かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から〜小金井市立図書館〜:フォーレ ピアノ作品全集1

「東京の図書館から」のコーナー、今回から4回に渡り、小金井市立図書館が所蔵する、フォーレのピアノ作品全集をシリーズをご紹介します。

フォーレって、ピアノ作品のイメージ薄いって思いませんか?フォーレで思い出されるのは、レイクエムなどの合唱作品や、管弦楽作品ではないでしょうか。でも、フォーレもそもそもはオルガン奏者なんです。ピアノ作品を書いたって、何ら不思議ではないんですね。

で、それなりのヴォリューム、ピアノ作品が残されているわけなんです。

この全集はピアニストがジャン・ユボー。演奏が悪かろうはずがないんです。その素晴らしい演奏で第1集にと選ばれたのが、ノクターンです。

ノクターンと言えば、ショパンですよねえ。しかし、このブログでも取り上げましたが、そもそもノクターンを作り始めたのはフィールドです。それがショパンへと受け継がれ、メジャーになりました。フォーレが作曲したのはそんな時代です。

ちなみに、フォーレノクターンは第13番まであります。つまり、12という数字は全くこだわっていません。ということは、バッハの伝統にはあまり即していないということになります。もっと自由に作曲したい・・・・・そんな思いが、このノクターンが残された数だけを見れば、浮びあがってきます。

勿論、オルガニストだったフォーレが、バッハをリスペクトしていないはずはありません。ただ、新しい時代にそった作品を作りたい、そんな思いは伝わってくるんです。かといって肩肘張っているのかと言えば、そうではありません。

第1集に収録された第1番〜第9番は、どれも印象派の特色を持った和声で作曲された作品です。様々な陰影が、憂いや哀愁などを想起させ、時には喜びも、時にはアンニュイな気分も受け取れます。色彩も豊かであり、その上ではっきりとはせず、でも絵画的なものが私達聴衆の心の中に浮かび上がってきます。

ユボーはその特色を、天衣無縫なピアノで自在に表現し、私達を楽しませます。時には強く、時にはしなやかに。しかしそこに肩肘が張ることないです。だからこそ、自然と耳を傾けることになります。

古典派だと、時として私たちも体を乗り出して聴くこともありますが、ユボーはフォーレの作品がそういうものではないので、そのようには演奏しないのです。だからこそこちらも、まるでBGMを聴くかのように聴けますが、しかしそこには様々な映像が詰まってもいると言うわけです。家で椅子に寄りかかって、気軽に音楽を聴くかのようなリラックスした感情を私達に与えつつ、しかししっかりとした技術によって、作品が持つ様々な表情を、しっかりと私たちに届けるのです。

まさに、「夜想曲」。これぞと言った感じすらします。でも、決して「どうだ!」ではないんですよねえ。それがユボーの表現力の素晴らしさでもありますし、技術の確かさ、でもあります。

その表現力と技術の確かさが、いきなり味わえるなんざあ、粋です、ほんとに。ノクターンを第1集に持ってくることを決めたのは、ユボーなのかそれともディレクターなのかはわかりませんが、うまい編集だと思います。いきなりフォーレの世界へと連れて行ってくれますから。こういった全集を聴くのは、楽しくってしょうがありません。次の第2集を聴くのが楽しみになります。




聴いている音源
ガブリエル・フォーレ作曲
夜想曲
�@第1番変ホ短調作品33-1
�A第2番ロ長調作品33-2
�B第3番変イ長調作品33-3
�C第4番変ホ長調作品36
�D第5番変ロ長調作品37
�E第6番変ニ長調作品63
�F第7番嬰ハ短調作品74
�G第8番変ニ長調作品84-8
�H第9番ロ短調作品97
ジャン・ユボー(ピアノ)

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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