かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

コンサート雑感:オルケストル・デ・ベル第1回記念演奏会を聴いて

コンサート雑感、今回は平成30年1月6日に聴きに行きました、オルケストル・デ・ベル第1回記念演奏会を取り上げます。

このコンサートに行くきっかけになったのは、一通の間違いメールだったのです。以前、私は大田区民第九合唱団の団員であったことは明らかにしておりますが、私は当時ホームページ担当で、兎に角突貫で作ったため、連絡先として私のメルアドを指定していたのです。

ところが、私は家族との軋轢の中で合唱団を辞めざるを得なくなります。そうなると問題になるのがホームページなのですが、実は放置してあります。退団するときに、新しいホームページを作ってほしい、いつかはそちらが検索でメインになるはずだから、と。それはその通りになっているようですが・・・・・

なぜか、旧ページが検索で引っかかったようで、大田区民第九合唱団の定期演奏会にチラシを挿みたいので、お願いしたいという連絡が入ったのでした。私は丁重に今は退団しているので応じられないので、新しい連絡先を教えますのでそちらにと返答したのでした。

それはうまくいったようで、じっさい大田区民第九合唱団の定期演奏会のプログラムに、しっかりとチラシが入っていました。ただ、私はこの連絡が入った時点で、このようにも返答したのです。

「せっかくなので、是非とも聴きに参ります」

そのため、今回足をはこんだのです。ホールはその前の週にかわさき市民第九で聴きに行ったミューザ川崎。時間は夜でしたが、終演後すぐ出発すれば仕事に間に合うため、即座にチケットを取りました。

勿論、アマオケです。しかも、第1回の演奏会。演目は何と、第九だったのです・・・・・・だからこそ、即座にチケットも取りましたし、即座にせっかくだから聴きに行きますと返答もしたのでした。第九を遣るからこそ、大田区民第九合唱団にチラシ挿入を頼んだのでしょうし。

当日のプログラムは、以下の通りです。

オール・ベートーヴェン・プログラム
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
�@レオノーレ第3番
�A交響曲第9番「合唱付き」

当日、私は猛烈に忙しく、レオノーレ第3番はホワイエで聴くことすらもかないませんでした。ですのでそれを評論することはできませんが、第九を聴いて大体素晴らしい演奏だったことは容易に想像できます。

本当にこのオケ、アマチュアなのかという印象を、私は第九の第1楽章が鳴った途端思いました。アマチュアらしい痩せた音がない・・・・・勿論、それは曲が進むにつれてつまびらかになったので、やはりアマチュアだよねと思ったのですが、それでもあまり見受けられないというのは、もはやダズビを超えたと言ってもいいと思います。

そこで、私はおもむろにプログラムを見てみると、団名の「ベル」は「美女と野獣の主人公jからと有ったので、帰ってから検索してみました。

美女と野獣は、元々はフランス文学ですが、特に西欧文化圏で映画にもミュージカルにもなっている作品です。

美女と野獣
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%BE%8E%E5%A5%B3%E3%81%A8%E9%87%8E%E7%8D%A3

「感の言い方はわかるのでは」とあるので、恐らく映画のほうだと思いますので、そちらも。

美女と野獣 (2017年の映画)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%BE%8E%E5%A5%B3%E3%81%A8%E9%87%8E%E7%8D%A3_(2017%E5%B9%B4%E3%81%AE%E6%98%A0%E7%94%BB)

エマ・ワトソンが実際に歌ってもいる作品なので、見に行った方も多いのではないでしょうか。このあらすじを見てみる限り、つまりはこのオケのコンセプトはこういうことになります。

「異なる者たちが、一つの芸術を奏で、作りあげていく」

何と民主的で、「霊的」なのだろうかと思います。最近、某所で音楽が民主的だとかいう意見がありますが、我が国にこのようなオケがあることを知っての日本のオケを蔑む評論なのかと思います。アマチュアは下手かも知れないですが、理念はプロよりも相当先を行っています。ですから、素晴らしい演奏をするアマチュア・オケがどんどん出てきています。

その「霊的」という点において、彼らが第九を第1回の演奏会のメインに持ってきたのは、むしろ当然なのでしょう。なぜならば、第九と言う作品は共和主義と言うよりは、多分に霊的な作品だからです。

交響曲第9番 (ベートーヴェン)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2%E7%AC%AC9%E7%95%AA_(%E3%83%99%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%83%B3)

