かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:飯森範親が振るカルミナ・ブラーナ

今月のお買いもの、今回はe-onkyoネットストアにて購入しました、飯森範親指揮東京交響楽団ほかによるカルミナ・ブラーナを取り上げます。ハイレゾflac192kHz/24bitです。

カルミナ・ブラーナは、なかなかいい演奏に出会えていない作品の一つです。まあ、ブロムシュテット指揮N響が強烈すぎるのですが・・・・・そういう演奏にはじめ出会ってしまうと、ある意味不幸です。その演奏がすばらしすぎるため、広く販売されている演奏では満足できないからです。

音質という点では劣るにもかかわらず、いまだに私のベストはBSの放送を録画したものから音だけを抜き出したヘルベルト・ブロムシュテット指揮NHK交響楽団のものです。今月購入した飯森氏のタクトでも残念ながら凌駕はできなかったのですが、比肩しうる演奏であるということは言えると思います。やはりこの曲は日本人の演奏、合唱のほうが優れた演奏になるなあと思っています。

最初の「運命の女神」のつかみは素晴らしいです!特に中間部「酒場にて」が圧巻!いかにも酒飲みという表現が抜群ですし、さらに焙られた白鳥の歌「かつては湖に住みしわれ」は、その哀愁と悔しさがたっぷり!そうそう、こういう演奏を待っていた!と膝を叩きました。

海外の演奏だと、カルミナ・ブラーナがそもそも中世の修道士によって編纂されたものということにとらわれすぎているように思うのです。勿論史実はそうなんですが、作曲したオルフはそれを題材に、人間の内面をリズムをたっぷり使って表現をしているわけなので、教会にとらわれる必要はないんです。オルフもこの作品を教会音楽として書いているわけではなく、むしろ修道士の人間たる部分に感動して、一つのドラマに仕立てているわけなのです。

日本人の演奏だと、その人間ドラマにフォーカスを当てるのがうまいと思います。この飯森氏のタクトでもそれは明快で、はっきりとしたリズムが生む生命力、躍動感。それが作品が持つ、良くも悪くも人間性を抉り出すことに成功し、結果的に作品が持つ魂を引き出しています。

これこそ、カルミナ演奏のスタンダードだと思います。解説は宇野功芳氏が書いていますが、さすがに「おいでおいで」の歌詞はぼやかしたなあと思います。あそこは実はセックスの時の喘ぎ声だと言われていますので、正確には「きて!もう入れて!」のほうが正確かもしれないのですが・・・・・まあ、いまの日本では難しいでしょうね。そこも躍動感ある飯森氏のタクトが冴えます。

全体的に優れた、心に残る演奏であると言えましょう。こういう演奏をあまり評価をしないんですけどね、プロの評論家の方々は・・・・・しかし、私はしっかりと評価したいと思います。時として卑猥な部分もあるこのカルミナ・ブラーナという作品を、その卑猥さゆえに人間臭く生命が宿り躍動する魂を、しっかりと表現している名演である、と。さすが今を代表する指揮者だと思います。合唱指揮の2名も優れているんだと思います。総合力で力を発揮する、日本人らしい名演だと思います。

実はこのファイル、再生するときにソニーのMusic Center for PCでは再生順がバラバラになってしまったもの。そのため再生はfoobar 2000を久しぶりに使っています。ロケーションはサントリーホールで東京交響楽団フランチャイズではないですが、ベートーヴェンの第九では使い慣れているホール。foobar2000で排他モードで聴きますと、実に残響が抜群!できれば打楽器がもっと前に出ていればさらによかったのにとという点は残念です。多分その点がブロムシュテット指揮N響よりは下がる要因だと思います。

 


聴いているハイレゾ
カール・オルフ作曲
世俗カンタータカルミナ・ブラーナ
半田美和子(ソプラノ)
高橋 淳(テノール
与那城 敬(バリトン
東響コーラス(合唱指揮:安藤常光)
横須賀芸術劇場少年少女合唱団(合唱指揮:武田雅博)
飯森範親指揮
東京交響楽団
(Exton ovcl00552)

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