東京の図書館から、今回は小金井市立図書館のライブラリである、ドヴォルザークの組曲を収録したアルバムをご紹介します。
ドヴォルザークの「組曲」はいくつかありますが、その中でも「アメリカ組曲」は有名でしょう。そしてもう一つ、ドヴォルザークの組曲で有名なのが「チェコ組曲」です。が・・・・・
実は、私にとってはチェコ組曲は初体験。とってもチェコらしい作品なんですが。
特に第5曲はフリアント。まさにチェコらしさ全開です。
途中3曲は小品。「プラハ・ワルツ」は1879年に作曲されたもの。まさに舞曲と言っていい作品。「弦楽のための夜想曲ロ長調」は元々弦楽五重奏曲第2番の第2楽章だったものを管弦楽へと編曲したもの。
「スラヴ狂詩曲第3番変イ長調」は1878年作曲の「3つのスラヴ狂詩曲」のうちの第3番。変幻自在な音楽がチェコ的な雰囲気を醸し出します。
そして最後が「アメリカ組曲」。このブログではピアノのほうを先に紹介していますが圧倒的に有名なのはこの管弦楽の方。アメリカな雰囲気を持っていますが、プレーヤー上で繰り返し聴いているとその次である最初の「チェコ組曲」とそん色ないのことに気づきます。如何にアメリカの旋律にボヘミアを見ていたかがよくわかる作品であるようにも思えます。
となると、このアルバムが意図するところは、「アメリカの旋律からボヘミアを見ていたドヴォルザーク」なんてことが見えてきます。なぜなら、指揮はアンタル・ドラティ、オーケストラはデトロイト交響楽団とロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団だからです。とてもアメリカ的なオーケストラと、ある意味ヨーロッパ的なオーケストラが、それぞれ「ボヘミア的」な作品と「アメリカ的」な作品を演奏してみたら、一体どう聞こえるのか、というある種の実験を行っているからです。
結果、双方乗り入れでも、やはりドヴォルザークはアメリカの旋律からボヘミアを見ていたように感じるんです。違和感がない!これは大事な結果だと思います。勿論、アメリカはヨーロッパの影響を受けた国ですが、しかし文化的に必ずしもヨーロッパ的だと言えない部分もあるからです。にも拘わらず、デトロイト響が演奏する「ボヘミア的」な作品はしっかりとボヘミア的に聴こえますし、一方ロイヤル・フィルが演奏する「アメリカ的」な作品もアメリカ的に聴こえる一方、共通する和声も感じるのです。
ドヴォルザークはアメリカの旋律にボヘミアを見つつも、当時はやりの民謡収集からアメリカにおいて作品をつむぎだしてみると、意外にもアメリカ的にもボヘミア的にも聴こえる・・・・・それこそ、ドヴォルザークの個性なのだろうと思います。ドラティやオーケストラもその解釈で統一されているような気すらしますし、その違いや同じことを楽しんでいるかのように聴こえるのです。
さすがメロディーメーカー・ドヴォルザーク、本領発揮、と言ったアルバムなのではないでしょうか。こういう楽しさも、クラシックを楽しむ一つです。
聴いている音源
アントニン・ドヴォルザーク作曲
チェコ組曲ニ長調作品39B.93
プラハ・ワルツB.99
弦楽のための夜想曲ロ長調作品40B.47
スラヴ狂詩曲第3番変イ長調作品45-3(B.86-3)
アメリカ組曲イ長調作品98B B.190
アンタル・ドラティ指揮
デトロイト交響楽団
ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
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