かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

コンサート雑感:ヒネモス・ウィンド・オーケストラ 第7回定期演奏会を聴いて

久しぶりにコンサート雑感をお送りします。今回は、平成27年4月19日に聴きに行きました、ヒネモス・ウィンド・オーケストラの第7回定期演奏会を取り上げます。

え、ウィンド、ですか・・・・・聴くんですか?という、ア・ナ・タ。「マイ・コレクション」の一番最初に取り上げたCD、何だったか、覚えている読者の方はいらっしゃいますか?

マイ・コレクション:星条旗よ永遠なれ・決定版!世界のマーチ第1集
http://yaplog.jp/yk6974/archive/209

はい、所謂「軍楽隊」、つまり、ブラスバンドです。ウィンド・オーケストラというのは、簡単に言えばブラスバンドですが、もっと配置などがきちっとしている団体のことを言います。

ウインド・オーケストラ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%82%B1%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%A9

そもそも、母校の高校がブラスバンドが盛んでしたし、演奏会にもよく行ったものです。むしろ、中学校から高校に掛けては、私のそばにあった音楽の一つにブラスバンドがありました。

そういう系譜が私にはあるため、よくクラシック界隈で言われる「水槽」などという侮蔑的な表現をすることは私はせず、オーケストラとほぼ対等に考えることが多いのです。

しかし、だからと言ってクラシック作品を聴くことが現在では多く、先週のように休みをいただくくらい社会人として忙しい毎日を送る私にとって、ウィンド・オーケストラを優先して聴きに行くという事はなかなかあることではありません。それには、クラシックファンとしての理由があるのです。それは、演奏する曲の中に、大栗裕の「大阪俗謡による幻想曲」があったからなのです。

この作品、以前私は取り上げています。

神奈川県立図書館所蔵CD:大栗 裕 大阪俗謡による幻想曲
http://yaplog.jp/yk6974/archive/1112

このCDを図書館で借りるきっかけになったのは、「大阪俗謡による幻想曲」が某SNSのイベントで取り上げられたからでしたが、その時も、そしてこの上記エントリの音源も、ともにオーケストラ版です。聴いて以来、ブラバン版があるのなら、それも聴いてみたいという意識はずっと持っていたのです。管弦楽版とどう違うのか、それとも同じなのか・・・・・

それを確かめる機会が与えられたと思ったため、聴きに行ったのでした。しかも、このブログでもナクソス音源を取り上げた時にカップリングとして取り上げている、「神話」の吹奏楽版も一緒に聴ける機会も・・・・・

ホールは、ルネこだいら。小平という土地は通ったことはありましたが、降りたのは初めてでした。いやあ、ここまで来ると西武線ものんびりやねえ・・・・・

と、実は最初の幾つかの作品は聴けなかったのですToT

最近、本当に仕事が忙しくてですね、ブログも当日書いてアップするのに必死という状況です。この日も疲れからなかなか起きられず、出かける時間を大幅に遅らせるという始末・・・・・

何とか聴けたのは、前半は最後の2曲、そして2プロ全曲でした。幸い、大栗氏の作品は2プロに入っており、ほっとしました。

ルネこだいらは普通のシューボックス型のホールで、響きはまあまあです。基本的は市民会館ですから、まあそんなものでしょう。クラシックの演奏会もそこそこ行われるので、全く響かないという事はありません。まあ、ウィンド・オーケストラの演奏会としては適切かもしれません。金管は音が本当によく飛びますので・・・・・

想像してみてください、春のセンバツ夏の甲子園を。アルプスからのあの、大音量を。反響板なしです。ですから、ルネこだいらでも、全く遜色ないどころか、むしろぴったりだったとも言えるかと思います。

前半最後の作品も、実はこの演奏会に行きたいと判断した理由の一つで、リードの作品。いずれこのブログでリードの作品は取り上げますが、吹奏楽、特にウィンド・オーケストラのための作品を数多く書いている作曲家の一人です。各楽器のバランスを考え抜かれたその作品は、キラキラと輝いていましたが、それはオケの実力もあるでしょう。揃ったアインザッツが生み出す力強く素晴らしいアンサンブルは、豊潤な音色を常に保っていました。

