かんちゃん 音楽のある日常

yaplogから移ってきました。日々音楽を聴いて思うことを書き綴っていきます。音楽評論、想い、商品としての音源、コンサート評、などなど。

コンサート雑感:府中市民交響楽団第78回定期演奏会を聴いて

コンサート雑感、今回は平成30年11月17日に聴きに行きました、府中市交響楽団の第78回定期演奏会を取り上げます。

多摩地域に越してきて以来、府中市交響楽団は聴きに行きたいと思っていたアマオケでした。特に年末の第九をやっていることもあって、実は今年こそ府中市民第九が聴きたい!と思ってほHPを見てみたんです。

ところが、第九のだの字もない・・・・・その代わりに出ていたのが、この第78回定期演奏会だったのです。そりゃあ、11月に定演があるのに、12月に第九をやるのはいくらなんでも無謀です、アマチュアオケなら。

しかもです、その曲目が、日本ではあまり演奏されない、スメタナの「わが祖国」だったとしたら、なおさらです。

そうなんです!以前、このブログでも、スメターチェク指揮チェコ・フィルと、ラースカ・フィルさんの演奏会で取り上げた、スメタナの連作交響詩「わが祖国」全曲なのです!

コンサート雑感:ラースカ・フィルハーモニー管弦楽団の演奏を聴いて
https://yaplog.jp/yk6974/archive/1195

マイ・コレクション:スメタナ 連作交響詩「わが祖国」
http://yaplog.jp/yk6974/archive/214

上記一つ目のエントリの最後で、私はこのように語っています。

「一度きりというのはもったいないと思いますが、それが私たちに強烈な印象を残したと思います。この演奏に続く常設のアマオケの奮起を期待して、筆をおきたいと思います。」

そのオケが、府中市交響楽団だった、というわけです。この作品を取り上げるってことは、おそらく団員さんたちも私と同じように、音楽鑑賞の時間に聴いて感動し、その後全曲をCDなどで聴き、さらには毎年の「プラハの春」音楽祭もヴィデオに録画して・・・・・っていう人たちなのであろうなあって想像します。

そんなことが想像できるだけに、今回の演奏会は、ラースカさんとはどのように違うのか、多少わくわくしていきました。ロケーションは府中の森芸術劇場どりーむホール。ウィーンホールほどではないですが残響も素晴らしいホールです。

http://www.fuchu-cpf.or.jp/theater/1000160/1000175.html

今回も開演ギリだったんですが、何とか第1曲目「ヴィシェラフト」から聴くことができました。「モルダウは聴いたことがあるんだけど、ほかは初めてなんだよな」っていう声も、ホールに入るなり聞こえてきました。まだまだ日本でも、このようなケースが多いのだなって思います。その意味では、本当に意味のあるコンサートだったと思います。

さて、その演奏ですが・・・・・え、この素晴らしいアンサンブルは何?最初のハープからして、まるでチェコ・フィルなんです!自分が持っている、スメターチェク指揮のサウンドと同じ響きがそこにあったんです!びっくりしました。

それは、このオケの歴史を物語るのかもしれません。何せ、年2回の定期演奏会で第78回って言ったら、もう40年近くの歴史を持っていることになり、近辺では川崎市民響とほぼ同じくらいの歴史を持っているということになります。

https://www.fuchu-cso.org/

2曲目の「ヴルタヴァ」。つまりはモルダウですが、ラースカさんがゆったり目に入ったのと対照的に、ゆったりめに見えて実はほとんどスメターチェクと同じ速めのテンポで入ったのには感心しました。指揮者大井氏は団員たちの、クーベリックチェコ・フィルと復活共演をした、あの「プラハの春」音楽祭を聴いて感動し、いつかは「わが祖国」を演奏したいという想いを大切にして、情熱をどう表現するのかをよく理解していると思いました。

以前、私は上記マイ・コレのエントリで、このように語っています。

「本来、モルダウは単なる情景音楽ではありません。「わが祖国」全体に貫かれているのは、祖国チェコへの賞賛と愛です。ですから、情景音楽とだけ捉えるのは私は間違いだと思っています。