フリードリヒ・フォン・シラー
生涯の親友ケルナー
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%AA%E3%83%92%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%A9%E3%83%BC#%E7%94%9F%E6%B6%AF%E3%81%AE%E8%A6%AA%E5%8F%8B%E3%82%B1%E3%83%AB%E3%83%8A%E3%83%BC

ケルナーがメイソンだったからなのでしょうが、シラーの苦しい時に手を差し伸べたのがケルナーです。その答礼に書かれた詩が「歓喜に寄す」です。ですから単なる共和主義とみるのは私は間違いだと思います。それを超えた、連帯への賛美なのです。

ベルオケさんが、此のことを知ったうえでの演奏だったかはわかりません。しかし特筆すべきは、演奏が終始熱かったことです。にも関わらずアンサンブルは崩壊しない。高津市民同様に両翼配置で。まさに「情熱と冷静の間」が絶妙な演奏だったのです!第4楽章では久しぶりに泣きました、私。

しかも、変態演奏!vor Gott!の部分では、恐らくですが、vor1拍に対して、指揮の水戸氏はGott!を7拍振っているのではないかと思います。でも、それが全然気になりません。その後の男声合唱のあと、第435小節あたり、本来ならfなのにppに一旦して、その後ffで演奏するなんざあ、いやあ、気合入っているなあと思います。それも違和感なし。素晴らしい!

そして特にすばらしいのは、何と言っても合唱です。力強く、美しく、何と喜びに満ちた合唱が響いてくることか!特に練習番号mのあたりでは、明らかにミューザを意識してか、声が上へ響き、それが振ってくる感じなのです!

つまり、声が前方から塊で飛んでくるのではないってことなんです。前方から塊で飛んでくることも素晴らしいのですが、いいホールでかつ舞台で声を遠くに飛ばすには、むしろ声を上へあげる意識じゃないと難しいのです。特にミューザでは、です。

ふとプログラムを見てみれば、合唱指揮は何と!以前お世話になった遠藤正之先生ではありませんか!納得です。だからこそ力強く、美しく、しなやかで、喜びに満ちた合唱になったのだろうと思います。指導を受けた人間だからこそわかる、遠藤先生の人間味あふれる指導故だろうと思います。オケの理念としっかりマッチし、一つに融合して、みごとな芸術として開花したと思います。

その上で、もう一つ合唱団を誉めるべきは、よくぞ口語体にチャレンジしました!なかなか他の合唱団がチャレンジしない中で、口語体にチャレンジしたことは素晴らしいですし、みごとに「新しい時代の第九」にぴったりだったと思います。アグレッシヴで雄弁なオケと見事にこれも融合!正に「ベル」らしい「異なる他者との融合」だと思います。ソリストが文語体だったのは仕方ないかもしれませんが、同じホールで東響がスダーン時代にソリストも口語体というチャレンジをして、みごとに成功していることを考えれば、ソリストもやるべきだったと思います。すでに、オケと合唱団はスダーン時代の東響に迫る勢いだと言っても過言ではないと思います。

使った楽譜も、ブライトコプフを基礎とし、ところどころ新ベーレンライター原典版も取り入れた、柔軟なもので、ベルオケさんの理念通りなのではないかと思います。それが見事に違和感なく自然!新しい時代の第九を聴かせてもらった気がします。

次の演奏会は来年1月5日土曜日!何と、私の休日ではありませんか!会場も杉並公会堂ということで、是非とも聴きに行きたいと思います。金管がもう少し息継ぎを意識すれば音は自然に出ますので、そのあたりまだ伸びしろがあります。来年どんな演奏を聴かせてくれるのか、さらなる成長が楽しみです!




聴いてきたコンサート
オルケストル・デ・ベル第1回記念演奏会
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
序曲「レオノーレ」第3番作品72b
交響曲第9番ニ短調作品125「合唱付き」
鷲尾麻衣(ソプラノ)
鳥木弥生(メゾ・ソプラノ)
城宏憲(テノール8)
加藤大聖(バリトン
水戸博之指揮
オルケストル・デ・ベル&合唱団(合唱指揮:遠藤正之)

平成30年1月6日、川崎幸、ミューザ川崎シンフォニーホール

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




このブログは「にほんブログ村」に参加しています。

にほんブログ村 クラシックブログへ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ クラシックCD鑑賞へ
にほんブログ村
にほんブログ村 クラシックブログ 合唱・コーラスへ
にほんブログ村