かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~府中市立図書館~:スークとマルチヌーの管弦楽作品集

東京の図書館から、今回は府中市立図書館のライブラリである、スークとマルチヌーの作品を収録したアルバムをご紹介します。

管弦楽」と書きましたけれど、正確にはスークは弦楽、マルチヌーが管弦楽作品になります。いずれにしてもこの組み合わせは、とても珍しいと思います。と言っても、母国チェコではどちらもポピュラーな作曲家のようですが・・・・・

スークのは弦楽セレナード。このジャンルと言えば、チェコの作曲家なら圧倒的にドヴォルザークの名が挙がるかと思います。しかし、スークも多くの作品を残しており、こういった作品もあるのだということを教えてくれます。そしてこの作品がドヴォルザークと一緒で静かな反面、とても人懐っこい旋律も持っていて親しみやすい作品でもあります。

ja.wikipedia.org

師匠ドヴォルザークの影響が感じられるのは、第1楽章第1主題が第4楽章で回帰する点です。これを聴くとそっくりだよなあとは思ってしまいますが、旋律的には調性音楽であること以外は全くまねておらず、スーク自身の言葉が語られていて、見事師匠ドヴォルザークの期待に応えて、出世作となった作品です。

一方のマルチヌー。時代はグッと下がって20世紀に入っての作品なので、調性としてはスークと異なる点もいくつかあり、しかもピアノ付きということでつい協奏曲的に書いてしまいがちなのを、楽章としては4楽章としてみたりと、これまた既存の作品にとらわれない柔軟性を持つ、聴きごたえある作品です。

enc.piano.or.jp

ピアノ協奏曲集に入ることもある作品だそうですが、ナクソスですでにピアノ協奏曲全集を持っている私としては、珍しい作品だと思って借りた側面もあります。ピティナのように3楽章として扱うこともあるそうですが、どちらも解釈ありえるという点もまた、作曲された時代を反映していると思います。

収録されている作品も珍しければ、指揮とオケの組み合わせもこれまた珍しいもので、サー・チャールズ・マッケラス指揮のオーストラリア室内管弦楽団。決してオーストリア、ではなく、オーストラリア、です。オーストラリアと言えばどうしてもクラシック音楽という点が忘れられがちですが、考えて見ればシドニーのオペラハウスなどは有名なわけで、ということは少なくともクラシック音楽が盛んに演奏されていないとおかしいわけですね。私たち日本人が知らないだけで。

しかも、ロケーションはまさにそのオペラハウスだったり・・・・・まるでウィーン楽友協会のようなちょうどいい残響は、コンサートでも十分楽しめる優れたものです。

マッケラスと言えば古典派で私たちは卓越したタクトを知っていますが、19世紀~20世紀にかけての作品でもしっかりと卓越したタクトを見せることを、このアルバムで証明しています。オケであるオーストラリア室内管もステディなだけでなく、かなり細かい感情の表現も卓越しています。ピアニストのヘニングも自在でダイナミックなピアノを聴かせてくれますし、どれをとっても大満足な一枚です。

普段、オーストラリアのオーケストラなんて興味がない私たちに、実は優れたオーケストラがあるんだとライブラリに入れている・・・・・これが図書館の使命、なのです。

 


聴いている音源
ヨゼフ・スーク作曲
弦楽セレナード 作品6
ボフスラフ・マルチヌー作曲
ピアノと小管弦楽のためのシンフォニア・ジョコーザ
デニス・ヘニング(ピアノ)
サー・チャールズ・マッケラス指揮
オーストラリア室内管弦楽団

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