コンサート雑感、今回は平成29年3月18日に調布グリーンホールへ聴きに行きました、ボヘミアン・フィルハーモニック、第1回演奏会についてです。
このオケを知りましたのは、何時もの通りアマービレでした。それに加えて、2月に聴きに行きました、第九の時にもチラシが入っていました。
まず、メーミングに魅かれたんですね。ボヘミアン・・・・・・皆さまなら、何を想像しますでしょうか。基本的には、ボヘミア地方のという意味を持ちます。ですから、取り上げられる作曲家はボヘミアン、つまりモルダウ川流域、チェコとスロヴァキアの作曲家ということになります。
その一方で、「自由気ままに」という意味も持ちます。その二つの意味を持って名づけたという点に、とても魅かれたのです。
https://bohemian-phil.jimdo.com/
そもそも、わたし自身自由を愛する人間ですし、また、チェコという国に対しても親しみを持つ人間です。「プラハの春」は一人の人間として尊敬している歴史事件ですし、またそれを記念した「プラハの春音楽祭」は、青春時代は毎年録画していたものです。特に、スメタナの「わが祖国」は。
そういった私自身の背景があることから、是非とも聴きに行きたいと思っていたのですが、じつはその日は、そもそも瀬川氏のリサイタルが入っていました。そちらを優先したのですが、瀬川氏の都合により中止になったため、急きょこのコンサートに振り替えたのでした。
プログラムは以下の2曲のみ。
ドヴォルザーク作曲
交響曲第7番ニ短調作品70
交響曲第8番ト長調作品88
え、それ以外にも何かやったんでしょ?って言うんですか?いえ、この2曲だけです。序曲などはなし。ここでもう言ってしまいますが、アンコールすらありません。この2曲だけです。おなかいっぱいでしょ?
ええ、おなかいっぱいです。しかし、とても素晴らしいランチを、贅沢にいただいた気がします。
このコンサート、じつは開演に先立ち弦楽演奏がなされました。ドヴォルザークのユモレスクと、スメタナの「モルダウ」が弦楽アンサンブルで、ロビーで演奏されました。私は実は様々な都合で客席にいることを余儀なくされたのですが、漏れ聞こえてくるアンサンブルの確かさに、これは良いオケだと直感しました。
まず第7番。序奏はアマチュアならではで少し大きかったように思います。もう少し思い切ってpにしてもよかったと思います。まあ、やはり最初は硬かったかなと思います。それでも、アンサンブルは全く崩れていないんですね。ひゃあー、これはとんでもないオケだと思いました。
リズムのノリもよく、テンポも近代的なきびきびしたもので、爽快です。その上で、音楽がなんと豊潤なこと!これがまさしく素晴らしいんです。
ドヴォルザークの第7番と第8番と言えば、かつて私が取り上げた時にも触れていますが、「鉄分」、つまり、鉄道のリズムが織り込まれている作品です。
神奈川県立図書館所蔵CD:ドヴォルザーク 交響曲第7番・第8番
http://yaplog.jp/yk6974/archive/307
交響曲第7番 (ドヴォルザーク)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2%E7%AC%AC7%E7%95%AA_(%E3%83%89%E3%83%B4%E3%82%A9%E3%83%AB%E3%82%B6%E3%83%BC%E3%82%AF)
交響曲第8番 (ドヴォルザーク)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2%E7%AC%AC8%E7%95%AA_(%E3%83%89%E3%83%B4%E3%82%A9%E3%83%AB%E3%82%B6%E3%83%BC%E3%82%AF)
その上で、様々な要素が入り混じる作品です。リズムと旋律をどう統合していくか・・・・・本当に基本的な問題ですが、一歩間違えばその様々な部分が欠落することにより、作品の魅力を失わせかねないのです。その点では本当に怖い作品だとも言えます。
その第7番は、単に鉄道を描いたものというよりは、リズムを前面に押し出しつつも、様々な風景を描くことに成功していると言えます。指揮者は松本宗利音。名前の由来はカール・シューリヒトというだけあって、単にリズムだけに終わらせない解釈は素晴らしいと思います。
続く8番はもう圧巻!第1楽章のリズムは絶妙ですし、第4楽章の蒸気機関車と思われるリズムを十分響かせつつも、それを上手に旋律が包み込み、鉄道を一風景の中におしこめつつ、全体が素晴らしい絵画となっているのです!あるいは、鉄道を見て想いを馳せる一人の人間(ドヴォルザークの内面?)!
・・・・・言っておきますが、アマオケです。プロじゃないんです。痩せた音も当然入っていますし、はっきりと聴こえてきます。それでも、豊潤な音がそこに存在し、聴衆を包み込んでいくんですね。その上で近代的なノリの良いテンポはきびきびとしたもので、生命力あふれています。演奏する喜びが、こちらにビンビン伝わってきます。
・・・・・あの、アマオケです。何度も言いますが、アマオケです。痩せた音もあります。途中、トランペットがただなっているという若い部分もあります。ですが、「そんなの関係ねえ!」です。しっかりとアンサンブルを作り、アインザッツが強くても丁寧に合わさり、それがしっかりと「歌え」ば、本当に素晴らしい演奏が生まれるという瞬間を目にしたと思います。すごい経験をしたと思っています。
このオケは是非とも応援したいオケだなあと思いました。幾つかそういうオケを私は知っていますし、何度も足を運びたいんですが、なかなか・・・・・そんな中でも、本当にこのオケは応援しつづけたいなと思ったオケです。すでに化けていると思いますが、もっと化けると私は思っています。是非ともこのオケでスメタナの「わが祖国」が聴きたいなあと思いました。
或はシュターミッツ、マルチヌーなどもいいなあと思います。プラハに縁があるモーツァルトや、毎年「プラハの春」音楽祭で演奏されている、ベートーヴェンの「第九」や第7番なども聴いたら素晴らしいだろうなあと思います。私がいけなくても、読者の皆さまで是非とも言ってあげてくださいませ!
このオケ、育てましょうではないですか!
聴いて来た演奏会
ボヘミアン・フィルハーモニック 第1回演奏会
アントニン・ドヴォルザーク作曲
交響曲第7番ニ短調作品70
交響曲第8番ト長調作品88
松本宗利音指揮
ボヘミアン・フィルハーモニック
平成29年3月18日、東京調布、調布市グリーンホール大ホール
地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。
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