かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:クレメンティ 交響曲全集2

神奈川県立図書館所蔵CD、クレメンティ交響曲全集を取り上げていますが、今回はその第2回目です。

2枚組のこの音源の2枚目を取り上げますが、第3番と第4番が収録されています。と言っても、前回言及しましたが、本当にその順番で作曲されたかはいまだわかっていません。ですから、番号はあくまでも便宜上です。

その中でも注目作なのがまず1曲目の第3番だと言えましょう。「大国民交響曲」と銘打ってありますが、その主題に使われているのは、イギリス国歌「ゴッド・セイヴ・ザ・キング(クィーン)」です。クレメンティの人生のかなり最後の部分において作曲されたであろうとされるこの作品に、なぜイギリス国歌が引用、或はそのまま使用されているのか・・・・・

はっきりしたことはわかっていないようです。ブックレットや、ウィキには記載がありません。ただ、少し前の時期に、同じ主題を使った作品が他の作曲家で存在します。それは、ベートーヴェンの戦争交響曲です。

マイ・コレクション:カラヤンが振るベートーヴェンの政治色濃い作品群
http://yaplog.jp/yk6974/archive/508

ウェリントンの勝利
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E3%81%AE%E5%8B%9D%E5%88%A9

正式には「ウェリントンの勝利」と言われるその作品は、ナポレオン戦争を題材にした作品です。クレメンティがこの第3番を作曲する理由となったのも、おそらくはビットリアの戦いが念頭にあったものと思われます。当時ベートーヴェンウェリントンの勝利は絶大な人気を誇っていましたし、作品そのものが演奏されなくなっても、ベートーヴェンの名前がウェリントンの勝利とセットで語られるくらいの認知を持っていました。となると、ベートーヴェンの様式を基本的に持つクレメンティであれば、尊敬の念をもって同じ題材でと考えるのは不自然ではありません。

第1楽章はイギリス国歌が引用される程度ですが、第2楽章と第4楽章ではそのまま出てきます。愛国交響曲とも言うべき作品ですが、当時の社会状況をよく表している作品であると思います。

続く第4番は、あまり政治的なメッセージなどなく、もっと爽やかかつ堅牢で、しかし重くはなく音楽に喜びがあふれている作品です。ベートーヴェンの他にシンフォニストがいたという形では紹介されてもいいだけのクオリティは持っていまして、どうして作品が散逸してしまったのかが不思議なくらいです・・・・どうやら、クレメンティのプライドから出版をしなかったとのことです。ええ〜って感じですがー

普通、プライドがあるからこそ、どこかで出版するのはないかという気もするんですが、実現しなかったようです。まあ、今の様にyoutubeがある訳でもないですし、仕方なかったのでしょう。

それにしても、ベートーヴェンを別格とすれば、クレメンティのこの2曲も充分素晴らしいと思います。齢60前後で、ベートーヴェン的な作品を作曲するとは、恐れ入りますって感じです。ハイドンモーツァルトから影響を受けて作曲したように、クレメンティベートーヴェンから影響を受けて作曲したとすれば、当時の作曲家の能力は実に高かったと言えるでしょう。しかも、プライドにこだわることなく・・・・・

演奏も特段声高に話してはおらず、しかししっかりと作品を演奏することに集中しており、自然と作品の気品と気高さが浮かび上がるものとなっています。このあたりはさすがフィルハーモニアという感じがします。豊潤なその音色が、作品がいかにきらびやかで、かつ華麗で荘厳さをもっているかを、私達聴き手に十二分に伝えてくれているのも嬉しいところです。

こうなると、やはりクレメンティが唯一出版できた、ピアノ作品も聴きたくなると言うものです。現在、幾つかのCDに眼をつけており、物色していますので、いつかはこのブログで取り上げることが出来るのではないかと思っています。






聴いている音源
ムーツィオ・クレメンティ作曲
交響曲第3番ト長調「大国民交響曲
交響曲第4番ニ長調
クラウディオ・シモーネ指揮
フィルハーモニア管弦楽団
(校訂:ピエトロ・スパーダ)

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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