神奈川県立図書館所蔵CD、ドヴォルザーク全集から交響曲と協奏曲を取り上げていますが、その第4回目になります。交響曲第3番と第5番を取り上げます。ヴァーツラフ・ノイマン指揮チェコ・フィルハーモニー管弦楽団の演奏です。
せっかくだから、第3番と第4番をセットにすればいいにって思うんですけどね、第5番となんですよ〜。
この二つも、以前すでにスウィトナー/スターツカペレ・ベルリンの音源を取り上げているわけですが、疾走感という点ではどちらもそれほど変わりありません。ただ、この二つの交響曲を作曲した時期のドヴォルザークの交響曲の特徴である、ワーグナー趣味という点を強調しているのは、この演奏だと思います。
せっかくなので、ウィキの説明URLを挙げておきましょう。
交響曲第3番 (ドヴォルザーク)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2%E7%AC%AC3%E7%95%AA_(%E3%83%89%E3%83%B4%E3%82%A9%E3%83%AB%E3%82%B6%E3%83%BC%E3%82%AF)
交響曲第5番 (ドヴォルザーク)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2%E7%AC%AC5%E7%95%AA_(%E3%83%89%E3%83%B4%E3%82%A9%E3%83%AB%E3%82%B6%E3%83%BC%E3%82%AF)
第5番に関しては、確かにスラヴ風という点が言えるかと思いますが、第3番の「タンホイザー」序曲のモティーフというのは、何度聴いてもそうは思わないんですよね・・・・・
第3番第2楽章は、この演奏ではかなりゆったりめに演奏されているんですが、どう聴いても、ワーグナー的であることは間違いないと思うんですが、タンホイザー「序曲」か?って思うんですね。むしろ、それよりも後に成立した、例えばローエングリンやニュルンベルクのマイスタージンガー、さまよえるオランダ人などの楽劇の影響の方が濃いように思います。
タンホイザー
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%9B%E3%82%A4%E3%82%B6%E3%83%BC
ローエングリン
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%AA%E3%83%B3
ニュルンベルクのマイスタージンガー
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%AB%E3%83%B3%E3%83%99%E3%83%AB%E3%82%AF%E3%81%AE%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%B3%E3%82%AC%E3%83%BC
さまよえるオランダ人
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%95%E3%81%BE%E3%82%88%E3%81%88%E3%82%8B%E3%82%AA%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%80%E4%BA%BA
作曲時期から言っても、これら3つの楽劇のほうが近いですし、影響も濃いだろうと考えられるわけです。もしタンホイザーなら、序曲ではなく本編内の曲ではないかと思います。
むしろ、この2曲の特徴はやっぱり「機関車」じゃないの?というのが、この演奏の特徴です。ノイマンがそう言っているかのようです。
チェコ・フィルは弦が素晴らしいと良く言われますが、実は金管も素晴らしいのです。スメターチェク指揮のスメタナ「わが祖国」もそうですが、チェコの作曲家となると、本当にチェコ・フィルの金管は素晴らしいです。ホルンやトランペットなど、吠えるだけではなく美しくもあります。
それら金管が、ドヴォルザークの交響曲では大活躍です。特に印象的に聴こえるのが、やはり「汽笛」に相当するような場面なんですね。アインザッツの強さだったり、アクセントのつけ方だったりが、まさしく汽笛に聞こえるのです。
ドヴォルザークの楽曲すべてが機関車的なのかと言えば、そうではありません。室内楽や協奏曲ではそれほどでもないか、全くないこともしばしばです。しかしこと交響曲となると、不思議なことに機関車的な音型が、そこかしこに出て来ます。それはこの二つの楽曲でも一緒で、オケが異なるにもかかわらず、それを聴きとることができます。そして、それはこの2曲に関しては、このノイマン/チェコ・フィルのほうが顕著です。
その点を確かめたい、という側面もこの全集を借りた一つのきっかけになっています。一つのオケ、一人の指揮者による演奏でも、それは顕著なのか、と。そしてそれは、ここまではそうであると言えるかと思います。
ここでも、全集を聴く楽しみが、しっかりと存在しているのは、大変幸せなことだと思います。
聴いている音源
アントニン・ドヴォルザーク作曲
交響曲第3番変ホ長調作品10 B34
交響曲第5番ヘ長調作品76 B54
ヴァーツラフ・ノイマン指揮
チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
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