインは明らかに、クラシック音楽の伝統の延長線上にいる作曲家なのです。

それがたくさん詰まっているのが、このアルバムの特徴であると言えるでしょう。そもそも、ガーシュインユダヤ系です。そのことを忘れた評論はおおいように思います。

ジョージ・ガーシュウィン
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%BB%E3%82%AC%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%B3

ガーシュインが初めて聴いた音楽がドヴォルザークの「ユーモレスク」だったというのはとてもエポックメイキングだと思います。ドヴォルザークアメリカにもたらしたものは、その後のアメリ国民楽派、或はアメリ新古典主義音楽といった作品を生み出す、一つのきっかけだったからです。ドヴォルザークが本場のクラシック音楽を校長として教える任務を果たしたからこそ、その後グローフェやコープマンなどの作曲家が出でることになったからです。

ピアニストのアンジェラ・ブラウンリッジはクラシックのピアニストながらリズム感が抜群で、アイ・ガッタ・リズムもジャジーでノリノリです。その上で、クラシックのピアニストであるからこそ、その演奏からはガーシュインへの作品の「伝統からの延長線」を感じるのが不思議です。つまり、本来ガーシュインの作品はジャズが元になっているにも関わらず、ジャズでありながら、そこにクラシック音楽を感じさせ、しかも違和感がないのです。それはそもそも、作品が持つ本質である「クラシック音楽の伝統の延長線上にある」ということを、演奏で語らしめていると言えるでしょう。

ガーシュインという作曲家の印象をがらりと変える、素晴らしいアルバムだと思います。その意味では、前回のナクソスのフィールドに相当するか、それ以上の意味を持つアルバムだと言えるでしょう。




聴いているCD
ジョージ・ガーシュイン作曲
ピアノ独奏曲全集
リトル・リップル
2つのワルツ
スワニー
ノーバディ・バット・ユー
私の彼氏
天国への階段
もう一度
魅惑のリズム
オー・レディ・ビー・グッド
誰かが私を愛してる
スウィート・アンド・ロウ・ダウン
クラップ・ヨー・ハンズ
ドゥー・ドゥー・ドゥー
マイ・ワン・アンド・オンリー
ス・ワンダフル
ストライク・アップ・ザ・ハンド
アイ・ガット・リズム
フー・ケアーズ
ザット・サタン・フィーリング
リザ
レディー・ビー・グッドへの序曲
2つの調による即興曲
3つの前奏曲
バレエ
スリー・クォーター・ブルース
プロムナード
メリー・アンドルー
ジャズボ・ブラウン
ガール・クレイジーへの序曲
アンジェラ・ブラウンリッジ(ピアノ)
(herios CDH55006)

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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