かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

今月のお買いもの:トヴェイト ピアノ協奏曲第4番他

今月のお買いもの、平成27年1月に購入したものをご紹介しています。今回はディスクユニオン新宿クラシック館にて購入しました、トヴェイトのピアノ協奏曲第4番他のアルバムをご紹介します。レーベルはナクソスです。

さて、このブログでは初お目見えのトヴェイトですが、なぜに購入に至ったかと言えば、実はもっと前から神奈川県立図書館では見かけていたからです。協奏曲の棚に常にトヴェイトの名前があるのを見て、いつかは借りようと思っていた作曲家なのです。

その県立図書館の音源もナクソスで、実はトヴェイトの作品はそのほとんどがナクソスあるいはBISから出ているのです。

ゲイル・トヴェイト
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B2%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%88%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%83%88

神様というのはかくも非情なものなのでしょうか。トヴェイトのこのアルバムを聴くにつれて、作品の殆どが灰燼に帰してしまったということに、衝撃を覚えざるを得ません。

作風は、勿論20世紀音楽の範疇ですが、透明感があり、不協和音がむしろ心地よく聴こえるのがいいなと思います。まず第1曲目の「2台のピアノと管弦楽のためのハルゲンタルの民謡の変奏曲」は、30分もの長さを持つ大曲ですが、ガーシュインを彷彿とさせるようなピアノと管弦楽という組み合わせと、クラシックの伝統である変奏曲という特徴を持ちます。幻想的なその音楽は、その長さを全く感じさせません。

2曲目はピアノ協奏曲第4番「オーロラ」です。3楽章形式を取っているものの、実際には古典的なピアノ協奏曲とは言いがたく、むしろ標題音楽という意味合いが強く出ています。特にこの第4番では、各楽章が以下のようになっていて、まるで風景を収めた動画につけるBGMと言った雰囲気すらあり、ドラマティックです。

第1楽章:色づく秋に北の空にオーロラが輝きはじめる
第2楽章:冬の空に輝く、そして・・・・・
第3楽章:春の明るい夜空に消えゆく

「オーロラ」という題名が付いていて、オーロラが出現したある一日を描いたというよりは、むしろ一年のうちにおけるオーロラの出現を描いたという言い方が適切ではないかと思います。その意味で、ベートーヴェン交響曲第6番「田園」に似た様相を持ちます。

これらの作品は、トヴェイトがどんな音楽に影響をうけたかを明確に示していると思います。20世紀の前半における新古典主義音楽(上で挙げたガーシュインもジャズピアニストですがその一人として数えていいでしょう)、あるいは民謡採集の動きに呼応した作品(カントルーブやヤナーチェクと言った作曲家)、バッハやベートーヴェン、などなど。でも、何かをまねたというわけではないんです。2台のピアノと管弦楽のための変奏曲においては様々な作曲家からの引用も見受けられるので、もしかするとショスタコーヴィチにも影響を受けているかもしれませんが、いずれにしても個性が光る作品です。

演奏はしなやかで、余計なことをしていないのに、誠に雄弁にこれらの作品の素晴らしさをかたっているのが、さすが最近のナクソス音源だなあと思います。オケがロイヤル・スコティッシュ管弦楽団だからなのかもしれませんが・・・・・

それだけに、作品の多くが失われてしまったというのは誠に残念ですが、20世紀の作曲家であったということが、一筋の光明となっているように思います。つまり、録音されているものがあれば、そこから復元することが可能だからです。

絶対音感があり、その上で和声学に精通している人であれば、出来ないことはないからです。まるでバッハの失われた作品を復元するかのような努力が、現地で続けられていることを喜びたいと思います。




聴いているCD
ゲイル・トヴェイト作曲
2台のピアノと管弦楽のためのハルゲンタルの民謡の変奏曲
ピアノ協奏曲第4番ヘ長調作品130「オーロラ」
ホーヴァル・ギムセ(ピアノ)
グニッラ・シュサマン(ピアノ)
ビャルテ・エングスト指揮
ロイヤル・スコティッシュ管弦楽団

(Naxos 8.555761)

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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