かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

東京の図書館から~小金井市立図書館~:バーバー チェロのための作品集

東京の図書館から、今回は小金井市立図書館のライブラリである、サミュエル・バーバーが作曲したチェロ協奏曲とチェロ・ソナタを収録したアルバムをご紹介します。

サミュエル・バーバーアメリカの作曲家。近年我が国で知名度が上がってきた作曲家です。このブログでも幾度かは登場している作曲家ですが、しかし未だ「弦楽のためのアダージョ」だけにとどまっている感は否めません。

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このアルバムでも最後に「弦楽のためのアダージョ」がカップリングされていますが、しかしその原曲である弦楽四重奏曲第1番が演奏されることもほとんどないですし、ましてやこのアルバムに収録された2曲も演奏機会が少ないのは残念です。本当に日本がすごい国であるならば、この2曲くらいは普通にコンサートピースとしてプログラムに乗っていてもいいと思うのですが・・・・・

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もちろん、チェロ協奏曲には高い技量が必要となりますので、演奏するのは大変だとは思います。しかし本当に日本という国が「すごく」で、世界一優秀な国ならば、当然このくらいの作品を弾きこなすソリストがいて当然だと思うのですが・・・・・保守の皆さん。

さて、面白いことに、この2曲、3楽章制なんですね。協奏曲ならまだしも、チェロ・ソナタもなんです。これがなぜなのかはネットで検索する限りではわかりません。しかし作曲が1932年ということを考えると、バーバーの若さと、欧州で感じた「不安」が3楽章制にしたのかなと推測します。其れ以上は言及できません。

どちらも、人間の声に近いとされるチェロという楽器を存分に歌わせる、見事な作品。ですから高い表現力が要求される作品だと言えるでしょう。チェロを単なる楽器、機械と考えるのではなく、かつて機関士が蒸気機関車を人間のように扱ったように、共に音楽を作り上げていくというような姿勢がないと高い表現力には至らないかな、という気がします。

バーバーの音楽は後期ロマン派にほぼとどまっているので保守的だともいえますが、しかし表現力は高いものが要求されるとも言えるでしょう。そういったバーバーの作品の本質というものを詰め込んだのがこのアルバムだともいえます。ソリストはあまり知らない名前ですがしかしそのカンタービレは誠に歌のようですし、またサラステのタクト、応じるスコットランド室内管の表現力、どれをとっても一級品。上質な時間と空間が演奏によって作り出されているのにはつい酔ってしまいます。

特にチェロ協奏曲では、様々な表情があり、その一つ一つが繊細かつダイナミックに表現されており、とても人間的。これはバーバーの音楽を「弦楽のためのアダージョ」だけで判断してはいけないよという、演奏者からのメッセージであるように聴こえるのは私だけなのでしょうか?最後にその弦楽のためのアダージョを置いていることで、比較してほしいというメッセージが明確になっているように私には聴こえてなりません・・・・・

 


聴いている音源
サミュエル・バーバー作曲
チェロ協奏曲作品22
チェロ・ソナタ作品6
弦楽のためのアダージョ 作品11
ラルフ・カーシュバウム(チェロ)
ロジャー・ヴィニョール(ピアノ)
ユッカ=ペッカ・サラステ指揮
スコットランド室内管弦楽団

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