かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:R.シュトラウス 管弦楽作品全集9

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、リヒャルト・シュトラウス管弦楽作品全集をとりあげていますが、今回は最終第9集を取り上げます。

第9集では、交響詩ドン・キホーテ」と「クープランクラヴサン曲による舞踏組曲」の二つが収録されています。この二つは関連性はないような感じですが、これも「これもリヒャルト・シュトラウス、あれもリヒャルト・シュトラウス」という編集方針が見え隠れします。

まず「ドン・キホーテ」。交響詩としては6番目の作品ですが、様式としては変奏曲です。

ja.wikipedia.org

そのうえで、これもリヒャルト・シュトラウスが自身をドン・キホーテに投影している作品だと私は思います。演奏を聴いていると、ドン・キホーテを楽しそうに表現している感じが受け取れます。

そして、2曲目「クープランクラヴサン曲による舞踏組曲」。聴いているとリヒャルト・シュトラウスの作であるということを忘れてしまうほど、バロック的です。それにしても、ドイツバロックではなく、フランスバロッククープランなのが興味深いところ。ネットではそのあたりの解説等ないのですが、シュトラウスの一つの批判精神かもしれないなあと、私は思っています。作曲は1941年。第二次大戦はすでに開戦しており、日本が太平洋戦争を始めて日本とアメリカが参戦した年です。そんな時期に、作品番号がついている作品として作曲したのがこの作品です。

ですから、当然ながら、シュトラウスはその推移を見ているわけです。家族にユダヤ人がいるシュトラウスとしては、まさにナチスの行状は自らの問題です。ゲルマン主義に対するアンチとして、フランス・バロックを取り上げたとしたら・・・・・ちょうど、フランスは当時ナチスの占領下。そんな背景が見え隠れするのは私だけなんでしょうか・・・・・

いずれにしても、演奏はとても生き生きとしていて、しかしとかく急いだ演奏ではなく、むしろ歌謡性たっぷり。ということは、やはりと、私は思ってしまうわけなんです、この全集を最後まで聴いてきてしまうと。ケンペとシュターツカペレ・ドレスデンがそんな演奏をするときは、特別に思い入れがあるとき。ドン・キホーテにしても、舞踏組曲にしても、シュトラウスの批判精神をそのコンビが受け取っていると判断できるかと思います。そしてその共感と楽しそうな演奏は、まさに第九の「おお友よ、もっと違う、もっと心地いい音楽を、ともに歌おう!」という体現なのではないかという気がするのです。

そしてそれは、私自身にも、素晴らしい贈り物のように思います。ケンペとシュターツカペレ・ドレスデンに対し、感謝の念に絶えません!

 


聴いている音源
リヒャルト・シュトラウス作曲
交響詩ドン・キホーテ」(騎士的な性格の一つの主題による幻想的変奏曲)作品35
クープランクラヴサン曲による舞踏組曲(作品86)
ルドルフ・ケンぺ指揮
シュターツカペレ・ドレスデン

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。