後半はいよいよ、大栗氏の作品が登場。最初に「大阪俗謡による幻想曲」が演奏されました。「吹奏楽のための」とあることから、管弦楽版と同じとはいかず、この日に演奏されたのも辻井清幸編曲の辻井カット版でした。

辻井カット版
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E9%98%AA%E4%BF%97%E8%AC%A1%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E5%B9%BB%E6%83%B3%E6%9B%B2#.E8.BE.BB.E4.BA.95.E3.82.AB.E3.83.83.E3.83.88.E7.89.88

それでも、演奏時間はウィキと同じとはいかず、10分以上かかっていたと思います。つまり、テンポは管弦楽版を十分意識したものでした。思わず全曲版かと思ったくらいです。

祭囃子の部分は吹奏楽であるからこそのお茶目な可愛らしさを持ち、しかもそれが美しいという素晴らしさ。オケに負けない、ウィンド・オーケストラの「底力」を見せてくれました。

2プロ2曲目は櫛田胅之扶の「雲のコラージュ」。不協和音をうまく使った美しい作品で、雲が移り変わる様子がまるでコラージュのように表現されている作品です。アマチュア・オケだとそういう部分がごちゃごちゃすることもありますが、この団体、只者ではないですぜ。きちんとできているではあーりませんか!

ですから、コラージュのようにかなりこちゃごちゃするような作品が、まるで実際の素晴らしいコラージュのようにすっきりしていて、美しさが、その「ごちゃごちゃ感」にしっかりと存在するという、作品が持つ本来の美しさを、私達に教えてくれるに十分でした。

3曲目が、最近このブログでも取り上げたホルストです。日本組曲という、我が国を題材にしている割にはあまり知られていない作品です。この日本組曲も元々管弦楽のための作品で、しかもバレエ曲です。思いっきりウィンド・オーケストラのための作品ではないんですが、編曲はそんなことをみじんも感じさせません。オケもしっかりとアンサンブルしているので、さらに管弦楽ではどうなのだろうと、原曲を聴きたくなりました。こういう作品と演奏に巡り会えるのは、コンサートに来て幸せを感じる瞬間です。

最後の作品が、再び大栗氏の「神話」です。管弦楽でもライト・モティーフが印象的な作品ですが、この吹奏楽版でもそれは同じで、天の岩戸の様子が決して重厚幻想的ではなく、むしろ人間臭く表現されているのをしっかりとリズムよく演奏されていたのは素晴らしかったと思います。ウィンド・オーケストラ特有の力強さと爽快感があり、天の岩戸の人間臭いようなその作品の特色をそのまま素直に表現できていたのはよかったです。

最後のアンコールのスーザでは会場で手拍子が始まるなど、ブラスバンドの演奏会にきたなというワクワク感があって良かったですし、団員がブラスバンド出身なんだろうなあと思うに十分な、生き生きとしたノリがあったのもよかったです。それでいてそれまでの演奏ではしっかりとした演奏を聴かせるなど、通常のアマオケとはまた違う雰囲気を味わうことが出来て良かったなあと思います。

ウィンド・オーケストラも、たまにはまた聴きに行きたいなあと思いました。




聴きに行った演奏会
Hynemos Wind Orchestra 第7回定期演奏会
ロバート・ジェイガ―作曲
ジュビラーテ
田村文夫作曲
饗応夫人〜太宰治作「饗応夫人」のための音楽〜
川崎美保作曲
パルス・モーション�U
間宮芳生作曲
ベリーを摘んだらダンスにしよう
三善晃作曲
吹奏楽のための「クロス・バイ・マーチ」
アルフレッド・リード作曲
シンフォニック・プレリュード
大栗裕作曲
吹奏楽のための「大阪俗謡による幻想曲」(辻井清幸編曲)
櫛田 胅之扶作曲
雲のコラージュ
グスターヴ・ホルスト作曲
日本組曲 作品33(ジョン・ボイド編曲)
大栗裕作曲
吹奏楽のための「神話」〜天の岩屋戸の物語による〜
岡田渉指揮
Hynemos Wind Orchestra

平成27年4月19日、東京小平、ルネこだいら大ホール

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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