神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、クープランのクラヴサン作品全集を取り上げていますが、今回はその第3集を取り上げます。
第3集は、クラヴサン曲集第1巻から第3組曲の続きと第5組曲、前奏曲第6番、そしてクラヴサン曲集第2巻第8組曲と、盛り沢山です。
それにしても、徹底的に番号順は無視ですね。でも、これがバロック時代の演奏だった、と言うわけです。むしろそのランダムさを楽しんでほしいというのが、編集方針であることがこの第3集まで来ますと明確だと言えます。
勿論、本来は第1巻から順番に作曲しているのは確かなんです。後年まとめられたというのではないんです。
フランソワ・クープラン
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%BD%E3%83%AF%E3%83%BB%E3%82%AF%E3%83%BC%E3%83%97%E3%83%A9%E3%83%B3
なのに、この全集では第1巻から順番にはなっているけれど、オルドル(第〇番ってやつです)は順番無視、です。ですから、第2巻は本来第6番からなんですが、第8番から収録しています。これがバロック的であるわけですね。
つまりは、この全集の編集方針としてはこういえるでしょう。クープランのクラヴサン曲を、歴史的に俯瞰する、と。それでどれだけ楽しめるか、です。
ブーレイはこの通りに弾いたのだとすれば、ブーレイ自身もその編集方針に、少なくとも共感して演奏していると言えるでしょう。ただ、録音年代しか記載がなく、具体的にどの曲がいつ録音されたのかまではわからないため、どこまでブーレイが共感して演奏しているのかはわかりません。
少なくとも、ブーレイが共感しているのは編集方針ではなく、作品と作曲者でしょう。それがランダムに並んでも、なんら不自然ではないというところに、私はブーレイが一人の人間として、作曲者と作品に対する共感を見て取るのです。
テンポの中にちょっとしたアコーギクが付いているんですよね。古楽で付けるのは珍しいと言えますが、私達日本人が古楽に触れたのはヨーロッパよりは新しいんです。日本人がブルックナーに驚いていた時期に、欧州では古楽がぼっ興し、新しい演奏としてまさに「温故知新」が席巻していたのです。
ブーレイはそういった時系列の中で、演奏しています。ですから、1977年という録音年代なのですが、アコーギクが付いていても何ら不思議ではないわけで、そのアコーギクがまさに人間としての内面性の反映だと言えます。それが生み出すものは、まさに楽しさ、喜び、華麗さ、です。
こういったクラヴサンの作品は、当時の貴族たちのたしなみやサロン音楽として楽しまれたものです。ですから、楽しさがなければおかしいわけですが、ブーレイは本当に楽しく弾くんですよね〜。
また、クープランも標題をバンバン使っています。その上で舞曲も多用され、演奏者としては実はレベルが高い作品たちなんですね。でもブーレイの魔法にかかればほうら!自然と喜びに溢れるものになります。
フランスバロックの奥深さを、まじまじと見せつけられます。
聴いている音源
フランシス・クープラン・ル・グランド作曲
クラヴサン曲集第1巻第3組曲(続き)
クラヴサン曲集第1巻第5組曲
前奏曲第6番
クラヴサン曲集第2巻第8組曲
ローランス・ブーレイ(クラヴサン)
地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。
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