かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

コンサート雑感:Regenbogen Orchestra 2021年演奏会を聴いて

コンサート雑感、今回は令和3(2021)年6月6日に行われました、Regenbogen Orchestra(レーゲンボーゲン・オーケストラ)の2021年公演を取り上げます。

レーゲンボーゲンとは、ドイツ語で虹を意味するそうで、人々の架け橋になりたいという想いがあるそうです。その意味では、しゃれてるなという感じがします。センスがいいというか。

regenbogen-orche.jimdofree.com

いやあ、虹になっているんじゃないか、って気がしています。こんなオケ、存在したのかという・・・・・なんでかって?うまいから、です。もちろん、演奏が。

プレ演奏は聴けなかったのですが、1プロには滑り込みセーフ。体が疲れていて思うように動かないことも最近はしょっちゅうですが、今回もその傾向が・・・・・乗換駅で何とか1本前の電車に駆け込めば楽に間に合ったのですが、朝ごはんを食べていなかったので、どうしても車内で食べておきたくて、今回なんと!JRのグリーン車に乗るために1本遅い列車に。と言っても湘南新宿ラインの普通車グリーン席ですけどね。ロケーションは初めて行く、大船にある鎌倉芸術館。駅からそれほど迷うことはないんですが、グーグルさんが変な案内をしてくれたので、なんとホールをぐるりと1周・・・・・大船駅にはぜひとも周辺地図を掲示していただきたいと思います。そのほうがむしろわかりやすいと思います。大船中央病院の前にはしっかり→がついているので、そこまでたどり着ければさほぼ迷うことはないと思います(ということで、なんと私のアホだったことか!)。

さて、今回のプログラムは以下の通りです。

ブラームス 悲劇的序曲
ボロディン 交響曲第3番
ドヴォルザーク 交響曲第6番

これだけ見ると、交響曲が二つなのでおなか一杯です。とはいえ、ボロディン交響曲第3番をやるオケなど、アマオケですらそうそうないので、はるばる中央線沿線から大船という、鎌倉市北部まで出かけて行った、というわけです。

実は、略称虹オケさんは、以前から聴きに行きたいと思っていたアマチュアオケの一つです。ですがほぼ神奈川県内の会場が多いこともあり、なかなか行けなかったことも事実です。同じ神奈川であっても、たとえばみなとみらいだったり、ミューザ川崎だったりなら、まだ足を運びやすいのですが、さすがにその先となると、私も躊躇します。以前平塚まで聴きに行きましたが、あの時確か1プロは間に合わなかったような記憶が・・・・・その時も、湘南新宿ラインの普通車で昼ご飯を食べていったのでした。あの時はまだコロナでもありませんでしたので、ボックスシートならまあ、あまりとがめられることもない時代でした・・・・・・

それにしても、滑り込みセーフでブラームスの悲劇的序曲が鳴った瞬間、なんだこのオケは!うますぎる!と驚きを隠せませんでした。一気に彼らの世界、地平へと連れていかれました。ただ演奏がうまいだけではなく、その演奏に魂が込められているのが伝わってくるんです。鎌倉芸術館が持つ響きも素晴らしい!鎌倉は京都にも匹敵する古都で、鎌倉幕府がおかれ、室町時代には幕府の探題がおかれた場所でもあり、武家政権時代初期における政治的な重要拠点でしたが、そんな都市に、京都に匹敵するホールがあるとは、本当に驚きです。ただ、さすがに京都と違って幕府の「城下町」には作る場所がなくて、かつて撮影所があった大船に作られたのでした。

www.kamakura-arts.jp

しっかりと自分たちの歌を紡いでいるんですよ。それが本当に素晴らしい!それを聴衆もわかっているのか、残響までしっかりと聴き終えて、拍手が!これだけでも素晴らしい前菜をいただいたという感じですが・・・・・

2プロが、ボロディン交響曲第3番。この曲はボロディンの遺作で、グラズノフが補筆完成させています。以前ナクソス盤を取り上げたときにご紹介しています。

ykanchan.hatenablog.com

ja.wikipedia.org

今、上げたエントリの音源を聴きながら書いていますが、確かにプロのうまい演奏を楽しむことができます。けれども断言します、虹オケさんのほうが断然素晴らしかった、と。少なくともここまでも演奏に関しては、チェコスロヴァキア放送交響楽団(ブラティスラヴァ)を超えたと言っていいです。そんなアマチュアオーケストラがこの国にはあるんです。どうして誇りを持てないことがありましょうや!生き生きとしたみずみずしい演奏。それによる絶妙なリズム感。結果として素晴らしいグルーヴ感。どれをとっても非の打ちどころがありません。

今回改めて自分のエントリ、そしてウィキの解説を読んでもいますが、聴いているとき、この曲は第2楽章をスケルツォにするつもりだったのだろうと思っていたのですが、実際にはボロディンは第2楽章を緩徐楽章とし、スケルツォは第3楽章にするつもりだったのだなと知って、驚いています。実際、第2楽章がスケルツォでも違和感ないから、です。もちろん、そこで終わっているのでその点は違和感ありありなのですが、それでも納得させる虹オケさんの説得力。もうセミプロと言っていいと思います。宮前フィルとコラボしても面白いかも・・・・・

なーんて思っていると、さらに度肝を抜かしてくれるのがメインのドヴォルザーク。さすがに痩せた音も出だして、疲れてきているなとは思いますが全く気になりません。そんなのアマチュアオケなら当たり前ですから。しかし、壮大な物語をしっかりと歌い、紡ぐ演奏にこれまた酔いしれます。第4楽章はドヴォルザーク得意の鉄ネタですが、しっかりと自分たちの歌を歌うことで「鉄分」を抜かしており、しかもそれがまた素晴らしいんです。アマチュアの演奏でそんな説得力を見せられると、もうブラヴォウ!しか出てきません。もちろん、ウィズ・コロナですからそれはしませんが・・・・・

本当に素晴らしすぎる演奏です。そのうえでしっかりとメッセージ性もあるコンサートになっていると感じました。前半は、新型コロナウイルスに倒れた人たちを念頭に置いていると思いました。ブラームスが辛い思いをしたことを、芸術へと昇華して前を向いた作品である悲劇的序曲、そして突然の死により無念の未完成となったボロディンの第2番。それは新型コロナウイルスによって倒れた人たちを想起するのに十分です。そのなかで生き抜いた自分たちが、その感謝と喜びを表現するドヴォルザーク。いいオケだなあと思います。

1年に一回の演奏会なので、次は来年だそうで、今度は横須賀芸術劇場!またこれも遠いなあと思いますが、来年はワクチン接種が進んで人の移動制限が緩むことを期待したいと思います。メインはマーラー交響曲第1番「巨人」。これまた、素晴らしい演奏が期待できそうです。遠くまで足を運ぶ意義は十二分にあると思います。京急の駅にしっかりと地図があることを祈ります(確か駅前だったはずなので今回のように迷うことはないとは思いますが)。

 


聴いて来たコンサート
Regenbogen Orchestra 虹オケ Concert 2021 延期公演
ヨハネス・ブラームス作曲
悲劇的序曲作品81
アレクサンドル・ボロディン作曲(アレクサンドル・グラズノフ補筆)
交響曲第3番イ短調
アントニン・ドヴォルザーク作曲
交響曲第6番ニ長調作品60(B.112)
田尻 真高指揮
Regenbogen Orchestra

令和3(2021)年6月6日、神奈川鎌倉、鎌倉芸術館大ホール

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。