かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:R.シュトラウス 管弦楽作品全集3

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、シリーズで取り上げていますリヒャルト・シュトラウス管弦楽作品全集、今回はその第3集です。いよいよ交響詩が登場します。

その第3集に収録されているのは、いわゆる「ティル」と、ドン=ファン、そして「英雄の生涯」の3曲です。実は、「ティル=オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」はまともに聴いたことがない作品なんです、私にとって。

借りてきた当時は、それにさらにドン=ファンが加わっていました。ドン=ファンは先日ハルオケさんでじっくり聴いてきましたので、聴き比べって感じになります。

さて、私はこの第3集を聴いたとたん、驚いたのが「ティル=オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」なのです。リヒャルト・シュトラウス交響詩って壮大なイメージがありますが、この作品、どこまでも楽しい!それは、検索してみるとなるほど、なんですよねえ。

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ネット上ではいろんなレビューがこの作品に対して載っていますが、一言「楽しい作品!」と述べているのをそういえば見かけたことがないんです。けれども私は、どこかリヒャルトがいたずらっぽくウィンクしてあっかんべーしている様子しか浮かんできません。そのうえでロンド形式というのは、ある意味古めかしいものの代名詞として使っているように思います。いやあ、こんなに深くてしかも面白く楽しい作品だとは!

その意味では、この第3集の隠れたテーマは「交響詩:これもリヒャルト・シュトラウス、あれもリヒャルト・シュトラウス」なんじゃないかなあって思うんです。2曲目「ドン=ファン」は色男をコミカルに描いて見せていますし、そのうえで「英雄の生涯」は明らかに作曲者自身を英雄に見立てたもので、下手すれば純情愛情過剰で異常ともいえる部分さえw

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その「英雄の生涯」は最初に聴いたのがベルリン・フィルの来日公演のテレビ放映で、カラヤンが来る予定だったのが凝れなくなり急遽代打で小澤征爾が振ったもの。1プロではロストロポーヴィチのチェロでドヴォルザークの「チェロ協奏曲」を演奏した公演です。その時に、詳細な解説があったため、興味深い作品だと興味を持ってから、CDなどでも持っておきたいなあと意思を固めてからはやうん十年、ようやく図書館でかりてきてリッピングできたのがこの第3集だったのでした。

私はここに収録されている作品すべてが素晴らしいと思いますが、特に面白いと感じるのはやはり「ティル=オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」と「英雄の生涯」です。「ティル」はある意味リヒャルト・シュトラウスの批判精神を本当にコミカル、面白おかしく管弦楽で描いて見せた作品ですし、「英雄の生涯」はもう完全にヒロイズムに浸っている作曲者自身!これをリヒャルト・シュトラウスが書いたの、まだ30代ですよ?彼はその後まだ40年くらい生きるんですよ。むしろ、「こんな生涯を送りたいなあ」という願望のほうが強いんじゃないかって思うくらいです、臨床心理学からすればwwww

そのせいなのか、指揮するケンペと演奏するシュターツカペレ・ドレスデンは「英雄の生涯」ではそれほど歌わず、ちょっとだけテンポ速めで突っ込んでいる感じ。ドン=ファンも多少そんな感じですがむしろの突っ込み気味が生き生きとした生命力につながっており、さすがハルオケさんよりはうまいなあと舌を巻きます。そして最初の「ティル」のなんと面白く演奏することか!これはもしかすると、当時の団員たちの想いだったのではないのかなあとさえ感じるくらいです。こうしっかりと作品の背景を知ると、作曲者や演奏者たちと対話が始まりますから、クラシック音楽って魅力的なんですが、ぜひともプロの評論家の方には、しっかりと背景を知ったうえで解説していただきたいと思っています。

多分そういう丁寧さを欠いているからこそ、指揮者の大友さんは「オタクがクラシック音楽を亡ぼす」というテーマで書いたんでしょうから・・・・・そんな丁寧さを欠くんだったら、その解説や評論は私以下ではないでしょうか。私は基本評論で生きていません。別に仕事をもち、あくまでもブログはその余暇でやってます。そんなアマチュアと同じ程度であるということに対する「恥」の精神はないのかなあって思います。

 


聴いている音源
リヒャルト・シュトラウス作曲
交響詩「ティル=オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」(ロンドー形式による昔の無頼の物語)作品28
交響詩「ドン=ファン」作品20
交響詩英雄の生涯」作品40
ルドルフ・ケンぺ指揮
シュターツカペレ・ドレスデン

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。