ただ、そうなってしまうのには理由があります。「わが祖国」は6曲の交響詩から構成されています。それはチェコの歴史を題材にしたものと、チェコの自然や風景を題材にしたものと交互に構成されています。そのうち、「モルダウ」はチェコの風景や自然を題材にしています。

しかしながら、モルダウだけは異色を放っているのです。モルダウは構成的には自然や風景になぞらえていますが、実はモルダウ川を描きながらそれをチェコの歴史と将来を歌い上げるものになっているからです。

それを理解するためには、当時チェコという国家が置かれた状況を理解する必要があると思います。当時、チェコオーストリア=ハンガリー帝国の領土でした。しかしその前はスウェーデン支配下と、約900年間に渡って他国の領土となっていました。詳しくは、ウィキペディアボヘミア」の項を参照していただきたく存じます。

ボヘミアウィキペディア
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9C%E3%83%98%E3%83%9F%E3%82%A2

そういった状況で、19世紀に民族独立運動が勃興し、それは何度も弾圧を受けてきました。実際、スメタナも一時期スウェーデンへ逃れていた時期があります。そんな時代背景がこの曲には反映されているのです。

それを理解しますと、逆にモルダウがなぜテンポがいいのか、よくわかります。川を表現しているのではなく、川があるチェコという存在を表現しているからである、ということなのです。」

ですから、できれば少しだけ速めのほうがいいのいではってずっと思っています。これを理解している指揮者は少数です。現在大指揮者と言われている人でも、理解しているとは言い難いこともしばしばです。それを、わが国ではそれほど有名とは言えない大井氏が見事にやってのけているいるのはさすがだといえます。

入りはスメターチェクほど快速ではないんですが、主題が奏されてからはスメターチェクとほぼ同じテンポ。今自分は府中ではなく、プラハの「芸術家の家」にいるんじゃないかって思うくらいです。アンサンブルも素晴らしいですし、どこがアマチュアオケだって思います。痩せた音が全くみうけられないんです!

その興奮は聴衆にして、ヴルタヴァが終わったときに拍手ということで現れますが、なんと!大井氏はアタッカで「シャールカ」へ!オケと指揮者、そして聴衆の興奮はさらにヒートアップ!シャールカのあとに休憩だったのですがここで万雷の拍手!

しかし、ここまで本当によくオケは演奏してきたって思うんです。それが休憩後の「ボヘミアの森と草原より」で、ついに痩せた音が出ることで顕在化します。けれどもそれは程度として目立つものではなく、むしろチェコフィルのようにと装ってきたこれまでを反省するかのように、自分たちの「音」をそこでさらけ出し、自分たちの「歌」を歌い始めるんですよね。だからこそ、最後の重要な2曲である「ターボル」「ブラニーク」は荘厳さすら感じられる、熱い演奏でよかったです!

これこそ、私がラースカさんのレビューで期待した「この演奏に続く常設のアマオケの奮起」なんです!常設(しかも、府中市民響はトラがほとんどいない!)だからこそ、このチェコ国民楽派の作品を、日本人として咀嚼した上での演奏になるんです。素晴らしい!

チェコが独立までにたどった道は、おそらく今後我が国が通る道だと思います。その上でも、スメタナのこの作品は、私達日本人にとって大切な作品になると私は信じています。それを格調高い素晴らしい熱演で披露してくれた府中市民饗の皆さんには、感謝の言葉しかありません。ブラヴォウ!をかけたのは当然として、今後も日程が合えば、小金井、小平ともに聴きに行きたいなって思います!




聴いてきたコンサート
府中市交響楽団第78回定期演奏会
ベドジヒ・スメタナ作曲
連作交響詩「わが祖国」全曲
 ヴィシェラフト
 ヴルタヴァ(モルダウ
 シャールカ
 ボヘミアの森と草原より
 ターボル
 ブラニーク
大井剛史指揮
府中市交響楽団

平成30年11月18日、東京府中、府中の森芸術劇場どりーむホール

地震および津波、水害により被害にあわれた方へお見舞い申し上げますとともに、亡くなられた方のご冥福と復興をお祈りいたします。同時に救助及び原発の被害を食い止めようと必死になられているすべての方に、感謝申し上げます。




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