かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:スーク 管弦楽作品集

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回はスークの管弦楽作品集を収録したアルバムをご紹介します。

え、スークって、あのヨゼフ・スーク?と多くのクラシック・ファンが想起すると思いますが、じつはヨゼフ・スークが二人いるって、ご存知でしたか?

みなさんがよくご存知のヴァイオリニストのヨゼフ・スーク。その祖父が、同名で作曲家であるスークであり、今回取り上げる人なのです。

ヨセフ・スク (作曲家)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A8%E3%82%BB%E3%83%95%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%82%AF_(%E4%BD%9C%E6%9B%B2%E5%AE%B6)

とはいえ、何も悔しく思う必要はありません。私自身、ヴァイオリニストのスークが作曲もしていたのか?と判断して借りてきたのですからw

師匠がドヴォルザークですが、同時代の音楽に影響も存分に受けた作曲家でもあります。けれどもここに収録されている作品たちは、むしろドヴォルザークの影響が強い作品たちではないかと思います。

1曲めが交響詩プラハ」。作曲は1904年で、師匠であるドヴォルザークとの関係が深い作品ですが、題材になっているのは、15世紀のフス戦争によるプラハ包囲です。「15世紀の」というのがミソだと思います。正確には1424年ですが、ネットで「プラハ包囲」と検索しますとむしろ18世紀のドイツとの戦争のほうがヒットしてしまうので・・・・・

フス戦争
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%B9%E6%88%A6%E4%BA%89

単に外国との戦争なら、他にいくらでも題材があるにもかかわらず、チェコの作曲家たちはこの14世紀ごろの事件を題材にすることが多いのです。ドヴォルザークと対立したスメタナはその代表曲である「わが祖国」でも、フス戦争を2曲で扱っています(ターボル(装甲馬車)、ブラニーク)し、ドヴォルザークも演奏会用序曲として「フス教徒」を作曲しています。

そう、路線の如何にかかわらず、チェコの作曲家たちはどこかでフス戦争を作品の題材として取り上げているんですね。自分たちは祖国の文化を担っているんだ・・・・・そんな気概を感じる作品なのです。だからこそ、フス戦争が題材になる、というわけです。

これ、今の日本にもそっくり当てはまることだと思います。新元号「令和」。これは史上初めて日本の古典である「万葉集」から取られましたが、そこには現代日本の「大陸からの独立」という、長い歴史が背景にあります。だからこそ、今国民楽派の作品はもっと演奏されるべきだとも思っています。その歴史がいかなる経緯をたどったのか、少なくともクラシックファンだけは教養として持っておくべきだと思っているので・・・・・

2曲めの「おとぎ話」も、ファンタジーというよりはチェコの歴史が色濃く反映されているものです。完成は1900年。ちょうどヨーロッパは東欧を中心にオーストリア・ハンガリー帝国ロシア帝国からの独立運動が相次ぎ、独立を勝ち取った国も出てきた時期です。けれどもそれは、戦争の悲劇も生み出していく・・・・・2つの作品は美しく、素敵ですが、実態は決してそんな美しいものではなかったのです。過度の「酔」が、次々と戦争へとなだれ込んでいきました・・・・・

ただ、それはあまりにも大国による抑圧が厳しかったから、です。日本も奈良時代まではそんな緊張感の中にありました。ですから、中国に対して警戒するあまり、令和という元号にしたのでしょうが、そのルーツは中国にあった・・・・・となると、日本はもう少し歴史に学び、壁を作るのではなく仲良くしつつ境界線を引くというほうがいいのではないだろうかと思います。

スークは師匠がドヴォルザークです。それはチェコ国粋主義とは距離を取るということを示しています。ヨーロッパと仲良くしつつ、自国の文化を尊重していくというスタンスです。ようやくスメタナの「わが祖国」が我が国でも全曲演奏されるようになったことは喜ばしいですが、その一方でもっとドヴォルザークやこのスークと言った作曲家の作品が聴かれるべきだと思います。そうじゃないとこの国は確実におかしな方向へと走って行くでしょう。

演奏するは、ペシェク指揮チェコ・フィルです。こういった「祖国讃歌もの」はまさにチェコ・フィルの真骨頂だなあと思います。芳醇なサウンドの中にある緊張感。しかし過度に酔うこともなく歌うカンタービレ。非常にバランスが取れていてかつ生命力に飛んでいるなあと思います。それはチェコという国がたどってきた「傷つき体験の歴史」が為せる業なんだろうなあと思います。

果たして、我が国は中国によって傷つき体験をしたのでしょうか?それを考えさせられる演奏でもあるのです。中国ではないはず、ですよね?けれども・・・・・もし本当に中国なのだとすれば、その傷を癒やすことこそ、最優先なのではないかと思うのですが・・・・・




聴いている音源
ヨセフ・スーク作曲
交響詩プラハ」作品26
組曲「お伽話」作品16
ペトル・シュクヴォル(ヴァイオリン)
リボル・ペシェク指揮
チェコ・フィルハーモニー管弦楽団

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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