かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

コンサート雑感:都民交響楽団2018年特別演奏会

コンサート雑感、今回は平成30年12月23日に聴きに行きました、都民交響楽団の2018年特別演奏会を取り上げます。

都民交響楽団というオケ、その名をあまり聴いたことがないって人も多いかもしれませんが、実は知る人ぞ知るアマチュアオケなのです。あまり普段クラシックを聴かない私の父でさえ知っていたオケなのです。

https://www11.big.or.jp/~tmk/about_us.html

横浜交響楽団や諏訪交響楽団に匹敵するくらいの歴史を持ち、東京都も自分の公務員である東京都交響楽団ができる以前から支援もしてきたオケです。

その東京都の支援も1999年に打ち切られていますが、その後も精力的な活動をしているすばらしいオケだと言えるでしょう。オーディションを定期的に行っている点も特徴的です。こうなると、もうアマチュアオケというよりはセミプロとご紹介するほうが適切なのではないかって思います。

この前置きをおいたのには、理由があります。演奏がどこから見てもアマチュアとは到底思えなかったから、です。

都民交響楽団は毎年この時期になると年2回の定期演奏会の他に特別演奏会を開いています。N響あたりと同じなんですねとピン!と来た方もいらっしゃるのでは。そうなんです、この特別演奏会というのは、メインが必ずベートーヴェンの第九なのです。

以前から、都民交響楽団さんの演奏会は聴きに行きたいって実は思っていたのです。けれども毎年他の演奏会が先に入っていたりとか、良いホールで第九の演奏会が他にあるとかで、なかなか行けないという年が続いていました。都民交響楽団さんはホールが東京文化会館であることが多いので・・・・・

とはいえ、東京文化会館も響きはそれほど悪くないホールです。確かにサントリーなどと比べればですけれど、それでも、音響はいいほうだと思います。特に第九などは日本のオケだと良いホールとそうではないホールとではあまり差がないことが多いのです(唯一差が大きいのがミューザなのではないでしょうか。その他で私が知る限りでは、昭和音大のですね)。

ですから、第九の場合、私はあまりホールで判断はしないようにしていますが、確か昨年は都民交響楽団と同じ日に、かわさき市民第九(ホールがミューザ)が入っていたためそちらを優先したと記憶しています。今年も同じ日にかわさき市民第九が入っているのはわかっていたのですが、あえて都民交響楽団を選びました。今回かわさきは一つのオケではないので・・・・・

その判断がなんと正しかったのです。実にすばらしい、喜びに満ちた、まさに第九の歌詞通りの演奏が聞けたことは本当に幸せでした。

今回も体調がそれほど思わしくなく、1プロのワーグナーはホワイエで聴いていたのですが、なんとなく聴いていると、あれ?痩せた音って、どこに響いている?というのが第1印象でした。私プロオケを聴きに来ているわけじゃないんだけど・・・・・ソリストもすばらしいですし、どこに文句のつけようがあるのかってくらいです。

でも、府中市交響楽団さんのときのように、後半の第九ではどこかで散見されるだろうって思っていたんです。ところが、最終的にはどこにもみうけられなかったのです。アマチュアオケでこんなことははじめての経験でした。目立たないけれどどこかで聴こえるもんなんです。それが気にならない演奏ならいくらでも聴いてきましたし、感動もしてきました。しかし今回は、皆無だったんです。なるほど、オーディションを定期的に課していれば、それだけの演奏技術にはなるかなって思います。

そして、うまいだけではありません。表現力も抜群です。ppからffまでしっかりとついていましたし、アインザッツの強さも十分!ティンパニは「ぶっ叩いて」くれますし、合唱団は最後の「いだきあえ!行く百万の人々よ!」はしっかりしゃべる!

そう、合唱団も素晴らしかったのです。合唱団はソニー・フィルハーモニック合唱団。関東では芙蓉グループとともに生き残っている混声合唱団だと言えると思いますが、その歴史は意外と浅いのです。しかしどうも社員さんですばらしい指導者がいるようで、合唱指揮の江端さんは卒業が電子工学なんですよね。もしかすると室蘭工業大学か?って思ってしまいます。室蘭工業大学は合唱が盛んですから。

こういう指導者がいる合唱団はすばらしいんですよねえ。たいてい、企業合唱団って意外と練習回数って少ないものなのですが、そんなことを感じさせないすばらしい安定した歌唱!特に男声が女声の半分しかいないのに、女声以上に聴こえてくるんです!これ、正直感動しました。そして、自分の中に喜びが「入ってくる」のがわかるんです。歌い手の魂が入ってくるというか。

マチュアの演奏会って、私はあまり指摘しませんが、やはりどこかにマイナス面ってあるもんです。それを相殺するような情熱だったりが勝っていい点しか見えないだけですが、この都民交響楽団さんとソニー・フィルハーモニック合唱団の演奏は、もとからいい点しかないと言えるかと思います。解釈としてはステディで常に私が問題にする第4楽章vor Gott!の部分も特段変態演奏であるわけでもありません。それなのに、どんどん私の魂に喜びが満ち溢れてくるんです。涙が出るよりも、もう多幸感に包まれているんです!

こんな第九の演奏も初めてかもしれないです。たいてい、私は元アマチュア合唱団員なので、泣いてしまうんですよねー。その練習の苦労を偲ぶと・・・・・けれども、今回はそれがわかるのに、泣いたのは最後の部分だけです。もう幸せで幸せで・・・・・

そもそもは、シラーの歌詞も友人の助けを幸せと感じたからこその答礼ですし、ベートーヴェンも人生でカールを自殺未遂まで追いやってしまったような波乱万丈の果にたどり着いた魂の境地として第九に表現したものでもありました。そんな作品のコアな部分がしっかりと表現されていたのかなって思います。オケの方はかなーりヲタクだとパンフを読んで思いましたが、そのヲタクぶりが作品の内面への理解と共感に満ちていることが演奏からわかったのもとても幸せでした。単に原典がこうだから!ではなくて、原典とはベートーヴェンがいいたかったことのはずだという確信に満ちた演奏だったのがとても好印象です。

正直、会員になってしまおうかと思うくらいのすばらしい演奏でした!もう感謝の言葉しか出てきません。しっかりとブラヴォウ!をかけさせていただきました。こんなすばらしい演奏に感謝しないわけには行きません。また一つ、聴きに行きたいと思うオケが増えました。嬉しい悲鳴を上げていますw




聴きに行ったコンサート
創立70周年記念 都民交響楽団2018年特別演奏会
リヒャルト・ワーグナー作曲
楽劇「トリスタンとイゾルデ」より「イゾルデの死」
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
交響曲第9番ニ短調作品125「合唱付き」
文屋小百合(ソプラノ)
菅 有実子(アルト)
渡邊公威(テノール
須藤慎吾(バリトン
ソニー・フィルハーモニック合唱団(合唱指揮:江端員好)
末廣誠指揮
都民交響楽団

平成30年12月23日、東京台東、東京文化会館大ホール

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




このブログは「にほんブログ村」に参加しています。

にほんブログ村 クラシックブログへ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ 合唱・コーラスへ
にほんブログ村