かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ミスリヴェチェク ヴァイオリン協奏曲集

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回はチェコの作曲家ミスリヴェチェクのヴァイオリン協奏曲を集録したアルバムをご紹介します。

この手はナクソス、ということが多いのですが、確かナクソスではなく、スプラフォンだったと記憶しています。ロケーションがプラハの芸術家の家、なので・・・・・ここを使ったスプラフォン以外の録音を私は寡聞にして知りません。

そもそもは、知らないチェコの作曲家の作品を収録したアルバムであり、しかもスプラフォンでソリストが日本人である、ということから借りたものだったのですが・・・・・調べてみると、いやいや実はすごい録音を借りていたんだと。実はミスリヴェチェク、モーツァルトに多大な影響を与えた作曲家でした。多分ミスリヴェチェクに出会っていなければ、モーツァルトの音楽はだいぶ変わっていたと言っていいでしょう。それは突き詰めて言えば、ベートーヴェンの音楽も変っていたことを意味します。

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チェコは残念ながら当時は音楽後進国で、ちょうど新興国の立場にありました。しかもエステルハージ家の領地のようなもの。そのため、活躍の場は当時の先進国イタリアということになり、イタリアで数多くのオペラを作曲した人なのですが、実際作品を聴いてみますと、前古典派と言っていい作風と古典派的なものが入り混じっており、モーツァルトをほうふつとさせます。しかし、ミスリヴェチェクがモーツァルトをまねたのではなく、モーツァルトがミスリヴェチェクをまねたというほうが、当時の状況に近い描写であるようです。

その意味では、ミスリヴェチェクはむしろハイドンよりも才能有った人ではないか、という気がします。ハイドンが晩年モーツァルトの音楽を取り入れて交響曲を作曲したものと同じ程度洗練されているのに驚きます。これだけの才能を、私たちは忘れ去っていた、というよりは教えてもらっていない、というほうが正しいでしょう。

二つのヴァイオリン協奏曲はそれぞれ番号がついていませんが、どちらもギャラントな雰囲気を湛えつつ、前古典派的な和声をすでに持っている、平明かつ生命力のある作品です。そんな作品をまさに生命力あふれる演奏でソロを担当するのが、日本人の石川静。アニメ好きな人だと声優さんを想起すると思いますが同姓同名のヴァイオリニスト。中学を卒業してプラハへと渡り、以来プラハを中心に活躍する素晴らしい才能です。

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ギャラントな雰囲気もある作品を、まるでロマン派のように生命を謳歌するように生き生きと弾くそのヴァイオリンは、まさに歌っているという表現がぴったり!特にソニーのMusic Center for PCでDSEE HXを効かせて聴きますと、そこで演奏しているかのような臨場感と艶があるのに驚きます。おそらくですが、スプラフォンなので、録音にDENONがかかわっていたりするんだと思います。そんなこともあって、ハイレゾではないのにまるでハイレゾのように聴こえるのは素晴らしい!余計に石川女史のヴァイオリンの生命讃歌が際立ちます。

指揮はリボル・ペシェクですからこれもまた定評あるタクト。室内オケを選択してさらに楽器の音一つ一つがクリアで「立っている」のも魅力的。オケとソリストの楽しい対話を存分に楽しむことができるのは素晴らしい時間だと思います。

 


聴いている音源
ヨセフ・ミスリヴェチェク作曲
ヴァイオリン協奏曲ハ長調
ヴァイオリン協奏曲ホ長調
石川静(ヴァイオリン)
リボル・ペシェク指揮
ドヴォルザーク室内管弦楽団

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