東京の図書館から、今回は小金井市立図書館のライブラリをご紹介します。マリンバの演奏を集めたアルバムです。題して「スーパーマリンバ」。
え?マリンバってどんな楽器なんですか?っていう人も多いと思います。簡単に言えば、木琴です。
昔、これを私は単に「木琴」とだけしか習わなかったのです。なのでマリンバという名前を聴いたとき、私もなにか新しい楽器が出てきたのかと勘違いしたのですが、そもそもオーケストラなどで使っている私が「木琴」とならった楽器こそ、マリンバであり、木琴はマリンバも含めたものを言うということを、大人になってから知ったのです。
いずれにしても、木琴はわたしにとってリコーダーと同じくらいなじみのある楽器で、実家にあった楽器の一つです。我が家はリコーダーこそ学校で買わされた楽器ですが、自前で買った楽器として、父が持っていたハーモニカと、私が買ってもらった木琴があったのです。それでセッションするとかはなかったですけれど、残念ながら父にそういう習慣がなかったもので、ひたすら私一人で叩いていました。
高校生の時、じつは進路として音大も出ていたのです。もちろん我が家はずっと音楽をやってきたわけではなかったので、私立は無理。ですから国立(ということは東京藝大ですけれど)です。母が指揮者の岩城宏之氏は打楽器で入学したんだから、勉強さえできれば行ける、と。しかし実際には歴史学の方を選択して中央大学へと進学したのですけれど(ですので、金額とかが理由ではありませんでした)。
ですので、マリンバは実に懐かしい楽器であり、音色だといえます。そんなアマチュアでも簡単に音が出せる楽器ですので、当然プロであればさらに上の表現力が求められるのは当然だといえます。ですので、「スーパー」をつける必要はあったのかなあと思います。もちろん聴けば素晴らしい表現力なのですが、それはある意味、特急スーパーあずさと変わらない、ともいえます(JRの「スーパー」がつく特急は必ずしも何か特別だったわけではないですので)。
ではこのアルバムの聴きどころは何かと言えば、その素晴らしい表現力で、必ずしもマリンバのために作られたわけではない作品を弾きこなし、表現している部分だといえます。クレジットしておきますが、ここに収録されている作品のほとんどがマリンバのために作曲された作品ではありません。しかし、安定した技術を優れた表現力として現出させているソリスト高橋女史の、これぞ歌うマリンバだと思うのです。それは原曲を超えた部分すらあります。もし「スーパー」というのなら、その原曲を超えたという点でこそ言えるのではないでしょうか。
ピアノは羽田健太郎なので、おそらく彼が編曲したのかなと思いますが、とにかく素晴らしい表現に、つい聞き惚れてしまいます。打楽器ですから打点も強くゆえにリズミカルにもなりますが、かといってタンタカとはいかず、アコーギクもあり、カンタービレ。マリンバでなじみのある熊蜂の飛行や「剣の舞」もエネルギッシュ!
マリンバという楽器の奥深さを存分に楽しめるアルバムだと思います。カバレフスキーの「道化師のギャロップ」は小学校の運動会徒競走でおなじみの音楽ですが、私はこのアルバムの演奏で初めてこの曲の囚われが無くなりました。なぜなら、私は徒競走常にビリッケツだったからです・・・・・
聴いている音源
①ハンガリアン・ラプソディ(ホッパー)
②熊蜂の飛行(ニコライ・リムスキー=コルサコフ)
③道化師のギャロップ(カバレフスキー)
④ラ・カンパネラ(フランツ・リスト)
⑤ツィゴイネルワイゼン(サラサーテ)
⑥おもちゃの兵隊の行進(イェッセル)
⑦トルコ行進曲(ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト)
⑧フィドル・ファドル(ルロイ・アンダーソン)
⑨中国の太鼓(クライスラー)
⑩剣の舞(ハチャトウリャン)
⑪火祭りの踊り(ファリャ)
高橋美智子(マリンバ)
羽田健太郎(ピアノ、③・⑥・⑧・⑩)
山口多嘉子(伴奏マリンバ、④・⑧)
高橋美智子マリンバ室内楽団(②・⑦・⑨・⑪)
高橋美智子
山口多嘉子
藤城佳之
松倉利之
針生惇(パーカッション&マリンバ、③・⑩・⑪)
地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方、そして新型コロナウイルス蔓延の最前線にいらっしゃる医療関係者全ての方に、感謝申し上げます。