東京の図書館から、今回は府中市立図書館のライブラリをご紹介します。バッハのゴルトベルク変奏曲のアルバムです。
とはいえ、バッハのゴルトベルクはこのブログでもいくらでも取り上げています。ですから、何か特徴がない限り、借りたり買ってくることはないわけです、そう、演奏がキース・ジャレットだから、なのです。
え、キース・ジャレットって、誰？という読者の方もいらっしゃるかと思います。それは当然で、そもそもキース・ジャレットはジャズピアニストなのですから。しかしこの人、多才な人で、クラシックも演奏してしまうんです。その中の十八番の一つが、バッハのゴルトベルクです。
この録音では、ピアノではなく、ウィキにある通りハープシコード、つまりチェンバロで演奏しているんです。モダンジャズの天才が、バッハをピアノではなくチェンバロだからこそ、借りてきたんです。
アメリカのピアニストで、バッハを十八番にしていたとなると、代表的なのはグールドです。グールドはモダンピアノで演奏して見せましたが、キース・ジャレットは自身ピアニストであるにも関わらず、チェンバロで表現したというわけです。それはとても興味深いではないですか！
さて、演奏はと言えば・・・・・多分、聴けばその演奏に腰抜かすと思います。とてもクラシックの正当な演奏であることに。ジャズピアニストですからもっと激しさとか、ロケンローするのかと思いきや、どこから見てもクラシックの演奏家の演奏としか見えないんです。しかし、その演奏には、演奏者が作品をじっくり味わっている様子が浮かび上がります。
この録音にはさらにキース・ジャレットのこだわりが詰まっており、ウィキにもありますが、この録音のためにチェンバロは特別に作られたもので、キース・ジャレット自身が工房を探し当てたといういわくつきです。
それにしても、ホールも八ヶ岳高原音楽堂というのも味があるというか、ピアノを弾く人じゃないと知らないホールです、ここ。私自身もそんなところにホールあったんか！と驚きなわけなのですが、キース・ジャレットはそこでの録音を希望した、というわけです。このホール、別荘風のホテルとヒュッテからなり、ヒュッテはドラマ「高原へいらっしゃい」の舞台になった、有名な場所です。そのドラマは何度も私も見たのですが、まさかホールまで有るとは思いもよらなかったのです。
クラシック音楽を聴くとても贅沢な環境だと思います。その分、恵まれているとも言えるでしょう。だとすれば、キース・ジャレットが望むのは道理かもしれません。聴衆のマナーにもうるさい人ですし。確かに、人生で一度はこのヒュッテに泊って、コンサートを聴くなんてしてみたいものです。ただ、結構お高い・・・・・原則2名以上ですし、私一人ではちょっと無理。いい人いないかなあ・・・・・スタンダードの最安値なら私一人なら何とかなりますが・・・・・二人となると、ちょっと考えます。ただ、それにコンサートが加わるとなれば、上質な環境で音楽を味わうことができますから、そんなものだとは思いますが。
検索してみると、ご時世がらコンサートは軒並み中止または延期になっていますが、ホール自体は小さいですし、ほとんどが宿泊客だとすれば、対策さえすれば開けるような気はするんですけどね・・・・・まあ、責任問題になるのでそれは難しいのでしょうけれど。キース・ジャレットは今どんな気持ちでこの狂騒曲を眺めているんだろうって思います。
録音を聴いている限りでは、このホールはまるで教会のような響きを持っています。そしてチェンバロの古色蒼然とした味わいあるサウンド。それが一体となって作り出す空間は、一度は聴きに行きたいと思わせるのに十分。どうやらコンサートだけというのも可能なようなので、私自身新型コロナウィルス騒ぎが終わった後に、行けたらいいなと思っています。送迎もやっていただけるのであれば、特急ではなく快速でも全然いけますしね。それなら小淵沢まで運賃だけで行けます。しかも車両は2020年3月現在、元東海道本線の快速ラピッドで使っていた車両。現在は朝のライナーで使っていますが、座っていけるのもうれしいところ。
キース・ジャレットがゴルトベルクの世界を表現するのに適切だと判断したホールとチェンバロ。CD規格でも本当に美しく鳴っていますから、これがハイレゾ、あるいはライヴだったらとれだけ美しいんだろうって思います。今年の夏あたりは、ちょっとひっさしぶりに八ヶ岳高原へ行ってみようかなって思います。レンタカーでもいいですが、やはり渋滞なしの中央線で・・・・・
ヨハン・セバスティアン・バッハ作曲
ゴルトベルク変奏曲 BWV988
キース・ジャレット（チェンバロ）
地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。
