かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

神奈川県立図書館所蔵CD:ボッケリーニ チェロ協奏曲全集1

神奈川県立図書館所蔵CDのコーナー、今回から3回にわたりましてボッケリーニのチェロ協奏曲全集を取り上げます。今回はその第1回目として第1集を取り上げます。

ボッケリーニという作曲家は、よく知られているような、そうではないようなというのが、我が国での現象かと思いますが、それはそれは不思議な立ち位置の作曲家なのです。

ルイジ・ボッケリーニ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%82%A4%E3%82%B8%E3%83%BB%E3%83%9C%E3%83%83%E3%82%B1%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%8B

バリバリ古典派の人ですが、音楽は少なくとも、この第1集に収められている作品を聴く限りにおいては、古風な人です。しかし、確かにチェロを独奏楽器として扱ったという点では、時代を先がけた人であったと言えるでしょう。

バッハの作品においては、チェロ協奏曲はほとんどありません。まずないと言っていいのではないでしょうか。同じバッハであっても、カール・フィリップエマヌエル・バッハの時代でないと出てこないジャンルなのです。それはつまり、古典派の時代という事になります。

その時代に、一世を風靡したのが、ボッケリーニだったのです。そのため、私はボッケリーニの作品をまずこのチェロ協奏曲から入ったのでした。

そう、いつもの室内楽を最初にというのではなく、あえてチェロ協奏曲からだったのです。一方、ボッケリーニはむしろ室内楽弦楽四重奏曲や弦楽五重奏曲などに功績があるとありますから、この原稿を書いている今は、さらに室内楽を聴きたいなと思っております。それが実現するのがいつになるのかは、神のみぞ知るですが・・・・・

さて、この第1集に収められているボッケリーニのチェロ協奏曲は、第1番から第3番までと、第9番となっていますが、ボッケリーニのチェロ協奏曲はバッハやモーツァルトと同様に、偽作が多いらしく、少なくともウィキの記述では、この第1集に収めれられている作品の中では第1番が偽作となっています。

いきなり第1番が偽作というのもなんだかなあと思いますが、私からすれば、第1番から第3番までは、それほど様式的に変わらない印象なのです。前古典派、多感様式的な音楽がそこには存在し、違いを見出すことが難しい作品たちです。

一方で、第9番は明確に、他の3曲とは異なっています。モーツァルト的な響きが存在し、いかにも古典派というものになっています。かろうじて第2番と第3番はたしかに第9番に近いものがあるかな〜と思いますが・・・・・・さて、第1番を偽作という理由は何なのでしょうか?ウィキやネットでは拾えず、これは専門書を当たる必要がありそうです。

ソナタ形式はあまり見られないとウィキにはありますが、少なくともチェロ協奏曲に限っては、ソナタ形式も存在し、古典派らしい作品となっています。むしろソナタ形式にこだわらないと言うべきなのでしょう。ロマン派もソナタ形式を重視していることを考えますと、音楽の響きが古典派の範疇に留まっている以上、ボッケリーニの音楽がそれほどアヴァンギャルドな音楽だとは思えません。

多分、これは室内楽を聴いてみないと分からないのだと思います。協奏曲とは、古典派の時代、コンサートピースの、主役です。そんな作品で冒険するとは思えません。ウィキにあるエピソードから推測するに、室内楽では冒険している可能性が十分あります。となると、それはもしかすると、ベートーヴェンに大きな影響を与えているかもしれません・・・・・勿論、これは推測ですが。

それにしても、この4つの作品はどれもハイドンよりもむしろモーツァルトに近いことに驚かされます。勿論、同時代なんですけどね。モーツァルトは協奏曲、特に鍵盤楽器の協奏曲に置いては上述したカール・フィリップ・エマヌエルの影響を強く受けていますが、ボッケリーニはあくまでもイタリア音楽です。ただ、モーツァルトもイタリア音楽の強い影響下にあったことを考えますと、ボッケリーニの影響を、間接的に受けていると考えてもよさそうです。であれば、似るのも仕方ないでしょう。

でも、ボッケリーニはあくまでも自分の音楽を書いただけで、モーツァルトの真似をしたわけではありません。ただ、似ていることで損していますねー。恐らくこの点こそ、ボッケリーニがあまり日本では人気がない一つの理由でしょう。モーツァルトの二番煎じでしょ?と。いえいえ、そんなことはありません。音楽史の流れから、自然と似ただけです。あくまでも、ボッケリーニは自分の音楽を書いています。

演奏はこの作品が古典派ということもあり、リフレインがしっかりと弱く演奏されています。基本的に全曲fですが、リフレインだけはpになっており、それが見事な陰影を造り、アクセントになっているのは素晴らしです。聴いていて気持ちがいいですし、その上で喜びも感じることが出来るのがいいですね。それはまさしく、演奏者のこの作品たちに対するリスペクトの結果だと思います。

ボッケリーニの作品の素晴らしさを、存分に理解している故の、上質で上品な演奏です。単に美しいとだけ言ってしまうのは、演奏者達に怒られてしまうような気がします。




聴いている音源
ルイジ・ボッケリーニ作曲
チェロ協奏曲第2番ニ長調G.479
チェロ協奏曲第3番ト長調G.480
チェロ協奏曲第1番ハ長調G.477
チェロ協奏曲第9番ロ長調G.482
エンリコ・ブロンツィ指揮、チェロ
アカデミア・イ・フィラルモニチ・ヴェローナ

地震および津波により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。同時に原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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