かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

コンサート雑感:かわさき市民第九2017を聴いて

コンサート雑感、今回は平成29年12月24日に行われました、かわさき市民第九2017を取り上げます。

実は、当初はこのコンサートへ行く予定にしていませんでした。都民交響楽団の第九を聴きに行く予定を立てていました。

ところが、チケットぴあでは、取り扱ってないという・・・・・コンビニの端末の前で、しばし呆然としている私がいました。ところがです、検索していくうちに、かわさき市民第九がその日にやると言うじゃありませんか!

え、かわさき市民第九って、府中と同じくらいじゃなかったっけ・・・・・

でも、端末がそう間違う訳はありません。公演までほぼ1か月という時点で、間違っていればとんでもないことになります。ということは、正しいということになります。

会場は当然、ミューザ。なら、久しぶりに聴きに行ってもいいなあと思ったのです。じつは後で気が付いたのですが、職場から仕事あがりで行くには、都民交響楽団の会場である上野の東京文化会館よりも、かわさき市民第九の会場であるミューザ川崎のほうが近いと言う・・・・・

神様はこうやって、配慮するんだなあって思いました。

さて、当日のプログラムは、1プロがフンパーディングのオペラ「ヘンゼルとグレーテル」第1幕への前奏曲。え、なんでそんなのを第九と言う神聖な音楽の前にやるのだ!と共和主義者やパターナリズムに凝り固まった人たちからは攻撃されそうですが、プログラムを読めばしっかりと理由が書いてありました。勿論、テクストはあのグリム童話なのですが、それゆえに、クリスマスになると子供向けに演奏されることが多いのだそうです。

ヘンゼルとグレーテル (オペラ)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%98%E3%83%B3%E3%82%BC%E3%83%AB%E3%81%A8%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%86%E3%83%AB_(%E3%82%AA%E3%83%9A%E3%83%A9)

原作と異なり、ハッピーエンドとなっている点からも、クリスマスに上演されることが多いようです。で、コンサートの日付に注目してください。平成29年12月24日。つまり、クリスマス・イヴであるわけです。そもそも、かわさき市民第九は年末を「祝い」新しい年を迎えるという側面があるのです。川崎合唱連盟傘下の合唱団員であれば、ああ、今年も一年が終わるねと感慨深い気持ちになったものです。

まずは楽しい気持ちで一杯になって、というわけです。今年の担当オケは高津市民オーケストラ。川崎市内でも力のあるアマチュアオーケストラだと言っていいでしょう。楽しんで弾いているなあと思いました。

残念ながら、私はタッチの差で開演に間に合わず、このヘンゼルとグレーテルはホワイエでの鑑賞となったのですが、アマチュアらしい痩せた音が少ないのにびっくり!むしろ、豊潤なアンサンブルが聴こえてきて、しかもオケが楽しんで演奏しているのが分かるだけに、とても楽しかったです。さすが高津市民だなあって思いました。

で、休憩後は自分の席にて第九です。1プロ同様に素晴らしい演奏。特にアインザッツのつけ方が素晴らしい!それだけも演奏はがらりと変るものだとずいぶん私はいろんなアマチュアの演奏評で言い続けてきていますが、私がくるなんて全く知らないはずなのに実行しているのは素晴らしいって思いました。第九が持つエネルギーが団員に乗り移り、やがて私達聴衆も包まれていくんですね。それは感動へとつながっていきます。

オケから第九がもついろんな「顔」を伝えたい!という想いがビンビン伝わってくるんですよね。しかも、高津市民、対向配置で、なんです。プロオケでも難しいこの配置を、アマチュアらしい飲みにケーションで乗り切ったのか、本当に乱れることがない演奏でした。この点ははっきりと、高津市民オケは誇りに思っていいと思います。

第4楽章も申し分ないと思いますが、唯一気になったのが、アルトが聴こえてこないなってことでした。私が座ったのは、ミューザの舞台後ろの席で、目の前がアルトだったので、力強いアルトが聴こえてくるのかな、むしろアルトばかり聴こえてしまって、ソプラノや男声は聞こえにくいんじゃなかろうかと心配しましたら、逆だったのです。

これはなぜだろうなあって思いました。人数的にアルトが少ないわけではなく、ソプラノとほぼ同等。男声はしっかりと聴こえて来るのに、アルトは聴こえないなあって思ったのです。

恐らくこうだろうと推理します。ミューザはいいホールであるがゆえに、周りの声は聞こえにくいのです。そのため無理に声を前方へ飛ばそうとしていたためではないか、と。その切っ掛けが、その前に聴きに行った、中大混声のメサイアにありました。あの時、そういえば飯坂先生は2階席以上を使わせなかったな、と。それは声を遠くへ飛ばすことよりも、上方へ飛ばすことによって上から包み込むことを目的にしていたはずだ、と。

人数が女性のバランスにおいて揃うということは、逆に言えば、それだけかずだけそろえてしまった、とも言えます。かつて歌っていたからこそ、大体想像はつきます。ということは、普段ミューザのような「残響のいいホール」で歌い慣れていない合唱団員もいることを意味するからです。もっと声を上に上げるという意識を持っていたら、むしろアルトばかり聴こえるくらいだったろうと思います。それ以外のパートは程よくホールの残響によって入り混じり、素晴らしい音になっていただけに、残念です。

指揮者の解釈もスタンダードですし、年末をふりかえるのに素晴らしい演奏だったと思います。アマチュアの演奏会でありながら、常に豊潤な音が上から降り注ぐのは、聴いていて喜びが持てるものでした。とても幸せなひと時を過ごさせていただいたことに、オケ、指揮者、ソリスト、合唱団員、そして全ての携われた皆様に、感謝したいと思います。

さて、今年最後のエントリとなりました。今年はコンサート評が多くなって、振り返りますといい1年だったと思います。まあ、プライベートでは様々あったのですが、やはりコンサートの力って素晴らしいって思います。CDだけでは感じ取ることのできない、人がすぐ近くにいることによる「何か」が感じられたのがよかったなって思います。

来年も、いいコンサートに恵まれるといいなと思っています。1月1日に臨時にエントリを立てる予定でいますので、また来年もこのブログをよろしくごひいきにしていただけますと、嬉しいです!




聴いてきたコンサート
150万人都市記念 かわさき市民第九2017
エンゲルベルト・フンパーディング作曲
歌劇「ヘンゼルとグレーテル」第1幕への前奏曲
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
交響曲第9番ニ短調作品125「合唱付き」
田川聡美(ソプラノ)
藤井麻美(アルト)
堀江真鯉男(テノール
武田直之(バリトン
吉田行地指揮
高津市民オーケストラ
2017かわさき市民第九合唱団(合唱指揮:武田直之)

平成29年12月24日、川崎幸、ミューザ川崎シンフォニーホール

※プログラムでは「序曲」となっていましたが、本文中に「第1幕への前奏曲」とありましたので、そちらを採用しています。

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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