かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~府中市立図書館~:20世紀のトランペット協奏曲集

東京の図書館から、今回は府中市立図書館のライブラリをご紹介します。20世紀のトランペット協奏曲集を収録したアルバムです。

多分これ、ナクソスだと思うんですが、もしかすると違うかもです。ナクソスってものによってはほかのレーベルから買い取る場合があるので・・・・・ただ、収録されている作品と演奏者は以下のナクソスに間違いありません。

ml.naxos.jp

20世紀という時代は何でもある時代ですから、トランペットのための協奏曲があっても全然おかしくないですし、むしろバルヴ式が発達した20世紀という時代だからこそ、トランペットという管楽器のための協奏曲がかかれたとも言えるでしょう。管楽器のための協奏曲と言えば前期ロマン派までという印象もあるのですが・・・・・

それにしても、いきなり1曲目からどこか中央アジア的な音楽が・・・・・アルチュニアンを調べてみると、なるほど、そのあたり出身の作曲家でした。

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3部に分かれていますが単一楽章という、20世紀らしい様式に民族色をいかんなく詰め込んだその音楽は、聴けば聴くほど味が出てきます。

2曲目はゲディケのトランペット協奏曲。1930年の作品ですが、優れた作品でとても華麗ですが、冒険という意味では保守的な作品だといえるでしょう。そこがまた聴きやすさだったりしますけれど、ショスタコのような毒などはありません。

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さて、3曲目はネットでは作曲者の解説すらないタンベルクのトランペット協奏曲第1番。もちろん作品の解説もありませんが、古典的な様式の中に20世紀音楽らしい和声をたっぷりと入れた作品で、じつは収録されている中では最も私が好きな作品です。

最後のヴァシレンコのトランペット協奏曲。ヴァシレンコはソ連のどちらかと言えば体制側だった作曲家。ですからショスタコのように当局ににらまれることはありませんでしたが、それでも時代の潮流の中で自分の作風に独自のものを作り上げていった作曲家です。基本的には「20世紀音楽」の特徴である「拡大された調性」の範疇に留まる作品が多く、そのため体制側だったとはいえ魅力的な作品にトランペット協奏曲も仕上がっています。

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ある意味、濃ゆいものを持つ作品たちを演奏するのはペッターがハルヤンネ。ペッター(つまり、トランペットソリスト)と言えばアンドレが有名ですけれど、こんな知られざるソリストがいるということも驚き。艶もありますし自由自在。ともすれば体制に縛られる作曲家も含まれていますが自在に演奏すれば見事な花が咲くことをしょうめいしています。だからこそ、批判は芸術に対してではなく、体制に対して行われるべきだと私は思っているのですが・・・・・

同様に、指揮するサヴィヨキも、そしてオケであるクオピオ響も、作品がどうのではなく一つの芸術としてしっかり向き合っていますし、その結果大輪の花が咲き、まるで万華鏡。キラキラとした音の風景が広がっています。多分、ここに収録されている作曲家たちは、そういった自由自在な演奏を夢見て、作曲したんだろうと思うと、どこかこの国の中国だから韓国だからぶったたくという幼稚な批判精神にはもう横っ腹で笑わずにはいられません。

 


聴いている音源
アレクサンドル・アルチュニアン作曲
トランペット協奏曲(カデンツァ:T.ドクシツェル)
アレクサンドル・ゲディケ作曲
トランペット協奏曲作品41
エイノ・タンベルク作曲
トランペット協奏曲作品42
セルゲイ・ワシレンコ作曲
トランペット協奏曲作品113
ヨウコ・ハルヤンネ(トランペット)
ペッカ・サヴィヨキ指揮
クオピオ交響楽団

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。