かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:クープラン 諸国の民他

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回はクープランの「諸国の民」を収録したアルバムをご紹介します。

クープランはこのブログでも何度かご紹介していますが、クープランといえば、フランス・バロックの大家として、標題音楽的な組曲室内楽作品で有名ですが、実はこの「諸国の民」もそういった作品の一つです。

ただ、この「諸国の民」では各楽章に標題がついているのではなく、4つの組曲に表題がついていて各楽章は普通にバロックの舞曲の名前になっているのです。これもクープランの作品の幅広さだと思います。

標題をどのようにつけるか・・・・・その部分が本当に決まっていないんですよね。標題をつけるならこんな手もあるよみたいな。聴けば普通のフランス・バロック。気品があり、それでいて生命力を内包する作品がズラリ。

で、「諸国の民」ですから、当然ですが当時の諸国の民が取り上げられていますが、かといってその民族にまつわるエトセトラなのかといえば、フランスなのにアルマンド(ドイツ風)だったりと、こだわっていません。フランス、スペイン、ドイツ(神聖ローマ帝国)、そしてピエモンテ。え?ピエモンテって、どこ?って思いますよね。現在は北イタリアで、州都はトリノ・・・・・といえば、私達日本人にもお馴染みですよね。

そんなおなじみの「諸国の民」を、それぞれ第1曲から第5曲までは同じ舞曲が並び、統一されているんです。当時のバロック音楽が基本舞曲であり、どれだけ国際的だったかを伺わせます。

バロック音楽は基本、当時の貴族の音楽ですが、その貴族たちがどんな思想を持ち、楽しんでいたのかの、一つの証拠がこの作品ではないかって思います。まだ国民国家が成立せず、一つの共通した文化がヨーロッパにあった時代だと言えます。むしろ民族的な方向へ傾くのは、バッハ以降だと言えるでしょう。

演奏するは、ピリオドかと思いきや、モダンのパイヤール室内管。勿論指揮はパイヤール。古楽を聞き慣れるとピッチ的にあれ?って最初思いますが、パイヤール管が持つ基本と芳醇なサウンドが、作品の生命を引き出しており、じつに生き生きとしています。

パイヤール室内管といえば、このブログでも近代の協奏曲などの演奏も取り上げていますが、このクープランを聴きますとじつに守備範囲が広いなあと思います。その上でおざなりになるのでもなく、バロックの舞曲のそのリズムを大切にする演奏は見事です。こう聴きますと、パイヤール室内管のメンバーは本当にクラシック音楽が好きなんだなあって思います。作品の作られた時代というものも含めた特徴というものをよく理解して弾き分けて、それがどれも楽しく感じるんですよね。こういった職人たちの演奏、非常に私好みですw

確かに有名筋ですが、でもなんでそれだけ評価されているのかという部分を考えると、そのすばらしさの源泉に「音楽が好き」ということがあるんだなあって思います。仕事だからしょうがねえやじゃなく、「ひゃっほー!今度はクープランだ〜!」という喜びが、演奏からにじみ出るんですよね。

カップリングはコレルリ讃と「神聖ローマ帝国人」第1曲「ソナード」の別ヴァージョンという、ある意味学究的なものなんですが、それがまったく気にならず楽しめます。特に神聖ローマ帝国人の別ヴァージョンはどこか現行と異なるのかを見つけるのも楽しい作業です。パイヤールならではって思います。




聴いている音源
フランソワ・クープラン作曲
諸国の人々(全曲)、コレルリ
ジャン=フランソワ・パイヤール指揮
パイヤール室内管弦楽団

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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