今月のお買いもの、シリーズでe-onkyoで購入しましたファジル・サイが弾くベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集を取り上げていますが、今回はその第4回目です。
第4回目の今回は第10番から第12番まで。第10番は結構アグレッシヴな感じで、驚かされますし、第11番はロマンティシズムあふれるピアニズム。そして第12番は感情豊か。
それぞれで、サイのピアノは冴えています。しかし、第11番では若干ですが、年齢も感じさせる運指も・・・・・それでも、チャレンジするサイのファイティング・スピリットには脱帽です。
特にこの3曲を聞いていますと、そんなアラすらあるのに、果敢に向かっていくサイの精神に感動します。もちろんそれをもって「この演奏はダメ」と批判もできるかもしれませんが、私としてはむしろその逆で、ベートーヴェンという高い山に登っていく登山者、という印象が強いのです。
空気感すらあるハイレゾ録音により、さらに向こうで弾いているであろうサイに、感情移入というか、応援したくなるんですね。不思議です。それもまた、才能でしょう。
完璧に弾く演奏が人の心を打つとは限りません。それはわたしはアマチュアオーケストラの演奏会で何度も経験してきたことです。なので例えば、クルレンツィスの演奏っていまいち乗れないんですよね。確かにすごい演奏ですけれど・・・・・でもあれば、立っての演奏です。では障害者として座って演奏せざるを得ないパールマンはどうなる?と思うわけなんです。
サイは、ピアノの前に「座り」、体を使って縦横無尽に表現している姿が、ハイレゾだからこそどこか感じるんですよね。もちろん音だけですから、実際にどうように弾いていたかなんて、動画にはかないっこないですが、それでも空気感により、どこか想像してしまうんです。
特にそんな「人が演奏しているという感覚」が曲を追うごとに強くなるのがこの全集だなあと思っています。特に第12番は途中葬送行進曲があるのに、全くその暗さを感じず、のびのびとした表現が前面に。その「葬送行進曲」だって、悲しみに浸っているような感じ。
こうなると、次の3曲にも期待が膨らみますし、いっそスマホにも全曲いれてますから、もうフライングでどんどん聴いて行きたくなります。それもまた、楽しいことだと思います。自らの魂が喜びを感じるのであれば・・・・・
聴いているハイレゾ
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
ピアノ・ソナタ第10番ト長調作品14-2
ピアノ・ソナタ第11番変ロ長調作品22
ピアノ・ソナタ第12番変イ長調作品26
ファジル・サイ(ピアノ)
(Warner Classics)
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