かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:クープラン 新しいコンセール集1

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回はクープランの「新しいコンセール集」を取り上げます。2回に分けたいと思います。

というのは、この「新しいコンセール」は、前回取り上げました「王宮のコンセール」よりも曲数が多いから、なのです。

クープランについては、前回ご紹介しましたが、ルイ14世治世のフランスにおいて、宮廷作曲家だった、フランス・バロックを代表する作曲家です。後世、印象派新古典主義音楽の時代の作曲家たちに多大な影響を与えた作曲家の一人でもあります。

フランソワ・クープラン
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%BD%E3%83%AF%E3%83%BB%E3%82%AF%E3%83%BC%E3%83%97%E3%83%A9%E3%83%B3

そして、我が国においては、単に「クープラン」と言う場合は、フランソワの事を指すことも、御紹介したかと思います。そのため、このエントリでも、フランソワを単に「クープラン」と呼ぶことにします。

さて、そのクープランが作曲した「新しいコンセール」は、じつは「王宮のコンセール」の続きとしての位置づけになっており、正確には「趣味の融合、または新しいコンセール」という題名になっています。

そもそも、コンセールとは合奏曲を意味するもので、ミサ曲が主要な地位を占めていたルネサンスバロック時代らしい性格を持つジャンルです。

コンセール
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%82%BB%E3%83%BC%E3%83%AB

クラヴサンを得意としたクープランらしい、所謂「ソナタ」を発展させたこれらのコンセールは、ある意味その後のクラシック音楽のジャンルの豊かさの基礎となったと言えるでしょう。独奏者が互いに演奏しあい、アンサンブルを作っていく・・・・・これはオケでも、室内楽でも一緒ですが、その共通点の原点はこのコンセールにあるとも言えるでしょう。

つまり、コンセールが楽器同士のアンサンブル作品だとすれば、数が多くなれば管弦楽曲となりますし、少なければソナタ、或は弦楽四重奏ということになります。コンセールはその中間的な位置づけになりますが、まさにその後ジャンルが枝分かれしていくその直前という感じです。

そもそもが、王の御前で演奏することが前提なので、気さくな旋律の一方気品を持った作品が多いのですが、他方で標題が付いていたり、指示が必ずしもイタリア語ではなかったりと、その後ドイツにおいてモーツァルトシューマン、或はマーラーがやったように、ドイツ語による指示へと発展していく萌芽も見えます。コンセールはこのように、音楽史において重要な位置づけにあると言えます。

さらに、この「新しいコンセール」では、クラヴサン通奏低音としての役割が強くなっており、トリオ・ソナタの様相を見せていることも、この作品の重要な点でしょう。

さて、演奏は実は番号順ではなく、ランダムに演奏されています。番号順に聴くのもいいと思うのですが、演奏するレ・タラン・リリクはそうしていません。第5番から演奏するほうが、この作品が「王宮のコンセール」の続きであるということが明確になるはずなのですが、そうではなくランダムなのは、明らかにこの「新しいコンセール」がトリオ・ソナタの様相を見せていることと無関係ではないように思います。その上で、実際に演奏された時は、番号順にするのではなく、むしろ王の要請に応じてランダムになったはずです。その様子を再現してみせている、とも言えます。

ですから、本来番号順に聴くのが好きな私でも、なるほど〜と膝を打つのです。実際、番号順ではなくても何も不都合はないですし、作品が持つ気品と明るさはしっかりと伝わってきます。これぞ、本物のプロの仕事だなあと思います。

番号順に聴くことだけが、俯瞰することではない・・・・・いきなり、この第1集で教えられた気がしたのです。




聴いている音源
フランソワ・クープラン作曲
趣味の和―新しいコンセール集
コンセール第6番変ロ長調
コンセール第8番ト長調《劇場風の様式で》
コンセール第7番ト短調
コンセール第12番イ長調(2つのヴィオール、あるいは他の同種の楽器で)
コンセール第5番ヘ長調
クリストフ・リセ(指揮・チェンバロ
レ・タラン・リリク

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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