かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:クープラン 新しいコンセール集2

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、クープランを特集していますが、今回は「新しいコンセール」の第2集を取り上げます。

「新しいコンセール」は、「王宮のコンセール」の続きとして作曲されましたが、性格付けは異なることを前回述べたかと思います。「王宮のコンセール」が室内合奏であるのに対し、「新しいコンセール」はトリオ・ソナタの性格付けがされている、という事です。

この第2集も番号順ではないので、様々な作品がごっちゃに収録されていますが、どれもクラヴサン通奏低音として使われており、トリオ・ソナタという点は実にうなづけるものです。

その上で、どれもイタリア語の指示ではなく、標題が付いているものもあることが、音楽史において重要な点であろうと思います。これらの作品を19世紀後半から20世紀にかけて、後期ロマン派の果てに戦争が引きつづき、遂には世界大戦が勃発した時代を生きた作曲家たちは、ドイツ・ロマン派に大いなる暗い影を見たのでした。そして、振り返ってみれば、自国の作品にしっかりと愛国心のある作品が、バロック期に残っていたことを発見するのです。

その点で、この二つの「コンセール」は、20世紀音楽に与えた影響が大きかったと言えます。クープランだけではなく、この時期のフランス・バロックは特にリベラルに大きな影響を与えており、その結果がドビュッシーを経てフランス六人組と繋がっていくことになるのです。

このクープランの作品は、その編成の小ささから見逃されがちですが、実に音楽史において重要な地位を占めています。ですが、作品そのものは、ルイ14世を慰めるために書かれていますから、明るく、流麗で、気品を持っています。そのため。演奏するレ・タラン・リリクは、特に付点に気を付けて、跳ねるように軽めの演奏を心がけているのがとても素晴らしいと思います。それでも、作品そのものが持つ、慰める作品だからこそ、哀感も含まれていることがしっかりと表現されています。

これがプロというものです。何もしていません、本当に。淡々と音楽が流れていくだけです。でも、途中で哀愁があったり、悲しみがあったり、喜びがあったりするんです。このあたりのスコアリーディングは本当に素晴らしい!

バロック作品の魅力というものをしっかりと伝えている、いい仕事だと思います。




聴いている音源
フランソワ・クープラン作曲
趣味の和―新しいコンセール集
コンセール第9番ホ短調《愛の肖像》
コンセール第10番イ短調
コンセール第11番ハ短調
コンセール第13番ト長調(2つの楽器のために)
コンセール第14番ニ短調
クリストフ・リセ(指揮・チェンバロ
レ・タラン・リリク

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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