かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~府中市立図書館~:朝比奈隆と大阪フィルハーモニー交響楽団によるベートーヴェン交響曲全集4

東京の図書館から、6回シリーズで府中市立図書館のライブラリである、朝比奈隆指揮大阪フィルハーモニー交響楽団(以下大フィルと略します)によるベートーヴェン交響曲全集、今回はその第4集を取り上げます。

第4集には交響曲第5番「運命」が収録されています。え?それだけ?って言うかもしれません。ですが本当に「運命」1曲だけです。

時間的には第6番とカップリングしてもいいくらいだとは思いますが、何せ朝比奈さんですから。この第5番、総演奏時間約40分。まさに朝比奈節全開。第1楽章からそれは見え隠れし、それは第4楽章で頂点を迎えます。特に第4楽章の朝比奈節は見事で、むしろその朝比奈節全開であることが、まるで英雄が勝利したかのような見事な「勝利の音楽」を奏でます。とはいえ、第3楽章も朝比奈節全開なのですがその二つの楽章ともアレグロ指示なんですが・・・・・

そうなると、朝比奈さんにとってのアレグロって一体何を意味していたのだろう?と首をかしげるところではあります。しかしその朝比奈節によるテンポ指示無視が見事な効果をあげていることも事実で、この朝比奈節全開の第3楽章と第4楽章もとても魅力的です。決して私の美意識とは違うにも拘わらず、魅力を存分に感じますし、感動します。

つまり、私と朝比奈氏とでは、曲に対する姿勢や思いが異なるにもかかわらず、共感している自分がいるわけです。これがプロオケを聴くときの魅力だと言えるでしょう。自分とは異なるものが出てきた場合に、それを受け入れらるのか否か。プロオケの技量はそれで決まると言っても過言ではないと思います。それだけの説得力を持つ演奏をしえるのか。指揮者はそれだけの解釈とそれをオケに適切に伝え、能力を引き出すことができるか否か。それがプロの演奏の重要な点だと私は思います。

今どきはアマチュアオーケストラですら、説得力を持つ演奏をしている時代です。プロオケができないのでは話にならないわけなんです。朝比奈氏と大フィルはその意味でしっかりと関西を代表するプロオケだと言えるでしょう。異なる存在に対し説得力を持つだけのオケが大阪にあるということは本来は民主国家において誇りであるはずなのですが、どうも大阪市民あるいは府民の皆さんは誇りに思えないみたいです。それは大阪という都市、そしてそこに暮らす皆さんが民主主義を否定していると受け取られても仕方ないだろうと思います。

朝比奈節全開の大フィルが異なる存在を納得させる・・・・・これに誇りが持てない大阪市民の皆さんは、はたして民主主義国家日本の国民なのか?と欧米社会では言われてしまう、ということです。もう少しそのあたりの認識を持ってほしいと思います。大フィルは大阪そして関西の宝です。誇りです。そんなオケがある大阪そして関西を、私はうらやましく思います。東京は乱立していて代表するオケというものが果たしてどこなのかぼやけているからです。それに比べれば、大阪は恵まれていると私は思います。

 


聴いている音源
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
交響曲第5番ハ短調作品67「運命」
朝比奈隆指揮
大阪フィルハーモニー交響楽団

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