かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~小金井市立図書館~:ロシア クラリネット作品集

東京の図書館から、今回は小金井市立図書館のライブラリである、ロシアのクラリネット作品集を取り上げます。

正確に言えば、クラリネットソナタ集と言っていいのではないかと思います。ピアノも伴奏としてついていますので。ただ、「ソナタ」という曲はこの中には2曲しか収録されていませんが。

作曲者も、ロシアと言っても日本ではあまりなじみがない、コアな人たちに有名な人ばかり。グリエールに、タネーエフ、ゲディケ、そしてチェレプニン、などなど。この4人ですら、あなたはその名を知っていますか?

チェレプニンはこのブログでも伊福部の時にも出てきましたし、それなりに有名な作曲家ではない唱歌。しかしそれ以外は果たして?という感じはします。ですがこれがどれもロマンティックで、聴いていてまさにロシアという感じです。

もっと言えば、体制とか反体制とかそういう匂いが一切ないんです。どれでも自分の表現をしている作品ばかりで、特にゲディケはこんなにも優れた作品を書くのか!と驚きも存分にあります。

一番有名なストラヴィンスキーの個性もまた素晴らしいですが、それ以外の作曲家たちの、「人間の喜びや哀しみ」を表現した作品たちは、まさにその輝きを放ってやみません。

もちろん、このアルバムはクラリネットの曲集ですから、そのクラリネットの音色、そしてその音色を使った表現も聴きどころ。暖かく哀愁に満ちたクラリネットの音色を存分に使った演奏は、それぞれの作品がそもそも持っている「内面性」を自然と浮かび上がらせます。クラリネットはドレスラー、ピアノはペトルシャンスキーとあまり日本ではなじみがない演奏家たちですが、起伏こそない作品達にしっかりと生命が宿っていることを述べるその演奏は味わい深いものがあります。

聴けば聴くほど味が出るという感じのこの演奏。ともすれば地味に見えますが、しかしよく聴けば聴くほど、その世界に引き込まれていくアルバムです。

 


聴いている音源
セルゲイ・イヴァノヴィチ・タネ―エフ作曲
カンツォーナ ヘ短調
アレクサンドル・セルゲイエヴィチ・タネ―エフ作曲
アラベスク 作品24
アレクサンドル・グレチャノフ作曲
ソナタ第2番作品172
アレクサンドル・フェドロヴィチ・ゲディケ作曲
ノットゥルノ 作品28-1
練習曲 作品28-2
ボリス・ウラディーミロヴィチ・アサフィエフ作曲
コンチェルティー
ラインホルド・モリテスヴィチ・グリエール作曲
ロマンス
悲しいワルツ
コンスタンチン・ゲルギエヴィチ・モストラス作曲
リムスキー=コルサコフの主題による練習曲
イーゴリ・ストラヴィンスキー作曲
クラリネットのための3つの小品
ニコライ・二コラエヴィチ・チェレプニン作曲
エスキス(素描)
アレクサンドル・チェレプニン作曲
1楽章のソナタ
アントン・ドレスラー(クラリネット
ボリス・ペトルシャンスキー(ピアノ)

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。